アースフォースを奪え! 第2話
光沢のある鮮やかな青いチェンジスーツに身を包まれたチェンジペガサス・大空勇馬。それと同じように光沢のある鮮やかな青い体付き、金色の髪をしたヒドラー兵。
「…くっそぉぉぉ…ッッッ!!!!」
勇馬は今、大勢のヒドラー兵を目の前にして怒りを隠せないでいた。シャトルベースで仲間や同僚に馬鹿にされただけではなく、こうやって目の前に大量の敵がいたからだ。
「どいつもこいつも、オレをバカにしやがってええええッッッッ!!!!」
勇馬はそう叫ぶと、
「うおおおおおおッッッッッッ!!!!!!」
と、腰に吊るしていたチェンジソードを振り翳し、ヒドラー兵の大群に突っ込んで行った。
「…フン…!」
クカカカと不気味な声を上げ続けるヒドラー兵の大群の中に、雰囲気の違うオーラを放つ者がいた。見た目はヒドラー兵と変わらない、光沢のある鮮やかな青い体付き、金色の髪の毛の宇宙獣士ヒドラスだ。
「…一人で突っ込んで来るとは…、…愚かな…!!…まぁ、いい。…存分に痛め付けてやろう…!!」
すると宇宙獣士ヒドラスは、そんな勇馬の突進を鼻で笑ったかと思うと、
「…やれ、お前達…!」
と静かに右腕を肩の位置で真っ直ぐに前へ伸ばした。その瞬間、ヒドラー兵は不気味な唸り声を上げながら、勇馬へ向かって飛び掛かって行く。
「…オレを…ッッッ!!!!」
チェンジソードを振り翳してヒドラー兵に突っ込んで行く勇馬。そのたびに、光沢のある鮮やかな青色のチェンジスーツが勇馬の体付きをクッキリと浮かび上がらせる。
「なめるなよオオオオッッッッ!!!!」
勇馬はチェンジソードを振り回し、ヒドラー兵の円盤型の武器をかわして行く。
「…せいっ!…はあっ!…いぃやッッッッ!!!!」
チェンジソードだけではなく、その体を生かし、パンチやキック、アクロバティックな動きで軽快に動く。
「…ほう…」
それを遠くで見ているヒドラスが声を上げる。
「…ううむ…」
その不気味な醜い顔から、真っ黒な舌が出て来たかと思うと、
「…美味そうだ…!」
と言い、その唇を何度も何度も舐め回す。
その間にも、勇馬は次々とヒドラー兵を倒して行く。勇馬の腕、勇馬の足、勇馬の体の筋肉、至るところがチェンジペガサスの光沢のある鮮やかな青色のチェンジスーツの光沢に太陽の光を反射させ、勇馬の体付きを浮かび上がらせる。
「…やつから放出されるアースフォースを、…どうやったら奪える…?」
その頃、勇馬は少しずつ押され始めていた。
いくらチェンジペガサスにチェンジしているとは言え、多勢に無勢。勇馬の力にも限界がある。
と、その時だった。
「こんのおおおおッッッッ!!!!」
勇馬はチェンジソードを頭上へ大きく振りかぶった。その瞬間、一体のヒドラー兵が勇馬の真正面に立ち、右足を大きく振り上げたのだ。
ドゴオオオオッッッッ!!!!
鈍い音が辺り一面に響き渡ったかと思ったその瞬間、
「…ぐ…あ…!!」
と言う低い呻き声を上げ、勇馬の動きが止まった。
「…あ…あ…あ…!!」
大きく開いた股の間に、真正面に飛び込んで来たヒドラー兵の右足が減り込んでいる。そして、その中心部分のチェンジスーツがこんもりと盛り上がっていた。
勇馬の2本の足の付け根、勇馬の男子としての象徴であるペニスとその下に息づく睾丸が不自然な形に盛り上がっていた。
「…ん?」
それにはヒドラスも気付いたようだ。
「…い…い…い…!!」
勇馬の体がブルブルと震え始め、
「ぃぃぃいいい痛ってええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と絶叫した。そして、
「痛ってえなああああッッッッ、こんのおおおおッッッッ!!!!」
と涙声でそう言ったかと思うと、
「うおおおおりゃああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と振り上げていたチェンジソードを真っ直ぐに振り下ろした。その瞬間、目の前にいたヒドラー兵は不気味な悲鳴を上げて倒れた。
「もおおおおっっっっ!!!!」
勇馬の体がオーラに包まれて行く。
「アッタマ来たああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
そう叫んだ勇馬は次の瞬間、大きくジャンプして天高く舞い上がった。そして、
「ペガサスアタァーックッッッッ!!!!」
と言い、天高く翔け上る天馬の姿で勢い良く降下し、大きな爆発と共にヒドラー兵の大群をなぎ倒していた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!」
天馬のポーズで華麗に着地を決めた勇馬。その呼吸が大きく、荒々しくなっている。だが、
「…うぐ…ッ!!」
と言う呻き声を上げたかと思うと、
「痛ってええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と悲鳴を上げ、股間を押さえ、ぴょんぴょんと飛び上がり始めたのである。
「ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!」
必死にその痛みを誤魔化そうとするのか、それとも先ほどのヒドラー兵の蹴りで移動した睾丸を元の位置に戻そうとしているのか、とにかく小刻みにジャンプを繰り返し、時には腰をトントンと叩き、その姿にはヒドラスも声をかけるのを忘れるほどであった。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!」
ひとしきり大騒ぎをした後、勇馬はようやくヒドラスを睨み付けた。
「…あ、…後は、…お前だけだぁッ!!」
「…フッ…!」
その時、ヒドラスはいきなり大声で笑い始めたのである。
「んなッ!?」
これには勇馬も驚き、
「なッ、何がおかしいんでぇッ!!」
と怒鳴った。するとヒドラスはスッと右手を挙げ、
「そこが、貴様の弱点のようだな…!!」
と言ったのである。
「…あぁ?」
勇馬は自身の股間を見下ろし、
「…そッ、…そんなんじゃねぇよッ!!」
と言った。チェンジペガサスのマスクの中が熱い。顔が赤くなっているのが分かった。いや、それだけではない。ヒドラー兵に蹴り上げられた勇馬のペニスが少しだけ頭をもたげ、小さな膨らみを形成していたのだ。
「…そうか…」
ヒドラスが小さくそう言ったかと思うと、
「…ならば、…貴様のその体に直接聞いてみるとしよう…!」
と言った時、ヒドラスの目がギラリと光った。
次の瞬間、勇馬の体は重力が掛かったかのように、身動きが取れなくなった。