おばあちゃんの悪知恵袋 第8話
「おばあちゃん。この間、ダンに飲ませた薬とその赤い薬の中間点くらいの薬って作れない?」
ボーイが言った言葉に、バンドーラは目をパチクリとさせた。
「…どうして?」
「…え?」
「…意識を奪っちまった方が、永久的にいろいろ楽しいことが出来るじゃないか!!」
付けまつ毛なのか本物なのか、目を小刻みに瞬かせるとそれがバンドーラの瞳のところでパサパサと音を立てる。
「…フフッ!!」
その時、ボーイは静かに微笑んでいた。
「意識を奪っちゃったら、面白くないだろう?」
「どうして?」
バンドーラは未だに分からないと言った表情をしている。
「意識を奪っちゃったら、僕がダンに屈辱的なことをしている時の、ダンの悔しそうな表情とか分からないじゃない?どうせやるならさ、徹底的にやらないと!!」
ボーイがそう言った時、バンドーラはニヤリと笑うと、
「アンタも優しいんだか、意地悪なんだか、よく分からないね!!」
と言うと、くしゃくしゃとボーイの頭を撫でた。
「意地悪だよ?だって、ダンをこれからいろいろと甚振ってやるんだからさ!!」
「それもそうだね!!アハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
バンドーラは大声で笑うと、
「そうかいそうかい。ダンをいろいろ甚振ってやるんだねえ!!」
と、悪戯っぽい、だが純粋そうな目をキラキラと輝かせて言った。
「…じゃあ、ばあちゃんが腕によりを掛けて薬を作るからねッ!!」
バンドーラはご機嫌でそう言うと、グイッと腕まくりをし、いそいそと台所へと向かって行った。
「…きれい…!!」
暫くして、バンドーラがその薬を持って来た時、ボーイは思わずそう呟いていた。
透明なガラスの小瓶に入った液体。それは真っ青な海を彷彿とさせるような、鮮やかな青色をしていた。
「お前の要望通り、体の自由は奪うけど意識までは奪わない薬を作ってやったよ!!それなら、ダンにも疑われることはないだろ?ソーダ水だとでも言っておけば、ダンもそれを信じて飲むだろうしね!!飲んぢまったら、後はボーイ、お前が好きなようにすればいいさ!!その頃には、ダンはお前の操り人形になっているからね!!アハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
バンドーラが満足げに大声で笑うと、
「うんッ!!ありがとうッ、おばあちゃんッ!!」
と言ってバンドーラの家を飛び出した。
「はいよ〜!!しっかりやるんだよおッ!!」
玄関先まで出て来ると、バンドーラはその厚化粧の顔をくしゃくしゃにして笑みを浮かべ、皺枯れた手を振ったのだった。
「ダンんッ!!」
宮殿に戻って来ると、ボーイはダンの部屋の前へ行き、ドンドンとその扉を叩いた。すると、部屋の中でゴトゴトと言う音がしたかと思うと、ドアが開き、
「…ボーイ…?」
と、ダンが驚いた表情でボーイを見下ろした。
「何だよ、いきなり?」
そう言った時、ダンはボーイが手にしている小瓶を目敏く見つけ、
「何だ、それ?」
と言って、またひょいと取り上げた。
「…あ…」
「…きれいだなぁ…。…アハッ!!何か特別な能力が身に付くものだったりしてええええッッッッ!!!!」
目を輝かせ、その小瓶の中の鮮やかな青色の液体を見つめるダン。
「それ、あげるよ。ソーダ水だよ。ダン、甘いものが好きだろう?」
「マジでッ!?いいのかッ!?」
「うんッ!!」
わざとらしいくらいにはにかんだ笑顔を見せるボーイ。
「…この間…。…ダンが僕の目の前でエッチなことをしちゃっただろ?…何か、申し訳ないなって思ったから…」
「何だ、そりゃ?」
プッと吹き出しながらそう言ったのも束の間、
「まぁ、お前がそれでいいなら、オレは別に構わねぇけどな!!」
と言うと、その小瓶の蓋を開けた。
「…うっわぁ〜、いい匂いだなぁ…!!…たまんねえよ…!!」
ダンはウットリとした表情を浮かべてそう言うと、
「いっただっきまーすッ!!」
と大声で言い、一気にその液体を飲み干した。
…ゴクッ!!…ゴクッ!!
ダンの喉が大きな音を立てて動く。そして、
「…うんめええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と大声で叫んでいた。
「ボーイィッ!!良かったのか!?こんなうめえモンもらっちまって…!?」
「大丈夫だよぉ、ダンん!!」
そう言った時、ボーイはダンに抱き付いていた。
「…お、おいおい。…ど、どうしたんだよ、ボーイ?」
ダンが戸惑った声を上げると、
「…ねぇ、ダンん。…僕を…、…抱き締めてよ…」
とボーイが甘えた声を出した。
「はぁ?…お、…お前、何言って…」
その時だった。
「…あ…れ…?」
不意にダンの両腕が動いたかと思うと、ボーイの背中に回り、その小さな体をすっぽりと包んでいたのだ。
「…うわ…!!」
俄かに顔を引き攣らせるダン。そして、
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、悲鳴を上げた。
「…な…ッ!?…何で、お前を抱いてんだよ…ッ!?」
「…ねぇ、ダンん…」
相変わらず、甘えた声を出すボーイ。
「こッ、今度は何だよッ!?」
両腕の中からダンを見上げているボーイ。その目が何だか、妖しく光って見える。
「…ねぇ、ダンん。…トリケラレンジャーに変身してよ…!!」
「…なッ、何で…」
何でここで変身しなければならないんだ、と言いかけた時だった。
「…あ…れ…?」
その時、ダンの体が光を帯びたかと思うと、次の瞬間、ダンの体は光沢のある鮮やかな青色の、トリケラレンジャーのスーツに包まれていた。
「…うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
さっきよりも甲高い悲鳴を上げるダン。
その時だった。
ドクンッ!!ドクンッ!!
ダンの心臓が大きく高鳴り、
「はうッ!?」
と言って、ダンが胸を押さえた。
「…かッ、…体…が…ッ!!…熱い…ッ!!」
「…ダッ、ダンんんんんッッッッ!!!!」
驚いたかのように、でも笑みを浮かべているボーイが大声を上げた。
「ダンのチンポ、勃ってるッ!!」
「…え…!?」
はっとなってその部分を見ると、ダンは顔を俄かに真っ赤にした。
「…なッ、…何で…!?」
光沢のある鮮やかな青色のトリケラレンジャーのスーツ。その2本の足の付け根部分に息づく、ダンの男としての象徴・ペニス。それが今、そのスーツの中で大きく勃起し、その形をクッキリと浮かび上がらせていたのだった。