逆転有罪 第18話

 

 …チュッ!!…チュク…ッ!!

 くすぐったい音が聞こえて来る。

 …クチュクチュッッッッ!!!!…クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

 トンボオージャーに王鎧武装したヤンマ。その左手はギラの頭をしっかりと包み込むようにし、自身の唇をギラの唇に押し当てていた。

「…んん…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!

 ギラはと言うと、ヤンマにキスをされた時には目を大きく見開いていたが、俄かに顔を真っ赤にするとその目をギュッと閉じ、呻き声を上げ始めた。

「…ヤッ、…ヤン…」

 クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

「…は…ッ!!…ああ…ッ、…ああああ…ッッッッ!!!!

 両手で何とかしてヤンマを押し退けようと試みるギラ。だが。

(…ど…ッ、…どうしちゃったんだ…ッ、…僕…ッ!?

 クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!

 ヤンマの舌がギラの口腔をくまなく蹂躙するように動く。

「…は…、…ふ…ッ!!

 呼吸が少しずつ上がって行く。いや、息が出来なくなって来る。

「…ヤ…、…ン…マ…」

 意識がぼぉっとし始める。その時、ギラの膝がガクリと折れたかと思うと、ドサッと言う音と共にその場に両膝を突いてしゃがみ込んだのだ。

「…おいおい、タコメンチ…」

 ヤンマは苦笑してギラを見下ろしている。

「ちょっと刺激を与えてやっただけで腑抜けになるんじゃねぇよ、スカポンタヌキ!!

「…だ…、…だって…!!

 ギラが思わずムキになる。その目には涙がうっすらと溜まっていた。

「…ぼ…、…オレ様の…ッ、…ファーストキス…」

「あ゛?聞こえねえッ!!

 最後の方は声が萎んでいたギラ。それに対し、ヤンマは顔をしかめて尋ねていた。すると、ギラは、

「…だッ、…だぁかぁらああああッッッッ!!!!

 と大声を上げたかと思うと、

「オレ様のッ、ファーストキスと言ったんだああああッッッッ!!!!

 と怒鳴っていた。

「…フンッ!!

 そんなギラを見て、ヤンマがフンと鼻で笑う。

「…それがどうした…?…オレだってファーストキスだ!!

「…ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!??

「だからッ、いちいち叫ぶなっつってんだろうがッ、このスカポンタヌキイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!

 バシッ!!

「あ痛ッ!!

 頭を更に引っ叩かれ、ギラは思わず蹲る。

「…な…ッ、…何故ッ、そんなにキスが上手いんだッ!?

「はああああああああッッッッッッッッ!!!!!!??

 今度はヤンマが叫んでいた。

「そんなん、常識だろうがッ!!

「…常識…?」

「おうよッ!!インターネットが発達してんだぜ!?そんな知識やテクニックくらい、簡単に得られるだろうがッ!!

 そう言った時だった。

「…?…ど、…どした?」

 ギラがしゅんとしてしまっている。その目を潤ませて。

「…僕は…。…養護施設で育ったから、インターネットとか、あんまり使ったことがなくて…」

 ギラがそう言うと、ヤンマは苦笑して、

「…ったく、いちいちそんなことくれえでウジウジすんじゃねぇよ、このスカポンタヌキ!!

 と言った。そして、

「オラ、立てよ!!

 と言った。

 その時だった。

「…ッッッッ!!!?

 ヤンマを見上げた時、ギラの目に飛び込んで来たもの。

「…ヤッ、ヤンマッ!?

 大きく見開かれたギラの目。その視線を追った時、

「…何だ、タコメンチ?これ見てビビってんのか?」

 と、ヤンマは意地悪い笑みを浮かべていた。

 トンボオージャーの光沢のある鮮やかな青色のスーツ。その2本の足の付け根部分に息づく、ヤンマの男としての象徴・ペニス。それが今、スーツの中で大きく勃起し、臍へ向かって真っ直ぐに伸びていたのだ。

「オレのチンポ、デケェだろ?」

 ヤンマがそう言った時、ギラは俄かに顔を真っ赤にすると、

「…なッ、何でそこが大きくなってるんだよッ、ヤンマああああッッッッ!!!?

 と叫んでいた。

「エロいことすりゃあ、ここが勃つのは当たり前だろうがッ、このスカポンタヌキイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!

 そう言うと、ヤンマはギラの腕を掴むとグイッと持ち上げた。

「…あ…」

 気が付いた時には、ギラの腰にヤンマの左腕が回っていた。

「…ヤ…、…ンマ…?」

 意地悪くニヤニヤと笑っているヤンマ。

「てめえのここだって、勃ってんだろ?」

「…あッ!!

 ヤンマの右手がスッと伸び、ギラの2本の足の付け根部分に息づくそれをキュッと握る。すると、ギラは腰をくの字に折り曲げながら、

「なななな、何をするッ!?

 と、顔を真っ赤にして怒鳴っていた。

「…ククク…!!

 ヤンマは低く笑うと、

「ほぉら。やっぱ、てめえのチンポもビンビンになってるじゃねぇかよ、このタコメンチ!!

 と言った。

「…うう…ッ!!

 ギラは恥ずかしそうにもじもじと体をくねらせる。

「おい、タコメンチ」

「…なッ、…何だよッ!?

 そう言った時、

 ドクンッ!!

 とギラの心臓が大きく高鳴った。

 ヤンマの表情がコロコロと変わる。さっきまでの意地悪い表情から一転、今度は切なそうな表情を浮かべていたのだ。

「…オレのを…、…触ってくれよ…」

「…え?」

「だから」

「…あ…」

 その時、ギラは右手をヤンマに掴まれ、その手のひらはヤンマのペニスを包み込んでいた。

「…お前も王鎧武装しろよ…」

「…うん…」

 ギラはコクンと頷くと、

「…王鎧武装…」

 と呟くように言った。次の瞬間、ギラの体が光を帯び、光沢のある鮮やかな赤色のクワガタオージャーのスーツを身に纏っていたのだった。

 

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