希望と絶望　第１２話（最終話）

　ドオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

　地の底から響くような爆発音が聞こえ、

「うおおおおッッッッ!!!!!!??」

　と言うデスギラー将軍の悲鳴とも叫び声とも似つかない声が、台の上に括り付けられているゴーグルイエロー・黄島の耳を劈いた。

　そして、

　ジュボジュボジュボジュボ…。…ウィィィィンンンン…。

　と、ゴーグルイエローの鮮やかな黄色のゴーグルスーツから飛び出した黄島の男としての象徴を刺激していたプラスチック製の筒の動きが止まった。

「…ッあ…ッ!?…あ、…あああ…ッッッッ…!?」

　ビクンビクンとその筒の中で黄島の男としての象徴が大きく跳ね上がる。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!」

　そんな黄島の目の前で、１人のマダラマン・洋介が荒い呼吸をして立っていた。

「…よ、…す…け…!!」

　黄島が弱々しく声を掛ける。すると洋介は黄島の方を振り向き、

「大丈夫かいッ、黄島ぁッ!?」

　と、黄島の両手首と両足首を拘束していた金属の鎖を外し始めた。

　と、その時だった。

「…ッ!?…逃げろオオオオッッッッ、洋介エエエエッッッッ!!!!」

　黄島の絶叫と、

　ドンッ!!

　と言う鈍い音が同時に響いた。

「…？」

　そして、洋介の体がビクンと痙攣し、グラインドした。

「…あ…あ…、…あぁぁ…!!」

　洋介の斑模様の体を、冷たく銀色に光る物体が貫いている。そして、

「…フン…！…改造人間第１号は失敗作だったか…。…こんな廃棄物、…もう用はない…ッ!!」

　と冷たく言い放つデスギラー将軍が洋介の後ろにいた。

「…よッ、洋介エエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

　黄島の目の前で、洋介がスローモーションのようにゆっくりと崩れ落ちて行く。

「…ぐ…、…おおおお…ッッッッ!!!!」

　未だに痺れの残る体で、黄島が台の上から起き上がり、自分の方へ向かって崩れて来る洋介を何とかして抱きかかえた。

「…洋介…ッ!!…洋介ええええッッッッ!!!!」

　ただでさえ狭いバイザー越しに見る洋介の顔。その顔が更に涙で歪んで見えた。

　その時、洋介はうっすらと目を見開き、

「…黄島…。…今まで、…ごめんな…」

　と力なく笑った。

「洋介ッ!!しっかりしろォッ!!洋介ええええッッッッ!!!!」

　しっかりしろと言う方が酷だろうと言うことも分かっていた。だが、この時ばかりはこうするしか、今の黄島には考えられなかったのである。

「…俺、…結局、…ずっと黄島に守られてばかりだった…。…俺、結局、勇気がなかったんだよな…。…苛めっ子達に何かをされても…、…『嫌だ！』とか言うことも出来ずに…」

「洋介ッ!!もう、喋んな…!!」

　はぁはぁと荒い呼吸をし、視線が虚ろになり始める洋介。そんな洋介の体をしっかりと抱き締め、黄島は泣き叫ぶように言う。

「…でも…」

　弱々しく言う洋介。その顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。

「…今は物凄い勇気を出して、…黄島を…、…救うことが…、…出来た…の…かな…」

「…ああ…。…ああッ!!」

　えぐえぐとしゃくり上げる黄島。そんな黄島を見上げた洋介は、

「…黄島…、…好き…だ…よ…」

　と言った途端、全身から力が抜けた。

「…洋介…？」

　黄島が声を掛けるが、洋介はびくともしない。

「…おい、…洋介…。…目ぇ、…開けろよ…!!…なあッ!!…洋介ッ!!…洋介エエエエエエエエッッッッッッッッ!!!!!!!!」

　細く華奢な体を強く抱き締め、泣き叫ぶ黄島。

　その時だった。

「友との別れは済んだか？」

　頭上から、デスギラー将軍の冷たい声が降って来た。

「…き…さ…まああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

　黄島が怒りに震え、立ち上がろうとしたその瞬間だった。

　ジュボッ!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

　突然、今ではすっかりおとなしくなってしまった黄島の男としての象徴に、あの忌まわしい刺激と音が加わり始めた。

「んあッ!?ああッ!?ああッ!!ああッ!!」

　突然、未だに慣れていない場所を刺激され、体中から力が抜ける黄島。

「…ばッ、…バカ…な…ッ!?…あ、…あれは、…洋介が…ッ!!」

　ジュボジュボと言う淫猥な音は調子付いたかのように黄島のそこを刺激し続ける。それに、黄島の意思とは裏腹に敏感に反応し、少しずつ形を形成し始める。

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」

　信じられない思いでその機械を見つめる黄島。だが、その機械は明らかに動き続けている。

「バカめッ!!そんな簡単にこの装置が破壊されてたまるかッ!!改造人間第１号が爆発させたのはこの機械の動力部分。だが、そんなもの、予備電源があればいくらでも復活するのだッ!!」

　いかにも黄島と洋介を見下したように笑うデスギラー将軍。

「…そ、…それじゃ、…洋介…は…」

　再び涙が溢れ出す。するとデスギラー将軍はニヤリと笑い、

「…こう言う言い方は申し訳ないが、…犬死にだ…!!」

　と言ったかと思うと、

「おいッ!!」

　と数人のマラダマンを呼び寄せた。するとそのマダラマン達は黄島に近付いたかと思うと、黄島を床に大の字に横たえさせ、その四肢をガッチリと固定したのである。

「…んなッ、…何…んく…ッ!!…すん…だ…ああ…ッ!!…よ…ぉ…ッ!!」

　ジュボジュボと加わる刺激に身悶えながら、黄島が声を上げる。体に力を入れたくても入らない。それが黄島の今の全てだった。

「安心しろ、ゴーグルイエロー。貴様もすぐに改造人間第１号のもとへ送ってやるぞ!!」

　デスギラー将軍はそう言いながら、その機械のつまみを最大限にまで回し切った。

　ヴウウウウウウウウンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

　淫猥な音が更に大きく、小刻みに聞こえ始め、

「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」

　と言う黄島の絶叫が響き渡った。

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」

　体を弓なりにし、絶叫し続ける黄島。そして、

「…だッ、…ダメだああああッッッッ!!!!…まッ、…また…ッ!!…出るッ!!…出るッ!!…ちっくしょおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」

　と声を引っ繰り返らせて叫んだ。その瞬間、黄島が腰を何度も何度もビクビクと跳ねらせたかと思うと、

　ドボッ!!ドボドボドボドボッッッッ!!!!ドボドボドボドボッッッッ!!!!

　と、濃白色の粘着質な液体がボタボタとそのタンクの中へ落ちて行った。

「ハーッハッハッハッハ!!いいぞ、ゴーグルイエローッ!!もっとだッ!!もっと、貴様のエキスを出すのだあッ!!」

　目を輝かせ、狂ったように笑うデスギラー将軍。その間にも、

　ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

　と言う淫猥な音は止まらない。そして、

「…いい…、…痛てええええッッッッ!!!!…痛てええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!…やッ、…止めろオオオオッッッッ!!!!…うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

　と言う黄島の絶叫が更に響き、腰が小刻みに上下に動く。そして、

　ドボドボッッッッ!!!!ドブッ!!ドブドブドブドブッッッッ!!!!

　と言う淫猥な音も聞こえ、機械の中央のタンクには濃白色の粘着質な液体が後から後から注ぎ込まれる。

「ぐわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!うおああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!ひぎゃああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

　何度腰を突き上げただろう。濃白色の粘着質な液体は、その色を少しずつ変え、

「…う…う…う…う…!!」

　と、黄島が体を痙攣させるようになった時には、その液体は透明に変わっていた。

　いつの間にか、デスギラー将軍を始め、マダラマンや、黄島の淫猥な液体を搾り尽くした機械もなくなっていた。

「…よ…す…け…」

　ゴーグルイエローのゴーグルスーツを着たまま、マスクだけを外した黄島。その顔には大粒の汗と共に涙が零れ落ちていた。

「…よ…す…け…」

　洋介は今、黄島の横に、黄島に体を寄せるようにして横たえられている。その目は開かれることはなく、指一本、動くことさえなかった。そんな洋介を抱き締め、頭を何度も何度も撫でながら洋介の名前を呼び続ける黄島。

　そんな黄島の、がっちりとした２本の足の中心部分に息づく、黄島の男としての象徴は今やその形を留めず、小さく潰れたようになっていた。

「…オレ…達…。…ずっと、…一緒…だか…ら…な…」

　やがて。

　黄島の目が静かに閉じられて行った。

希望と絶望　完