僕だけのヒーローU 第5話
床の上に大の字に拘束された、タイムファイヤーにクロノチェンジした直人さん。
「…ク…ッ…!!」
四肢を拘束する拘束具を何とかして引き剥がそうと、懸命に手足を動かします。そのたびに、マスクを付けたままの頭部がブンブンと動きます。
「…どッ、…どう言うつもりだッ、シオンッ!?」
直人さんの体の上に伸し掛かり、静かに抱き付いている僕。そんな僕に、直人さんが尋ねて来ました。そして、大きく溜め息を吐いて、
「…お前、…俺が飲んだ麦茶に細工を施したな?」
と言ったのです。
「ええ、ちょっと細工をさせてもらいました」
僕はニッコリとして、直人さんを見上げました。
「直人さんにも、僕のヒーローになってもらいたくて…」
「だから、それは竜也にやってもらえって言っただろう?」
僕の言葉を遮るかのように、直人さんが言います。僕はニッコリとして、
「いえいえ、竜也さんやドモンさんだけじゃなくて、直人さんにもヒーローになってもらいたいんですよ」
と言いました。すると、直人さんは大きく溜め息を吐いて、
「分からないやつだな…」
と言いました。
「いいか?俺はこう言うのは趣味じゃないんだ。俺は、独りが好きなんだ」
「…ねぇ、直人さん…」
直人さんの心臓の音が、トクン、トクン、と心地良く聞こえています。
「どうしてそんな寂しいことばかり言うんですか?一人ぼっちなんて、寂しいだけじゃないですか…!」
僕はじっと直人さんの、タイムファイヤーのマスクの中にある直人さんを覗き込むように話を続けます。
「ロンダーズファミリーと一緒に戦うって言う目的は一致しているわけですし、だったら、もっとみんなが仲良くなった方が、より大きな力が引き出せると思うんですよ。それに僕、知ってるんです」
僕がそう言うと、ピクリとタイムファイヤーのマスクが動きました。
「…何を、…だ…?」
静かに言う直人さん。僕はゆっくりと両腕を直人さんの両肩に掛け、目を閉じました。
「…直人さん、…本当は凄く優しい人なんですよね?」
「…な、…何を言ってる…!?」
ぷいっと直人さんの顔がそっぽを向きました。
「直人さん、小鳥を飼ってるでしょ?僕、見ちゃったんです。小鳥に餌をあげている時、直人さん、物凄く優しい笑顔をしていました。それに、僕達には物凄くつっけんどんだけど、本当は物凄く僕達のことを考えてくれていて、さり気なく僕達のサポートをして下さってるんですよね?」
「止めろ!」
突然、直人さんが大声を上げました。僕はびっくりして直人さんの顔を見ます。タイムファイヤーのマスクが、じっと僕を見つめていました。
「勝手な想像をするな!別に俺は、お前らのサポートをしたつもりはない!お前らの戦いっぷりがあまりに素人過ぎるから、思わず…」
「…ぷっ!」
その言葉に僕は思わず吹き出していました。
「なッ、何だッ!?」
直人さん、マスクの中できっと顔が真っ赤になっているんでしょうね。
「…な、…直人さぁん…。…それって、逆を言えば、さり気なく僕達をサポートして下さっているってことじゃないですかぁ…!!」
「なッ!?」
直人さん、絶句。
直人さん、本当は自分でも分かっているんだと思います。ただ、直人さんはこう言う性格の持ち主なので、自分の感情を素直に表現出来ないんだと思います。
「…ねぇ、…直人さん…」
僕は真顔になって、じっと直人さんを見つめました。
「…な、…何だよ、…シオン…?」
「…僕の前では、…素直になってもらえませんか?」
「はぁ!?」
直人さんが素っ頓狂な声を上げます。
「直人さん、人を信じられないんですよね?それが原因で独りを好むようになってしまったんですよね?」
「…お、…お前…ッ、…どこでそんな情報を…!?」
僕は少しだけ体を起こし、直人さんの体をゆっくりと撫で始めました。
「んなッ!?なッ、何をするッ!?」
直人さんがピクピクと体を動かします。僕は、
「見ていれば、分かりますよ。でも本当は、僕達のことを物凄く羨ましそうに見ています。本当は心を開いて、僕達の輪の中に飛び込めたらどんなにいいか、って。…だったら!」
僕はそう言うと、直人さんの大きく勃起しているペニスを、スーツ越しにキュッと握りました。その途端、
「んああああッッッッ!!!!」
と直人さんが叫び声を上げ、ビクビクと体を跳ねらせました。
「僕の前だけでも、せめて素直になってもらえませんか?僕は他のみんなにそのことを言うつもりもありませんし、…このままじゃ、…凄く寂しいんです…!!」
僕の告白。言うつもりはなかったのに、気が付いたら、物凄い勢いで言っていました。
「…シッ、…シオンッ!!…お前…ッ!!」
僕は直人さんの大きく勃起したペニスを何度も何度も握ります。そのたびに刺激が直人さんに伝わっているようで、直人さんは体をビクビクと跳ねらせながら僕に言います。
「…お前ッ、…んッ!!…言っていることと、…あッ!!…クッ!!…やっていることが、…んんッ!!…違…ッ、…ああッ!!…そッ、…それにッ!!」
はぁはぁと荒い息をしながら、直人さんがゆっくりと顔を起こします。
「…おッ、…俺は…ッ!!…何故、…勃ってるんだ…ッ!?」
「あはっ!僕が抱き付いたことで感じちゃったんじゃないですか?」
本当は薬のせいなんですけど。でも、今は直人さんには黙っておくことにしました。
「…俺が、…お前のことを…?…ま、…まさか…ッ!!」
「まぁ、どっちでもいいです。…でも…!!」
僕はそう言うと立ち上がり、デスクの中からあるものを取り出しました。
「…なッ、何だッ、それはッ!?」
僕が手にしたものを見た瞬間、直人さんが声を震わせ始めました。
「エビル・サンダーです。直人さんがなかなか素直になってくれないので、お仕置きです」
エビル・サンダー。ハンディタイプの電動マッサージ器なんですが、これを大きく勃起したペニスに当てると物凄い快感が体中を駆け抜けるんです。僕のヒーローであるタイムレッドの竜也さんも、タイムイエローのドモンさんも、この刺激には発狂しまくっていました。そして、この刺激に何度も何度も射精したんでしたっけ。
「これを使って、直人さんを強制射精させます!」
「な、何だとッ!?」
その途端、直人さんが物凄い勢いで体を揺さぶり始めました。
「直人さんのアソコからエネルギーを全て搾り取って、僕だけのヒーローになってもらうんですよ…!」
そう言うと、僕はそれを直人さんの大きく勃起したペニスの先端に当てました。
「やッ、止めろぉッ!!」
直人さんの低い叫び声が響きます。
「フフッ!」
僕は小さく笑うと、そのスイッチを入れました。