座敷わらしの悪戯 第9話

 

 …ザワ…、…ザワザワ…!!

 …キュッ、…キュッ…!!

 生地と生地が擦れ合う音が聞こえる。それと同時に、

「…んん…ッ!!…く…ッ!!…うう…ッ!!

 と言う、屈強そうな男の卑屈な声が聞こえて来る。

「…や…ッ、…止めろ…ぉぉぉぉ…ッッッッ!!!!…サ…イ…ゾウ…うううう…ッッッッ!!!!

 部屋の真ん中で木偶の坊のように身動きが取れないまま、横たわっているニンジャレッド・サスケ。その光沢のある鮮やかな赤いスーツの上には、同じように光沢のある鮮やかな水色のスーツを身に纏ったニンジャブルー・サイゾウが伸し掛かるようにしていた。

「…凄い…!」

 そんなサイゾウの右手は、サスケの2本の足の付け根部分で大きく勃起しているサスケの男としての象徴であるペニスと、その下に息づく2つの球体を優しく包み込んでいたのである。

「…サスケのチンポ、…デカイ…!!…それに凄く硬くて、…ビクビクしてる…!!

 そう言うと、サイゾウはその右手を再び動かし始めた。

 …ザワ…、…ザワザワ…!!

 …キュッ、…キュッ…!!

 生地と生地が擦れ合う音が聞こえる。そして、

「…んん…ッ!!…くは…ッ!!

 と、サスケが体をビクビクと跳ねらせながら喘ぎ声を上げる。

 サイゾウの指がサスケのペニスの裏筋をつつっと妖しく撫で上げる。そして、そのペニスの括れの部分へ辿り着くと、

「んんッ!!

 とサスケが身をすくめるようにする。次に、サイゾウの指がペニスをゆっくりと下りて行き、その下に息づく2つの球体へ辿り着くと、それを優しく揉み込むように握る。

「…すげぇよ、サスケぇ…!…お前のタマ、すげぇボリュームがあるんだな…!」

 クニュクニュとそれを揉み込むその手の動きに合わせるかのように、

「…あッ!!…んあ…ッ!!

 とサスケが喘ぐ。

「…も、…もう…!!…止めてくれ…!!

 顔を真っ赤にし、はぁはぁと荒い呼吸をしながらサイゾウを見上げるサスケ。だが、その視線がサイゾウのある一点に注がれた時、ぎょっとした表情を浮かべた。

「…ああ…、…サスケぇ…!!

 サスケのペニスを触っている右手と反対の、サイゾウの左手。それが今、ニンジャブルーのスーツの中で大きく勃起し、ぐっしょりと濡れている自身のペニスをやわやわと揉みしだいていたのである。

 …グチュッ!!…グチュッ!!

 そのたびに淫猥な音が聞こえて来て、同時に、強烈な異臭が辺りに漂い、

「…ッ!!

 と、サスケは思わずえづきそうになった。するとサイゾウは、

「そんな顔すんなよ、サスケぇ。お前もいずれ、こうなるんだからさ…!」

 とさらっと言ってのけた。その言葉にサスケは更にぎょっとした表情を浮かべ、

「やッ、止めてくれよッ、そんなのッ!!

 と声を上ずらせて叫んだ。

「フフッ!無駄だよ!」

 その時、座敷わらしの声が聞こえて来た。

「…ッ!?

 その言葉に即座に反応し、座敷わらしがいると思われる方向を睨み付けるサスケ。

「そいつは…。…サイゾウは暴走モードに入ってる。自分の欲望を叶えようとしてるのさ…!…お前もこいつの親友だったら、その願い、叶えてやれよ…!」

「…だッ、…だからッ、何をわけ分かんねえこと言って…!」

 サスケが言いかけたその途端、

「…ちょッ!!…サッ、サイゾウッ!?な、何やってんだよッ!?

 と、サスケは悲鳴に近い声を上げた。

「…ああ…。…サスケぇ…!!

 ウットリとした表情を浮かべながら、サイゾウがいつの間にか、サスケの股間に顔を近付けていたのだ。

「止めろッ!!止めてくれええええッッッッ!!!!

 だが、サスケのそんな悲痛な叫びも空しく、

「…ん…」

 と、サイゾウはサスケのそこへ顔を埋めたのである。

「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 サスケは悲鳴を上げるしか、為す術がなかった。

「…あ…、…ああ…ッ!!

 すうすうとサイゾウの鼻息が聞こえ、自身の股間部分に生温かさを感じる。それだけで、ぞわぞわとした悪寒がサスケの体中を駆け巡った。

「…ああ…」

「…ひっ…!!

 恍惚な笑みを浮かべるサイゾウとは対照的に、サスケは小さな悲鳴を上げていた。

「…サスケのここ、…すっげぇ、…いい臭いがする…!」

「…や…めろ…よ…!!

 この頃になると、サスケの声が震えていた。

「…サスケのここ…、…汗の臭いと、酸っぱい臭いと、…独特の臭いとが混ざって、凄くいい臭い…!」

「止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 恥ずかしいことを口にされて、サスケは思わず怒鳴っていた。

「…いッ、…いい加減にしろよッ、サイゾウううううッッッッ!!!!…おッ、…お前ッ、…そんな変態だったのかよおおおおッッッッ!!!?

 その時だった。

「そうさせたのは、お前なんだよ、サスケぇ…!」

 座敷わらしの声が聞こえた。その途端、

「…ッ!?

 と、サスケは目を大きく見開き、目の前の光景に呆然となった。

「…座敷…わらし…?」

 目を疑いたくもなる。それはサイゾウも最初はそうだったが、どう見ても今時の子供の姿で、どこからか入り込んで来たと言っても分からないくらいの出で立ちなのだ。

「フフッ!ようやく見えるようになったか…」

 やれやれと言う顔付きをして、座敷わらしはサスケのもとへ近付いて来た。そして、ニヤリとしたかと思うと、

「なぁんてな、ウ・ソ!」

 と素っ頓狂な声を上げて言った。

「…え?」

「お前にはオレを信じる気持ちがないから見えない、なんて言ったけど、無理矢理にでも見せることは出来たんだな、ほんとは!」

「…つまり…?」

「そ。つまり、オレはいつでもお前に姿を見せられたってわけだよ。でも、わざと見えないようにしていたってわけ!」

「…て…ん…め…え…ッ!!

 サスケの顔がどんどん真っ赤になって行く。そして、ニンジャレッドの真っ赤なグローブに包まれた拳がギリギリと音を立てて握られた。だが、座敷わらしは、

「オレの能力で金縛りに遭っているヤツに、そんなことされたって、怖くも何ともありませんよぉだッ!!

 と言ったかと思うと、

「何だよッ、こんなのッ!!

 と言い、右手を振り上げた。そして、次の瞬間、

 パンッ!!

 と言う乾いた音が部屋中に響き渡った。

「…あ…、…ご…、…おお…ッ!!

 すると、サスケが体を弓なりにし、目を大きく見開いてブルブルと体を震わせ始めたのだ。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 サスケの顔に脂汗が浮かび上がる。そして、

「…ぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 と絶叫したのだった。

 

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