終わらない因縁 第7話
しんと静まり返った廃工場の中で、シシレンジャーに気力転身した大五。そんな大五の両手首を、吊り下げられたリフトを通して垂れ下がっている細い紐のようなものがしっかりと捕らえている。
「…ク…ッ、…クジャク…ッ!!」
目の前にいる孔雀明王の化身・クジャクが頬を赤らめ、シシレンジャーに気力転身した大五を見つめていた。
「…おッ、…俺をッ、どうする気だッ!?」
「そんなに心配せずとも良い、大五」
クジャクはそう言うと、コツコツと靴音を立てながら大五のもとへ歩み寄り、静かに抱き締めた。その柔らかい、むっちりとした体が大五に触れる。
「…ッ!?」
その途端、大五の体がビクッと跳ねた。
「…私はお前達人間と交わることは出来ぬ。…だが、こうやって触ることは出来る…」
ドクン!
大五の心臓が再び大きく跳ねる。
「…クジャ…ク…」
今、大五の心の中には2つの思いがぐるぐると交錯していた。
(…こんなこと…、…本当にいいのか…?)
1つは、理性を保った思い。いくらシャダムを倒すために大地動転の玉を作り出すとは言え、神の化身であるクジャクとこのような行為に及ぼうとする自分がいる。その疑問が、辛うじて大五を踏み止まらせていた。
そして。
(…クジャクに…、…触れたい…ッ!!…クジャクに…、…全てを捧げたい…!!)
もう1つは、男としての本能を剥き出しにした思い。いくら神の化身であるとは言え、クジャクは女性であり、かつては自分が愛した女性だ。それはつまり、男ならその願いを叶えたい、意中の女性と肉体関係を持ちたい、そう思うのも当たり前であった。
「…クジャク…!!」
はぁはぁと荒い呼吸をし、体をガタガタと震わせる大五。
「…クジャク…!!…クジャクううううッッッッ!!!!」
「…え?」
クジャクが驚いて声を上げるのも無理はない。
自身の下半身にゴツゴツとした硬いものが当たったような気がした。いや、実際に当たっていた。それを見た瞬間、クジャクは赤らんでいた顔を更に赤くした。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
大五の2本の足の付け根部分。大五の男としての象徴であるペニスが今、シシレンジャーの光沢のあるスーツの中で大きく勃起し、こんもりとした山を作り出していたのだ。
「…すッ、…すまん…ッ、…クジャ…ク…!!」
いくら男の本能とは言え、これでは愛する女性にも引かれるだけだ。だがクジャクはクスッと笑うと、
「…仕方がないな。…動物のオスは皆、こうだ」
と言い、大五の背中に回していた腕の力を少しだけ強めた。
「…これが、…私が愛した、…大五…」
「…」
トクン、トクンと静かな心音が大五に伝わって来る。その優しい微かな香りに、大五はクジャクがこの世界の人間ではないことを改めて感じた。
「…クジャク…」
「…大五…。…お前の顔を、…良く見せておくれ…」
クジャクの潤んだ瞳が、大五の感覚を更にぼんやりとさせる。
「…ああ…」
その時、大五のシシレンジャーのマスクが光を放ち、中からは虚ろな表情の大五の顔が現れた。
「…フフッ!」
そんな大五を見て、クジャクが思わず笑う。
「…ク、…クジャク…」
顔を真っ赤にした大五がそう言うと、クジャクは、
「…では、…始めるぞ…?」
と言い、その顔を大五の顔に近付けた。
…チュッ!!…クチュ…!!
その唇と唇が触れ合い、心地良くもくすぐったい音が静かに聞こえる。
…クチュクチュ…、…クチュクチュ…!!
お互いの唇を貪り、舌を情熱的に絡め合う2人。
「…ん…、…んん…ッ!!」
大五が呻き声を上げる。その間、クジャクは大五の筋肉質な体を何度も何度も撫で上げていた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
やがて、お互いの唇が離れた時、大五は虚ろな表情のまま、荒い呼吸をする。クジャクは頬を赤らめ、ニッコリと微笑むと、
「…大五…。…お前を、…もっと快楽に導いてやろう…」
と言うと、そのしなやかな指を大五の体に這わせ始めた。
「…お前の、…気力を最大限に引き出すために…」
女性特有のしなやかな指が大五の頬から首筋、肩、胸へと下りて行く。その指が大五の胸を通過した時、
「んッ!!」
と、大五がビクリと体を跳ねらせた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
目を見開き、何か信じられないものを見るような面持ちでクジャクを見つめる大五。するとクジャクは、
「フフッ!」
と笑うと、
「男とて、感じるところは女と一緒だ。母親の胎内にいる時、男も最初は女だったのだから」
と言うと、大五の胸のその部分を指で撫で始める。
「…んッ!!…んく…ッ!!…んん…ッッッッ!!!!」
顔を真っ赤にし、目を硬く閉じて懸命にその刺激に耐えようとする大五。その体が小刻みに震えている。
「…フフッ!」
クジャクは悪戯っぽく笑うと、そっと大五の背後に回る。
「…?」
その動きを視線だけで追う大五。その時だった。
「あッ!?」
と大五が声を上げ、体をビクンと跳ねらせて顔を上へ向けた。
「…あ…あ…、…あぁぁ…!!」
大五のシシレンジャーのスーツの白い部分に浮き出た、大五の筋肉質な両胸の突起をクジャクが優しく愛撫している。その突起をくすぐるようにクリクリと小刻みに刺激をしたり、その周りを優しく撫でたり。そのたびに大五は、
「…ああああ…、…んんんん…ッ、…くああああ…ッッッッ!!!!」
と喘ぎ声を漏らす。
「どうだ、大五?感じるであろう?」
嬉しそうに言うクジャク。
「…クッ、…ジャ…ク…!!」
なおも執拗にそこを刺激して来るクジャクに、大五は困惑を覚えた。
あの、凛とした戦士としての、神の化身としてのクジャクが今、自身の気力を高めるためにこのように淫乱になっている。
「私とて、神である前に一人の女だ…」
耳元で囁くように言われ、
「んんんんッッッッ!!!!」
と、大五が再び声を上げ、体をブルブルと震わせる。
「…クジャク…!!…クジャクううううううううッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時だった。
「んああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
突然、大五が目をカッと見開き、大声で叫んだ。
「…大五…。…お前のペニス…、…何と大きいのだ…!」
背後ではクジャクがホウと溜め息を吐き、目を輝かせている。
クジャクのしなやかな右手が大五の前へ回り、そこで大きく勃起している大五のペニスを優しく包み込んでいたのだった。