災魔の誘惑 第10話

 

 ドクンッ、ドクンッ!!

 灰色のベッドの上に横たわるショウ。ゴーグリーンに着装したその体は眩いばかりの緑色のアンチハザードスーツに覆われ、ショウの筋肉質な体付きをクッキリと浮かび上がらせていた。

 中でも。ショウの2本の足の付け根部分。肩幅より少し広めに広げられたそれの中心に息づく、ショウの男としての象徴であるペニス。それが今、ゴーグリーンの鮮やかな緑色のアンチハザードスーツの中で大きく山を作り、太いそれをピクッ、ピクッ、と脈打たせていたのだった。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 アイマスクをされ、視界を遮断されているショウ。

「…う…、…あぁぁ…ッ!!

 視界を遮断されているだけで、興奮が増すことは前回の経験から分かっていた。

(…あの時と…、…同じだ…!!

 体がやけに熱くなっている。それに心なしか、頭がぼぉっとなっている。それだけ興奮しているのだと思っていた。

(…今度は、…何を…されるんだ…ッ!?

 期待と不安が一度に押し寄せて来る。視界が奪われている今、頼りになるのは自分の耳だけだ。その耳が、ジジジ、と言うビデオテープが回る音を聞き取る。どうやらそれはショウの体のすぐ近くを行ったり来たりしているようだ。おそらく、ショウの体をゆっくりと映しているのだろうと言うことが分かった。

 そして、その音に混ざるように、洋服の生地が擦れる音が聞こえて来る。

「…フフッ!」

 女性の微笑む声。

「ショウさん。こんなに興奮して…」

 その女性・鹿鳴館香は嬉しそうにその細くしなやかな指をショウのがっしりとした太腿へ置き、ゆっくりと撫で始めた。

「…うあああ…!!

 たったそれだけなのに、ショウの体には言いようのない快楽の電流が流れ、思わず呻き声を漏らす。ぞくぞくとした感覚がショウの体を駆け抜け、思わず体を仰け反らす。

「フフッ!ショウさん、もっとリラックスしていいんですよ?」

 そう言うと香はショウの右側に座る。

「では、足から順番にマッサージして行きますね?」

 香がそう言った時だった。真っ黒な手が伸びて来て、ショウのがっしりとした太腿をしっかりと包み込んだのだ。

「…じゃあ、…行きますわよ…?」

 その手が太腿を膝の辺りからゆっくりと上って来る。

「…あぁ…、…あぁぁ…!」

 体全体が上へ押し上げられるような感覚がして、ショウは思わず声を上げる。

 この時、ショウは少し驚いていた。あんなに華奢で細身な香のどこに、こんな力があるのだろうと尋ねたくなるほど、ショウの太腿を擦り上げる手には力が込められていたからだった。

 それもそのはず。いつの間にか、香はショウに気付かれないようにベッドの上から降り、代わりにインプスがショウをバカにするかのように目を光らせて座っていたのだから。そして、その真っ黒な両手がショウの太腿を強く揉み込み、体の老廃物を循環させるように下から上へ、上から下へと擦り上げていたのだった。そうとも知らないショウは、

「…あぁぁ…。…あぁぁ…!!

 と、その快感に身悶え続けていた。

「フフッ!ショウさん、気持ちいいですか?」

 香が尋ねると、ショウはガクガクと首を縦に振り、

「…気持ち…、…いい…ッ!!

 と息も絶え絶えに言った。

「…じゃあ、今度はぁ…」

 香はそう言うと、ショウの足を擦り上げているインプスに目配せする。すると、そのインプスは今度はショウの左側に座り、同じようにしてショウの左太腿を擦り始めた。

「…うあああ…ッ!!…ああああ…ッッッッ!!!!

 ショウが少しずつ体を弓なりにして行く。

「…あらあら…。…ショウさん、…足がパンパンに浮腫んじゃってますわよ?…よっぽど、足に負担が掛かってるんですねぇ…」

 少し離れたところから聞こえて来る声に全く違和感を感じないほど、ショウはその快楽に酔い痴れているようだ。

「…じゃあ、今度はぁ…」

 暫くした後、インプスはショウの右腕を掴んだ。そして、脇の下からゆっくりと手首の方へ向かって、太腿と同じように擦り上げて行く。

「うああああ…ッッッッ!!!!

「ショウさん?痛いですか?」

 香が心配そうに尋ねるも、ショウは首を左右に振り、

「…だ…いじょう…ぶ…ッ!!

 と言い、歯を食い縛った。

「腕もいろいろ使いますからね。筋肉が強張ってしまってるんでしょうね…」

 香の声を聞きながら、インプスはグイグイとショウの右腕を擦り上げて行く。そのたびにショウは、

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 と声を上げ続け、ビクビクと体を跳ねらせる。

「あと左腕だけですからね。少し我慢して下さいね」

 インプスは今度はショウの左腕を掴み、同じように脇の下から手首へ向かって擦り上げて行く。

「…んッ、…んんんん…ッッッッ!!!!

 ギリギリと言う痛みを伴う心地良さを、ショウは懸命に堪えながら感じていた。

 ドクンッ、ドクンッ!!

 そして、その感覚はいつの間にか、ショウの男としての象徴であるペニスを更に勃起させ、ビクビクと大きく脈打たせ始めていた。

「…フフッ…、…ショウさんったら…!」

 香は悪戯っぽく笑い、

「ここもこぉんなに腫れ上がってしまって…。…そんなにここも揉みほぐして欲しいんですかぁ?」

 と言うと、インプスが右手を伸ばし、ショウのペニスをスルリと撫で上げたのだ。その瞬間、

「んああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 とショウは体を大きく弓なりにし、叫び声を上げた。その間に、インプスはショウのペニスとその下に息づく2つの球体を手で優しく包み込んでいた。

「まぁ…!…ショウさんのおチンポ、…物凄く大きい…!…それに太くて硬いですわ…!!

 香のその声に合わせるかのように、インプスはショウのペニスとその下の2つの球体を何度も何度も撫でる。指先で球体を揉み込むようにし、ゆっくりと手を上部へ滑らせて行く。そして、その指がショウのペニスの裏筋を妖しく撫で、先端に出来たくびれをくすぐるように刺激する。

「んああああッッッッ!!!!んああああッッッッ!!!!んああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 ショウの腰がビクビクと上下に跳ね、狂ったように叫ぶ。

「フフッ!気持ちいいんですの、ショウさん?」

 香がそう尋ねると、ショウはガクガクと激しく首を縦に振り、

「気持ちいいッ!!気持ちいいッ!!…もっと…ッ!!…も…っと…おおおお…ッッッッ!!!!

 と絶叫していた。

「…フフッ!!

 その時だった。

 香の目がギラリと光ったかと思うと、シュルシュルと言う音と共にやや太めの蔓のようなものが伸びて行き、ショウの両手両足をベッドに固定したのだ。

「…え?」

 ショウが気が付いた時には、ショウはベッドの上に大の字に拘束されていた。

「…な、…何…を…?」

 アイマスクで視界が遮られているショウ。頭を少しだけ持ち上げ、左右を見回すようにしている。

「心配ありませんわ、ショウさん」

 香の声が耳元で聞こえる。

「…あなたを、…もっともっと、…感じさせて差し上げますわ…!」

 そんな香の姿は、それまでの清楚で高貴な様子など微塵も感じられないほど、醜悪な姿をした災魔獣ツタカズラへと変貌していたのだった。

 

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