新帝国の奴隷 第5話
「…う、ああ…ッ!!」
体中の痛みに耐えながら、見知らぬ場所へ連れて来られたグリーンツー・高杉真吾。周りには何もない、冷たい無機質な空間。
「…ここは、…どこだ…!?」
グリーンツーに変身したまま、頭を軽く振って周りを見回そうとする。だが、わりと広めのその部屋の中には一切のものがなく、薄暗い灰色の空間と化していたのだった。
「ここは僕のプレイゾーンだよ」
その声にはっとなり、真吾は尻餅をついたような格好でその声の方を見た。
「…秀一…君…!!」
そう言った時、真吾は胸がズキンと痛んだ。
今日、秀一と会わなければ、秀一は新帝国ギアに拉致されて洗脳され、プリンスにならなかったのにと言う後悔が、後から後から真吾を襲う。そしてその後悔のあまり、秀一の良いようにされて体中が痛む。特に、蹴り上げられた股間は、未だにズキズキと疼いていた。
「…も、…もう止めてくれッ、秀一君ッ!!」
そう言いながら、尻で後ずさる真吾。光沢のある鮮やかな緑のスーツの尻の部分が埃で薄汚れる。すると、プリンスはムッとした表情をしたかと思うと、真吾の顔面を思い切り蹴り飛ばしたのである。
「あああッッッ!!!!」
真吾が叫び声を上げ、ゴロゴロと地面を転がる。そして、仰向けになった途端、
ドガッ!!
腹部に鈍痛を感じ、真吾は一瞬、息が詰まった。
「…ぐふ…ッ!!」
真吾の体が腹部を中心に真っ二つに折れ曲がる。プリンスの右足が、真吾の腹部を踏み付けていたのだ。
「オレはプリンスだッ!!秀一なんてヤツじゃないッ!!」
そう言うとプリンスは、怒りに任せて真吾の腹部を踏み付けていた右足を何度も上げては下ろし始めたのだ。
ドゴッ!!ドゴッ!!
鈍い音と共に、
「おごッ!!ぐあッ!!ああッ!!ああッ!!」
と言う真吾の叫び声が響き渡る。
「…はぁ…、…はぁ…!!」
何度か踏み付けた後、プリンスが息を弾ませて真吾を見下ろした。
「…う、…ごほッ!!…あ、…あ…!!」
真吾は辛うじて息をしながら、体をゆっくりと横へ向けた。鈍い痛みが全身を駆け巡る。
だが、真吾ははっきりと感じていた。あのプリンスは、やはり秀一に間違いないと。メカ人間が荒い息なんてしない。荒い息をすると言うことは体力に限界がある証拠だ。つまり、人間であることに間違いがないからだ。
と、その時だった。
真吾は足元が重くなったのを感じた。
「…う、…うわあああッッッ!!」
真吾の、グリーンツーの光沢のある緑と白のスーツの股の間を縫うように、プリンスが伸し掛かって来ていたのだ。しかも、プリンスの、秀一のその瞳はウットリとした、まるで恋をする少女のようであった。
「…あぁ…、…高杉さん…!!」
真吾は絶句する。ドクターマンによって洗脳されているはずのプリンスが、自身のことを「高杉」と呼んだからだ。
「…秀一、…君…?」
ゆっくりと上半身を起こす真吾。
「…高杉さんの足…。…何て、太くて、逞しいんだろう…」
そう言いながら、真吾の右足の内股部分を擦るプリンス。
「うああああッッッッ!!!!」
ゾクゾクとした悪寒が真吾の体を駆け巡る。
「…やッ、止めろッ!!…秀一君ッ!!」
真吾が身を捩じらし、何とかプリンスを離そうとする。だが、散々与えられたダメージで思うように力が入らない。ましてや、自身の体の上にいるのは、あの秀一なのだ。
そのプリンスは真吾の声に耳を貸さず、真吾の太腿を内股から外側へ撫で上げたり撫で下ろしたりを繰り返す。そのたびに、真吾はゾクゾクとした悪寒に襲われていた。
「…あぁ…」
プリンスが声を上げた。
「…高杉さん…」
またもや真吾のことを苗字で呼ぶプリンス。
「…うああ…!!」
真吾が恐怖におののく。と言うより、頭の中はすっかり混乱していた。本当に洗脳され、プリンスとなってしまった秀一、本当は洗脳されてはおらず、何かの事情でプリンスを演じなければならない秀一。真吾は最早、目の前にいる少年が本当はどちらなのか、分からなくなりつつあった。その時だった。
「…噛み付きたい…!!」
プリンスがそう言った瞬間だった。不意に彼の頭が動いたかと思うと、口を大きく開け、真吾の右内股に大きく噛み付いたのだ。
「ぐわああああッッッッ!!!!」
激しい痛みが真吾の意識を覚まさせ、真吾の体がビクンと大きく跳ねた。
「…あ…あ…あ…!!」
プリンスはかなりの強さで真吾の内股に噛み付いている。
「…あぁ…」
やがて、プリンスが太腿に噛み付くのを止めた。
「…最高だよ、高杉さん。…逞しくて、硬くて、噛み付き甲斐がある…!」
プリンスがそう言った時だった。
「ぐわあああああッッッッッ!!!!」
真吾を再び激痛が襲う。プリンスが再び同じところに噛み付いたのだ。
「…もッ、…もうッ!!…止めてくれええええッッッッ!!!!」
野太い声で叫ぶ真吾。そして、足をバタバタと動かそうとする。そのたびに、鮮やかな緑のスーツの足の付け根部分、真吾の男としての象徴がビクンビクンと蠢き、スーツの中でふっくらとした膨らみを作り出す。
「…フフフ…!!」
ウットリとした表情で不気味に笑うプリンス。光沢のある緑のスーツの部分には、クッキリとプリンスの噛み跡が付いていた。
「…真吾さん…」
ゆっくりと体を上って来るプリンス。そして、真吾の胸の部分まで来ると、今度は右腕をゆっくりと持ち上げた。
「…止めろ…!!」
真吾の声が震える。それよりも、下手に体を動かすことが出来なくなっていた。プリンスは本当は洗脳されておらず、何かの事情でプリンスを演じなければならない秀一そのものだと思っていたからだ。
「…真吾さんの腕も、…太くて逞しいよね…!!」
そう言いながら、真吾の腕に頬擦りをするプリンス。
「…もう、こんなことは止めてくれッ!!秀一君ッ!!」
だが、プリンスはいきなり真吾の右腕に噛み付いたのだ。
「ぐわあああああッッッッッ!!!!」
真吾が再び悲鳴を上げる。その時、ゆっくりとプリンスが真吾の体を下りた。
(?)
その時、真吾は自身の体が持ち上げられるのを感じていた。
「…しゅ、…秀一君…?…何を…?」
真吾はプリンスによって、四つん這いの姿勢を取らされていた。
「…真吾さんの、…お尻…。…何てぷりんってしてるんだろう…!!」
四つん這いになった真吾の尻をゆっくりと撫でるプリンス。
「…ん…、…く…ッ!!」
羞恥に歯を食い縛る真吾。下手に動けば、秀一を傷つけかねない。そう思った時だった。
「…んあッ!?」
真吾は素っ頓狂な声を上げ、体をビクンと跳ねらせ、顔を上げた。
「…あ…あ…あ…!!」
ゆっくりと内側を見る真吾。
真吾の足の付け根。緑色の膨らみ部分を、プリンスのしなやかな手が包み込んでいたのだった。