違反切符 第11話

 

 光沢のある、鮮やかな緑色のクルマジックスーツ。蛍光灯の下で足を少しだけ広げ、静かに立っているグリーンレーサー・上杉実。だがその姿も、普段とは1ヶ所だけ違うところがあった。

「…これで、…ええんか?」

 実の声がはっきりと聞こえる。今、実はグリーンレーサーにアクセルチェンジしているものの、マスクを装着していなかったのだ。その目は輝きを失い、顔はほんのりと赤らんで見える。

「相変わらず、エロいよなぁ、このスーツってさ!」

 そんな実の目の前には、半袖短パン姿の1人の高校生・伊達健太が目をぎらぎらさせて立っていた。いや、ただ立っているだけではなかった。健太の男子としての象徴が、茶色の短パンの中で大きく盛り上がっていたのだ。そして健太は、そんな自身の勃起したそれを揉みしだきながら、ゆっくりと実に近付いて行く。

「なぁ、実ぅ。どっちかの足を上げてくれよ!」

 すると、健太の声に釣られるかのように実の右足が上がったのだ。

「…何を、…する気や…?」

 実は健太をじっと見下ろしている。すると健太は実の右足をしっかりと支えるように左腕で抱えると、

「キラキラしてると、足の筋肉の付き方とか、妙にエロく感じるんだよなぁ!」

 と言い、右手で実の太腿を何度も何度も擦り始めた。

「…ッ!!…んクッ…!!

 時折、実の体がピクピクと跳ね、声を漏らす。健太の右手が、実の内股をそっと撫でた時だ。

「あん?どした、実ぅ?」

 健太がニヤニヤしながら実を見上げる。

「…くすぐ…ってぇ…!」

 目を閉じ、顔を赤くしている実が呻くように呟く。すると健太は、

「フフッ!実ってさぁ、結構、感じやすいとか?」

 と言いながら、何度も何度も実の内股を擦る。

「…んべッ、…別に…ッ、…んクッ!!…ただ、…くすぐったい…ッ、…だけや…ッ!!

 顔を真っ赤にし、目を硬く閉じる実。だが、体は正直なのか、時折、ビクンビクンと跳ねる。

「フフッ!まぁ、いいや!」

 健太はそう言うと、実の足をゆっくりと下ろした。そして、それまで実の足を擦っていた右手を、今度は実の股間へと伸ばし、そこにある実の男子としての象徴を静かに包み込んだのである。

「んあッ!!

 その刺激に、実が思わず声を上げる。

「フフッ!実ぅ、やっぱり感じやすいんじゃん!」

 健太はそう言いながら、実の股間をゆっくりと、まるで痴漢行為をするかのように妖しく撫で始める。真っ直ぐに上を向いたそれの先端まで指先を這わせ、ゆっくりと手のひらを下へ移動させたかと思うと、実の股の奥まで手を入れる。

「…んッ!!…く…ッ!!…あぁ…ッ!!

 実は相変わらず目を固く閉じ、必死にその刺激に耐えようとする。グリーンレーサーの白いグローブは固く握られ、それがギリギリと音を立てた。

 だが、やはり体は正直だ。実の股間のそれは、少しずつ硬さを増し始めていた。

 と、その時だった。

「んあ〜、疲れたぁ…!」

 健太が突然、そう言ったかと思うと、それまで触っていた実の股間から手を離したのである。

「…え?」

 当然、実は戸惑う。すると健太はベッドに座ると、

「おい、実ぅ。こっちに来いよ!」

 と言った。

 その声に、実は無言のまま従う。すると健太は実の右腕を掴んだかと思うと、

「ここに横になれよ!」

 と言ったのだ。

「…あ、…あぁ…」

 実は頷くと、健太の背後へ回り、ベッドの上に静かに仰向けにひっくり返った。下手に逆らえば、何をされるか分かったものではない。今はただ、健太の言う通りにするしかない、実はそう思っていた。

 すると健太は、仰向けにひっくり返った実をじっと見下ろしている。

「…何や?」

 実が訝ると、健太は、

「…やっぱり、…エロ過ぎるよなぁ…!!

 と言い、実の体を何度も何度も舐めるように見下ろした。

「胸や腹の筋肉とか、腕や足の筋肉や太さ…!…羨ましいくれぇだ…!」

「別に健太の好きにしてええんやで?オレは、健太様の奴隷やさかいな…!」

 実がそう言うと、健太は、

「ようやく自分から奴隷って言ったよな、実ぅ!」

 とニヤニヤしながら言った。

「…ッ!!

 その言葉に少しカッとなった実だったが、すぐに冷静になると、

「どうせ、ここでオレが抵抗したって無駄なことは分かっとる。オレは、今は健太様に抵抗出来んからな!」

 とややぶっきらぼうに言った。

「そうそう。お利口さんだねぇ、実は!」

 健太はますます調子に乗り、そう言うと、実の股間をキュッと握った。

「んくッ!!

 その刺激に、実は再び体をピクリとさせる。

「相変わらずふてぶてしいよなぁ、実のここって!」

 すると健太はベッドから立ち上がると、自分の机へ向かい、ゴソゴソとやり始めた。

「?」

 実はそんな健太の動きを、諦め半分、怯え半分の面持ちで見ていた。いつもより少しだけ早い、トクン、トクン、と言う実の心拍音が体を伝って聞こえて来る。

(…オレは、…一体、何をやっとんのや…?)

 何だか、よく分からなくなって来た。

(…オレは、…何のために、…正義のヒーローを…?)

 と、その時だった。

「…あったぁッ!!

 突然の健太の大声が、実を現実に戻した。そして、健太が手にしたものを見た途端、実は思わず目を見開いた。

「んなッ、何やぁッ、それはぁッ!?

 マジックテープのついた太めのバンドのようなものに、長い紐が付いている。それを健太は数本持っているようだった。

「コイツか?」

 健太はそう言いながら、ゆっくりと実の方へ近付いて来る。

「…なッ、…何をする気やッ!?

 瞬時に体を起こす実。だが、

「…うう…ッ!!

 と唸ったかと思うと、再びベッドに沈み込んだ。

「…オレは、…抵抗出来んのや…ッ!!

「そうだよ?実は奴隷なんだからな!…じゃあ、今からお前を拘束させてもらうぜ?」

 健太はそう言うと実の両腕をベッドの両端へ下ろし、ベッドの足へグルグル巻きにして縛り上げた。更に、実の両足を肩幅よりやや広めに広げさせ、やはりベッドの足と繋いで縛り上げた。

「…ぐ…、…うう…ッ!!

 実が動こうとするが、実を拘束している拘束具は簡単には取れそうになかった。

「さぁて、次はどうしようかなぁ…!」

 健太の目がギラリと光った。

 

第12話へ