ちぎれた翼U 第21話

 

「…あ…、…あぁぁ…!!…うぁぁ…!!

 レッドホーク・天堂竜は地面に倒れ伏したまま、全くと言っていいほど身動きが取れないでいた。体のダメージもさることながら、今は精神的なダメージの方が彼を支配していた。

「…ククク…!!

 目の前で肩で大きく息をし、ニヤニヤと笑っている親友。ブラックコンドル・結城凱。その目は野獣のようにギラギラと輝き、いつもの精悍な顔つきはなかった。目の前の獲物を甚振り殺す、そんな執念と殺気が凱に見え隠れしていた。

「…これで…!!

 凱がしげしげと自分の体を見つめる。

「…これで、…ようやくてめえを犯せるぜ、…竜…ッ!!

 凱の体から陽炎のようなものがゆらゆらと蠢いているのが分かる。それはそのうち、真っ黒な闇のオーラに変化して行った。と同時に、凱の体の一点がドクンと大きく脈打った。

 凱の2本の足の付け根、凱の男としての象徴であるペニスがブラックコンドルのバードニックスーツを大きく突き破り、天を突くかのように真っ直ぐに勃起し、ドクンドクンと凱の脈拍に合わせるかのようにして脈打っていたのだった。

「…あ…あ…あ…!!

 竜は相変わらず呆然とそれを見つめたままでいる。

 何度も見て来た親友のペニス。だがそれは今、まるで別人のもののように竜には映っていた。ドクドクと脈打つペニスは凱の普段の勃起時のそれより数倍は大きくなっているのではないかと思われるほど、大きく、太く、また真っ赤に怒張していた。そして、その鈴口からはトロトロと淫猥な液体が溢れ出し、地面とを淫猥な糸で繋いでいたのだ。

「…なぁ、…竜…!!

 巨大に勃起したペニスをぶらぶらと揺らしながら、凱がゆっくりと竜に近付いて来る。

「…や、…止めろ…!!

 残された力を振り絞り、起き上がろうと懸命にもがく竜。だがその体が思うように動かない。むしろ、凱をこのような目に遭わせてしまった報いを受けるのをじっと待っているようにも思えた。

(凱をここまでにしてしまったのは自分だ…!!

 竜はそう思っていた。親友とは言え、その恋人であるホワイトスワン・鹿鳴館香を振り向かせようとした。いや、振り向かせようと自ら仕組んだつもりはなかった。凱と香、育って来た環境が全く違う2人が付き合っても上手く行かないことは竜にも分かっていた。

 なのに、自分は見て見ぬ振りをし、結局、2人は破局してしまった。香が凱に愛想を尽かしたのか、それとも、上辺ではそう言う理由にして、本心は竜に靡いたのか、それは香自身しか分からない。

 そのことに自暴自棄になった凱がスカイキャンプを飛び出した。そして、そこにこの状況を作り出した張本人・トランが現れたのだろう。むしゃくしゃし、冷静さを失っていた凱はあっと言う間にトランにやられた。そして、自身のプライドとも言えるべきペニスと、その下に息づく睾丸を潰され、無残な姿にさせられたに違いない。

 そして今。凱は竜に敵意を剥き出しにしている。自分がやられたトラン、今は成長してトランザと名乗っている男に与している。確か、ボロボロになった凱を発見したのは竜自身だった。そして、スカイキャンプで手当てを受け、意識も覚めずにずっと眠ったままになっていたはずなのに、いつの間にか、スカイキャンプを抜け出し、トランザに呼び出されていたのだ。それも納得出来ない。

「おい、竜ッ!!てめえ、聞いてんのかッ!?

 突然、頭部に激痛を覚え、竜は我に返った。

「…あ…、…あぁぁ…!!

 無意識に体が震える。竜の髪の毛を掴み、至近距離に不気味な笑みを浮かべて立っている凱がいた。

「…が、…凱…ッ!!

 声まで震えている。視界が少しずつ滲んで来ていた。

「…なぁ、…竜…!!…オレのを、…しゃぶってくれよ…!」

 にゅっと差し出された凱のペニスを見て、竜は思わず顔を背けた。その時だった。

「…チッ!!

 と、凱が舌打ちをしたかと思うと、

 ドゴオオオオッッッッ!!!!

 と言う鈍い音と同時に、

「ぐはああああああッッッッッッ!!!!!!

 と竜が悲鳴を上げ、地面を何度もバウンドしながら遥か後方へ吹き飛んだ。

「ブラックコンドルッ!!止めんかッ!!

 それにはさすがのトランザも目を見開き、慌てた。だが、

「…まぁ、…少しの傷くらい付いても致し方あるまい…か…!」

 とニヤリと笑い、肩をすくめた。

「…あ…、…がぁ…ッ!!

 上半身をビリビリに引き裂かれたレッドホークのバードニックスーツは既に機能を失い、生身と化した腹部をブラックコンドルにクロスチェンジしている凱に蹴り上げられた。

「…がはッ!!

 その時、竜が血を吐いた。激痛に意識が遠退きそうになる。肋骨が折れているに違いない。

「おい、竜ッ!!

 そんな竜に追い打ちをかけるかのように、凱がツカツカと歩いて来ると、再び竜の頭を掴んだ。

「…しゃぶれよ…!」

 そう言って巨大なペニスを差し出す凱。

「…ッ!!

 その時、竜は少しずつ口を開き、凱の巨大なペニスを口に含んだのである。

「…あぁぁ…!!

 その途端、凱が恍惚な表情を見せた。

「…久しぶりに味わう、…感覚だぜ…ぇ…!!

 凱はそう言うと、

「竜ッ!!もっと頭を使えよッ!!

 と言い、自ら腰を前後に振り始めたのである。

 ズチュッ!!ズチュッ!!

 と言う淫猥な音が聞こえ始め、

「んぐッ!?んんんんッッッッ!!!!んんんんッッッッ!!!!

 と竜が顔を真っ赤にし、呻き声を上げる。そんな竜の目からはぽろぽろと涙が伝った。

「…あぁぁ…!!…やべぇ…!!

 そのうち、凱が呟くようにそう言った。と同時に、

 ジュボッ!!

 と言う音を立てて、凱はペニスを竜の口から抜いたのである。

「…ッ!?…がはッ!!…ごほッ…!!

 竜は思わずえづき、激しく咳き込んだ。

 その時だった。竜は体がふわっと浮いたのを感じた。次の瞬間、夕闇が迫るオレンジ色の空が視界に飛び込んで来たかと思うと、両足が高く持ち上げられているのを感じ取った。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 瞬時に顔を真っ青にする竜。大きく開かれた足の間に、凱がニヤニヤとしながら立っていたのである。

「やっぱり、お気に入りの場所でイカせてもらわねぇとなぁ…!!

 凱が何を言っているのか、瞬時に分かった。

「…や、…止めろ…ッ!!…頼むッ、…止めて…くれ…!!

 涙を伝わらせ、必死に懇願する竜。だが凱は、そんな竜の言葉が聞こえていないかのように竜のレッドホークのバードニックスーツの腰の部分を掴むと、勢い良く引っ張った。その瞬間、

 ビッ!!ビィィィッッッッ!!!!

 と言う鈍い音と共に、機能を失ったバードニックスーツは引っ張り上げられ、背中部分から膝下辺りまで剥ぎ取られていた。そして、竜の下半身が剥き出しになっていたのだった。

 

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