最高のプレシャス 第21話
…チュッ!!…チュッ!!…クチュッ!!…クチュ…ッ!!
さっきまでとは全く違う、くすぐったく柔らかい感覚の音が部屋の中に響き渡る。
「…ん…。…ん…!」
それに合わせるかのように、少年のようなやや高めの声が響く。
「…に…い…ちゃん…」
暁に覆い被さられている魁が声を上げる。
「…兄ちゃん…。…大好き…!!」
赤らんだ顔。その目から涙が零れ落ちた。
「…ああ…!!」
すると、暁もニッコリと微笑んで、
「…オレも…、…お前が好きだ…!!」
と言った。
お互いの気持ちに素直になったボウケンレッド・明石暁とマジレッド・小津魁。魁の暁への想いは恋愛感情に対し、暁はまだそこまでの感情は持ってはいなかった。
「…女の子との恋愛のように、お前のことをそう言う気持ちで見られるかは、正直、今の段階では分からない。…だが、…少なくとも、お前を守りたい、お前を離したくないと言う気持ちはオレの心の中にある!」
真剣な眼差しで魁を見つめながら言った暁。
「恋愛感情かどうかは分からんが、少なくとも、今のお前はオレの中で最高のパートナーだ!!」
そうは言うものの、
「オレは自分の夢でもある冒険家になることも諦めたくない。だからこそ、サージェスの一員となると言う厳しい道を選んだ。そして、命懸けの訓練に耐え、ようやくボウケンレッドになることが出来たんだ。…魁には本当に申し訳ないが、…オレは、ボウケンレッドを辞めたくない。いや、辞められない。それが、オレの小さい頃からの夢だったから!」
と、あくまでも夢を追いかける冒険家としてのスタンスを保っていた。それに対し、魁は、
「…兄ちゃんが…。…暁兄ちゃんが僕に秘密を知られて、サージェスを辞めざるを得なくなれば…、…そうすれば、兄ちゃんはずっと僕の傍にいてくれる。…危険な、命懸けなことをしなくても良くなる、そう思ったんだ…。…でも…、…それは兄ちゃんの夢を奪うことになる。…ずっと冒険家になりたくて仕方がなかったっていつも話してくれてた。その話をする時の兄ちゃんの目が本当にキラキラしててさ」
と、暁のことを心配するあまり、あのような行為に出たことを伝えた。
だが、それが結果的に2人を強く結び付けることとなった。
「…魁。…やっぱり、…お前は最高のプレシャスだな…!」
そう言った時の暁の眼差しは本当に真剣に魁のことを想っているように思えた。
…チュッ!!…チュクッ!!…チュクチュク…ッッッッ!!!!
お互いの唇がくっ付いたと思ったらすぐに離れ、またくっ付いたと思ったらまた離れる。その時に起こるくすぐったい音が、今の暁と魁には心地良く聞こえていた。
「…兄ちゃん…」
「うん?」
お互いの体の温もりを感じるかのようにしっかりと抱き合う2人。その時、魁が顔を赤らめ、
「…もっと…、…いじめてよ…!!…僕、…暁兄ちゃんにお仕置きされたい…!…あんなに、…あんなに兄ちゃんのことをボロボロにしたんだから…!!」
とはにかんだ笑顔を見せた。
「…フッ!!」
その時、暁は静かに笑ったかと思うと、
「あんまりかわいいことを言うな。制御が効かなくなるだろう?」
と言うと、魁に再びキスをし始めた。
「…んん…ッ!!」
その時、不意に魁が顔を歪め、呻き声を上げた。と同時に、
クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
と、くすぐったい音がやや大きくなった。
「…んん…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!」
魁の呻き声が更に大きくなり、暁の背中に回している両腕に力が入る。
暁の舌が物凄い勢いで魁の口の中へ入って来たかと思うと、全てを舐め回すように動き始めたのだ。
「…は…、…あぁぁ…ッ!!」
「…ん…、…んふ…ッ!!」
暁の舌が動くと、それを追いかけるように魁のそれも動く。
その時、暁の右手がゆっくりと動き、魁の左胸の突起に触れた。その瞬間、
「んんんんッッッッ!!!!!!??」
と素っ頓狂な声を上げ、魁はビクビクと体を痙攣させた。
「…フフッ!!」
暁が意地悪く笑っている。
「…魁ぃ。童貞のくせに、良い声で鳴くなあ!」
「んなッ!?」
瞬時に起き上がろうとしたその瞬間、暁は魁の左胸の突起をくすぐるように刺激し始めたのだ。
「んあッ!?ああッ!?ああッ!!ああッ!!」
体中にビリビリと流れる刺激に、魁は思わず目を硬く閉じ、叫ぶ。
「…ほぉら…。…気持ち良いだろう、魁ぃ?」
暁はニヤニヤと笑いながら、魁のそこを執拗に刺激する。くすぐるように指を小刻みに動かしたかと思えば、その突起の周りを優しく撫でたり、時にはキュッと摘まんだりを繰り返す。そのたびに魁は、
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!」
と、悲鳴を上げ続ける。
「…やッ、…ヤダ…ッ!!…さッ、…暁…兄ちゃああああんんんんッッッッ!!!!」
顔を真っ赤にし、目を潤ませて叫ぶが、暁は、
「苛めて欲しいんだろう?お仕置きして欲しいんだろう?」
と言いながら、魁の左胸の突起を執拗に刺激し続ける。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
魁は大きく叫びながら、無意識に体を弓なりにさせている。すると、魁の背中に回していた暁の左腕に力が入り、魁をグイッと抱き起こした。
「…え?」
魁が呆然としている間に、暁は抱き起こした魁の背後へ回ると、背後から魁の両胸の突起を、ボウケンレッドの真っ赤なグローブで包まれた左右の指で同じように小刻みに刺激し始めたのだ。その瞬間、
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、魁が体をビクビクと跳ねらせ、体を仰け反らせる。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ビクビクと体を跳ねらせる魁。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
目を虚ろにし、荒々しい呼吸を続けている。そんな魁の2本の足の付け根部分。魁の男としての象徴であるペニスがマジレッドの光沢のある鮮やかな赤色のスーツの中で大きく勃起し、ビクビクと脈打っていた。そして、よく見れば、その先端はねっとりとしたてらてらと照り輝く淫猥な液体に包まれ、スーツの光沢を失わせていた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
意識的なのか、無意識なのか、魁の右手が自身のペニスの方へ伸びて行く。
ガシッ!!
そんな魁の右手を、暁の太く逞しい右手が掴んでいた。
「こぉら、魁!ガマンしないと、もっと気持ち良くしてやらないぞ?」
「…え?」
その時、魁は暁の顔をぼんやりとした意識の中で見た。そして、
「…ッ!?」
と息を飲んだ。その瞬間、ゾクゾクとするような、全身に鳥肌が立つような感覚が魁を襲った。
暁の表情。今までになかったほどニヤニヤと不気味に笑い、目をギラギラとさせている。
「…暁…、…兄ちゃん…?」
いつしか、魁の声が震えていた。
「…フフッ!!」
暁が低く笑う。
「…今のオレは、…野獣だ…!!…魁、…お前を滅茶苦茶にしてやるよ…!!」