最後の恋 第25話(最終話)
それから1年。
僕達は相変わらずベッタベタな付き合いを続けていた。
「英浩さぁぁぁぁん…!!」
学校の課題やら就職活動やら、少しずつ忙しくなって来た大地君。それらが終わるといつものように喫茶店でアルバイトをし、終わると僕の部屋へ転がり込んで来る。
「今日も疲れましたよぉぉぉぉ…。今夜もエネルギーを搾り取られたいよぉぉぉぉ…!!」
「だぁかぁらぁッ!!晩御飯の支度をしている時にそれは止めなさいって!!」
大地君、相変わらずグレーのスウェット姿。背後から抱き締められるのは本当に嬉しい。でも、ご飯の支度中、しかも僕は包丁を持っている。更に、大地君のズボンの真ん中は相変わらず大きく勃起し、僕の双丘の窪みにグイグイと押し込んで来る。
「もうちょっとで出来上がるから、ちょっと待っててッ!!」
「…ちぇぇぇぇ…」
「ちぇぇぇぇ、じゃないッ!!」
口を尖らせ、ムスッとした表情で台所から出て行く大地君。
喧嘩らしい喧嘩なんて一度もしたことがなかった。年の差が離れすぎているのがいいのか、それとも、やはり気が合うからなのか。毎日、こんな感じでベタベタとしながら過ごす。そして、夜は相変わらずブラックターボに変身し、僕にエネルギーを搾り取られている。しかも、毎日必ず2回は絶頂に達する。
(若いっていいよなぁ…)
2回絶頂に達しても、大地君のペニスは大きく勃起したまま、その真っ赤に腫れ上がった先端の鈴口からはトロトロと淫猥な液体を溢れさせ続けるのだった。
「…ぶッ!!」
そんな大地君から就職先が決まった、いわゆる、内定をもらったと言う話を聞いた時、僕は飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出した。
「…ゴホ…ッ!!…ゴホッ!!」
「だッ、大丈夫ですかッ、英浩さんッ!?」
自宅だから良かった。これが、大地君がアルバイトをしている喫茶店だったら大変なことになっていたはず。大地君は台所からタオルを持って来ると、僕に差し出した。
「…あ…、…りが…とう…」
涙目になりながらゲホゲホと咳き込む僕。そんな僕の横で、大地君はニコニコと微笑んでいる。
「…マ…、…マジ…!?」
「はい、マジです!!」
「…ひぃぃぃぃ…ッッッッ!!!!」
僕が悲鳴を上げるのも無理はない。
大地君、就職活動で業種は僕と同じ業種を目指すと言っていた。もしかしたら、ライバルの会社に就職するかもしれないとも思っていたし、もしかしたら、僕が勤めている会社の面接を受けるかもしれない、もし、内定でもしたら、一緒に仕事が出来るかも、なんて密かに思っていた。そしたら、何と、
「オレッ、英浩さんが勤める会社に内定をもらうことが出来ましたああああッッッッ!!!!」
と、顔を赤らめてニコニコ笑顔で言って来たんだ。そりゃ、コーヒーを盛大に吹き出し、小さく悲鳴を上げるのも無理はないだろう。すると大地君は、
「な、何ですかッ、英浩さんッ!?オレに、一緒の会社に入ってほしくないって言うんですかッ!?」
と、目を見開いて詰め寄って来る。
「言ってない言ってないッ!!」
僕は思わず体を仰け反らせて思い切りそう言っていた。
「…マジで?」
「マジですッ!!」
「…マジで…、…僕が勤めている会社に就職するの?」
「マジですッ!!」
「…うああああ…」
頭を抱える。
そりゃ、大事な人が四六時中、一緒にいると言うのは嬉しい。でも…。
「…大地君…。…ちゃんと将来のこと、…考えた…?」
「…え?」
大地君はきょとんとしている。
「…仕事って、定年になるまで、60歳になるまで続くんだよ?…本当に、僕が勤めている会社でいいの?…僕が大好きな気持ちは嬉しいんだけど、もし、それだけで決めたんだったら…」
その時、大地君は僕のところへやって来ると、僕の両脇にそのガッシリとした腕を差し入れた。
「…え?」
その時、僕は椅子から立ち上がっていた。そして、そんな僕を大地君がギュッと抱き締めて来たんだ。
「…大地…君…?」
「…大丈夫ですよ…」
トクン…。トクン…。
大地君の心臓の優しい鼓動が聞こえて来る。
「…オレは、そんな一時的な考えで仕事を選んだりなんかしていません」
そう言うと、僕達は向き合った。大地君はニコニコと優しい笑みを浮かべて、
「英浩さんがあの喫茶店に来た時、いろいろな資料に目を通していたことがあったでしょう?それを見て、何だか面白そうだな、って興味を持ったんですよ。で、自分なりにいろいろ調べて、英浩さんがやっている仕事を僕もやってみたいって思えて。だから、オレ、決して一時的な気持ちで決めたわけじゃないです。それは大丈夫ですッ!!」
と言ったんだ。
「…本当に?」
「本当です!!」
そう言うと、
…チュッ!!
と言う音を立てて、僕達はキスをしていた。
その夜。
僕達は初めて1つになった。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
喘がされているのは僕。
「…す…っげ…!!…英浩さんのお尻、…すっげぇ…、…締まる…ッ!!…オレ…ッ、…ちぎられ…、…そう…ッ!!」
ブラックターボに変身している大地君。その光沢のある漆黒のスーツがキラキラと輝く。そんな大地君に両足を持ち上げられ、僕は抱きかかえられている。そして、ブラックターボのスーツから飛び出した大地君の大きなペニスは僕の双丘に突き刺さり、大地君がゆさゆさと体を揺さぶるたびに、ズンズンと僕の体の奥深くへ突き刺さったんだ。
「…だ…ッ、…大地…く…」
ズチュズチュズチュズチュッッッッ!!!!ズチュズチュズチュズチュッッッッ!!!!
「ひぎゃああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
顔を真っ赤にし、涙をぽろぽろと伝わらせる僕。そのぽっかり空いた口からは涎が溢れ出していた。
「…英浩さん…」
「ああッ!!ああッ!!」
「…オレが…、…ずっと…、…英浩さんを…、…守ります…ッ!!」
「うんッ!!うんッ!!」
「…オレは…。…英浩さんだけの…、…ブラックターボですッ!!」
それからあっと言う間に月日は流れ――。
「おい、大地ッ!!行くぞッ!!」
少しだけ汗ばむようになって来たうららかな春の日。僕は営業に出るための荷物を準備しながら、大地君に声をかけた。
「得意先に持って行く資料、準備出来てるか?」
「はいッ!!」
真新しいスーツに身を包んだ大地君。両手いっぱいに荷物を持ち、ニコニコとしている。
「…?…どうしました?」
「…え!?…あ、…い、…いや…」
「…あ〜…」
その時、大地君はニヤリと意地悪い笑みを浮かべた。
「まぁた、オレのスーツ姿を見て見惚れてたでしょう?」
「…うん…」
僕は顔が真っ赤。すると、大地君は、
「んもうッ!!英浩さんったら、相変わらず、分かりやすいなぁッ!!」
と言って、僕の頭をクシャクシャと撫でて来た。そのリアクションに、僕は特にこれと言って抵抗を示すことはない。だって、ほぼ毎日のことなんだから。
「本当は、ここでも英浩さんを抱き締めたり、キスしたりしたいですけどねッ!!それは夜のお楽しみってことで!!」
「…フフッ!!」
思わず笑ってしまう。
「…今日も、行く?」
「もちのロンですッ!!」
営業しながら、ちょっと休憩したくなった時に僕達が行く場所。僕達が出逢った、あの淹れたてのコーヒーの匂いのする、あの喫茶店。
「じゃあ、行こうか!!」
「はいッ!!今日も頑張るぞオオオオッッッッ!!!!」
大地君の明るい声が辺りに響き渡ったのだった。
最後の恋 完