逆転有罪 第13話

 

 …ビクッ!!…ビクッ!!

 光沢のある鮮やかな青色のトンボオージャーのスーツ。その2本の足の付け根部分で大きな山を作り出しているヤンマの男としての象徴・ペニス。それは今、スーツの中で臍へ向かって大きく勃起し、ベルトを窮屈そうに押し上げていた。その太く、長く、きれいなフォルムを形成している先端を持つ流線形はビクビクと大きく脈打ち、スーツを持ち上げていた。

「…まッ、…まさか…ッ!?

 ヤンマの目が大きく見開かれ、わなわなと震えている。

「…ククク…!!

 そんなヤンマを、目をギラギラさせながら笑うジェラミー。

「…さっきも言ったが、物語には起承転結がある…」

「…あ?」

「…キミはこのタキタテ城に、今後のことを話し合いたいからとカグラギに呼ばれた。しかも、いきなり連絡が来てすぐのことだ。…この時点で、おかしいとは思わなかったのかい?」

「…ああ…」

 フッと笑うと、

「…本気でラクレスをぶっ潰すもんだとばかり思ってからなァ…。…まさか、こんなタコメンチなことになってるとは思わなかったぜ…」

 と言った。

「それが、この物語の“起”の部分だ」

 ジェラミーが言葉を続ける。

「そして、このタキタテ城へやって来て、キミは酒をしこたま飲みながら、ヒメノやリタ、そして、カグラギがギラの悪口を散々言っていることに腹を立てた。そして、キミがギラのことを仲間だと意識するたびに、キミの体には異変が起こっていた。それに気付かなかったのかい?…いや、気付いていたとしても、口に出せるようなことじゃないよねぇ?」

「…止めろ…!!

 ジェラミーの目がギラリと光る。

「…だって、キミは…」

「止めろっつってんだろうがッ、このスカポンタヌキイッ!!

 その時だった。

「…そうね…」

 不意にヒメノが声を上げる。その目もギラギラと輝いている。

「…あなたはギラに対して特別な感情を抱いていた。ただの仲間と言う以上の感情をね。それは最初から分かっていたわ。だから、私はスコピーの毒を、あなたのその感情に作用するように調合したの」

「…て…、…めぇ…ッ!!

「今の部分がこの物語の“承”。…そして…」

「…てめえが蜘蛛の糸でオレの体の自由を奪い、みんなの前で自慰行為をするように強要したのが“転”、ってか?」

 ヤンマがそう言ったことに、

「おおっとぉッ!!

 と、ジェラミーが素っ頓狂な声を上げる。

「さっすが、ンコソパ国王。このチキューのありとあらゆる通信関係を管理する国の国王だ。やはり、頭の回転は早いようだねぇ…!!

 そう言った時だった。

「んあッ!?

 突然、ヤンマが素っ頓狂な声を上げ、ビクリと体を跳ねらせた。

「…ふッ!!…んく…ッ!!

 体をビクッ、ビクッ、と痙攣させながら、ヤンマは艶めかしい声を上げる。

「…や…、…めろ…ッ!!

 右手は大きく勃起したままのペニスをスーツ越しに握ってゆるゆると刺激し、左手は胸の装甲の奥へ入り込み、筋肉質な右胸に浮き出た突起をクリクリと刺激する。

「…ククク…!!

 それを見つめ、目をギラギラと光らせて冷たく笑うジェラミー。

「…そっちは、早いのかなぁ?」

「んがああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 その刺激に体を仰け反らせ、思わず悲鳴を上げる。

「…や…ッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!止めてくれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

「…うほッ!!

 リタは相変わらず顔を真っ赤にし、目をギラギラとさせ、鼻血を垂らし続ける。一方、ヒメノは、

「…汚らわしい…」

 と、侮蔑の眼差しでヤンマを見つめる。

「いやあッ!!カッコいい男の艶めかしい姿はなかなかそそられるものがありますなあッ!!

「…てんめええええッッッッ!!!!カグラギイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!

 カグラギはそう言いながらウットリとした表情で、だが、目をギラギラとさせてヤンマを見つめる。

「…そして…」

「…や…ッ、…止めろ…!!

 その時、ヤンマが俄かに声を震わせ始めた。

 ヤンマの両手が、大きく勃起したペニスを包み込むようにしているスーツのその部分へ伸びて行ったかと思うと、スーツの生地を持ち上げたのだ。

「…た…ッ、…頼む…ッ!!…それだけは…ッ!!

「おおっとぉッ!!

 ジェラミーが声を上げる。

「いくら何でも、さすがにそこまでは…、と言いたいところだけど、ラクレスの命令なんでねぇ…」

「…な…、…に…!?

『はーっはっはっはっは…ッッッッ!!!!

 モニター越しに、ラクレスの高らかな笑い声が聞こえて来る。

『ンコソパ国王・ヤンマ・ガスト!!君にはもっとも屈辱的な方法で跪いてもらうと言ったはずだ!!

「…それが…、…これだ…と言うのか…!?

『…フンッ!!

 ラクレスは相変わらずヤンマを侮蔑するように見つめている。

『自業自得だろう?君が素直に私に従わなかったから、こうせざるを得なかったのだよ』

「何が、こうせざるを得なかった、だああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!てめえはッ!!最初っからこうするつもりだったんだろうがああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 ヤンマが顔を真っ赤にして怒鳴る。するとラクレスは、

『…そろそろ、終わりにしよう…』

 と言うと、その視線を動かした。

「…やれやれ…。…相変わらず、人使いが荒いお方だ…」

 ジェラミーは肩を竦めると、

「…仕方がない…。…物語を結末へ導くとしよう…」

 と溜め息を吐きながら言った。

「…ヤンマくん?…覚悟はいいかい?」

「てめえッ!!何をする気だああああッッッッ!!!?

 ヤンマの両手は、トンボオージャーの光沢のある鮮やかな青色のスーツのその部分を持ったままだ。ジェラミーはニヤリとすると、

「この物語を結末へ導くのさ。つまり、物語の“結”の部分へね!!

 と言った。

 その時だった。

「…止めろ…!!

 ヤンマの両手がスーツを持ち上げると、少しずつ左右に引っ張って行く。

「…止めろ…ッ!!…止めろオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

「…ククク…!!

 ジェラミーの右手がヤンマの両手に巻き付いた蜘蛛の糸を少しずつ操る。まるで、ヤンマを焦らすかのように。

「…じゃあ、見せてもらおうか…」

「止めろっつってんだろうがああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 …ブッ!!…ブツブツ…ッ!!

「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 鈍い音が聞こえ始めた時、ヤンマが大きな悲鳴を上げた。

 

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