終わらない因縁 第26話

 

「「「「「…さぁ、…亮…。…お前の…、…お仕置きの時間だ…!!」」」」」

 シシレンジャーに気力転身した5人の大五。シシレンジャーの技の1つである「天幻星・ゴーストランナー」で生み出された4人の大五は、リュウレンジャーに気力転身した亮の目の前でその目をギラギラとさせ、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていた。

「…あ、…兄貴…!?…ウソ…だろ…!?

 亮も呆然としたまま、その場で固まってしまっている。その時、本物の大五がパチンと指を鳴らした。と同時に、他の4人の大五がゆらゆらと動き始め、亮の体を捕らえ始めたのだ。

「やッ、止めろッ!!

 亮が必死に体を動かし、大五の手から逃れようとするが、多勢に無勢。4人の大五に両手と両足をあっと言う間に取られ、その場に立たされてしまったのだ。

「止めろオオオオッッッッ!!!!…はッ、…離せ…ッ!!…離せよオオオオッッッッ!!!!

 亮が懸命にもがくが、4人の大五は物凄い力で亮を押さえ付けている。その力に、亮は戸惑いさえ覚えていた。

「…ククク…!!

 そんな亮を、本物の大五がニヤニヤとしながら見ている。

「どうだ、亮?最愛の俺がたくさんいて、お前も嬉しいだろう?」

 大五がそう言うと、亮は顔を真っ赤にして、

「…なッ、何言ってやがるッ!?…こッ、…こんな兄貴がたくさんいたって、…嬉しくも何ともねえよッ!!

 と言い、懸命に体を揺する。

「…フフッ!!

 その時、クジャク、いや、万華鏡伯爵が笑ったかと思うと、

「では、亮。…いや、リュウレンジャー。お前の気力もいただくとしよう」

 と言い、亮の体に触れようとした。だが亮は、

「止めろッ!!汚ねえ手で触るなッ!!

 と、万華鏡伯爵を睨み付けた。その瞬間、

 ドゴオオオオッッッッ!!!!

 と言う鈍い音と共に、大五のシシレンジャーの緑色のグローブが、亮の腹部に減り込んでいた。

「…ぐふ…ッ!!

 体を少しだけくの字に折り曲げた亮が呻く。

「亮ッ!!お前ッ、いい加減にしろよッ!!さっきからクジャクのことを悪く言いやがって…ッッッッ!!!!

 顔を真っ赤にし、大五が怒鳴る。すると亮は、

「…あ…、…兄…貴…こそ…ッ!!…いい加減に、…目を、…覚ましやがれええええッッッッ!!!!

 と怒鳴り返した。

「そこにいるのはクジャクなんかじゃねえッ!!クジャクに化けたゴーマ怪人なんだよオオオオッッッッ!!!!

「ウソ吐くなッ!!クジャクじゃないかッ!!

「ウソじゃないッ!!オレにはゴーマ怪人にしか見えねえッ!!

「俺にはクジャクにしか見えんッ!!

 亮と大五が言い合いをしていたその時だった。

「いい加減にしろッ!!

 低い声が聞こえ、2人ははっとなってその声が聞こえた方を見る。

「…シャ…ダ…ム…うううう…ッッッッ!!!!

 黒革のベルトをあしらった服を着たシャダムがニタニタと笑っている。その右手のひらの上には、相変わらず眩く白く光る大地動転の玉がふわふわと浮いていた。

「…おい、クジャク!!

 シャダムが万華鏡伯爵のことをクジャクと呼んだ。

「ほら、見ろッ!!やっぱりクジャクじゃないかッ!!

「だからッ、違うっつってんだろッ!!シャダムが兄貴を騙すためにゴーマ怪人のことをクジャクってわざと呼んだんだッ!!

「騙されているのはお前の方だッ!!

「兄貴こそッ!!

「ああ、もう。うるさいうるさい!!

 シャダムがうんざりとした様子で言った。そして、クジャクを、いや、万華鏡伯爵を見ると、

「お前が直接、手を下すことはない」

 と言った。すると万華鏡伯爵はニヤリとし、

「…それは、…つまり…?」

 とだけ言い、その目を光らせた。

「そうだ…!」

 シャダムもニヤニヤと笑っている。

「そこにいる大五に亮の気力を奪い取らせればいい…!!

「な…ッ!?

 その言葉に亮は一瞬、体を凍り付かせたが、俄かにブルブルと体を震わせると、

「…シャ…ダム…うううう…ッッッッ!!!!…いい加減に…ッ、…しやがれええええッッッッ!!!!

 と怒鳴った。

「…俺が?」

 その時、クジャクの横にいた大五が一瞬、きょとんとした表情をしたが、すぐにニヤリと笑い、

「…いいだろう…!!

 と言ったのだ。

「…え?」

 その言葉に、今度は亮がきょとんとする。そして、万華鏡伯爵の横にいる大五を見て体を凍り付かせた。

「…あ…、…兄…貴…!?

 大五の体が妖しいピンク色の靄のようなものに包まれている。その目は野獣のようにギラギラと光り、口元はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていた。

 そして。

 大五のがっしりとした2本の足の付け根部分。大五の男としての象徴であるペニスが大きく勃起し、時折、ピクピクと蠢きながら先端をぐっしょりと濡らしていた。

「…止めろ…!!

 恐怖を覚え、亮の声が震える。

「…止めろ…!!…止めろ…!!…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 4人の大五に押さえ付けられた亮が必死に体を捩る。

「たッ、頼むからッ!!もうッ、止めてくれええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!

 そう叫ぶ亮の前に、大五がゆっくりと歩み寄る。

「…あ、…兄貴…!!

 ガクガクと震える亮。すると大五は、そんな亮を静かに抱き締めると、

「大丈夫だ、亮。何も怖がることはない」

 と言い、亮の頭を静かに撫でる。

「…こッ、…怖いに決まってんだろうがああああッッッッ!!!!

 そう叫んだ時だった。

 大五が亮の顔をクイッと上げた。

「…あ…」

 亮と大五の視線が重なる。

「…兄…貴…」

 大五の目が優しい眼差しを浮かべ、亮を見つめている。

「…亮…」

 大五の顔がゆっくりと亮に近付いて行く。

「…止め…ろ…よ…!!

 亮が何とかして体を引こうとするが、4人の大五によってガッチリと固定されてしまっている。

「…止めろ…!!…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 どんなに叫んでも、大五の顔がゆっくりと近付いて来る。

「…あ…あ…あ…あ…」

 その時、亮の唇に、大五の唇が触れた。

「…ッッッッッッッッ!!!!!!!!

 カッと目を見開いた亮。

「…ん…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!

 顔を真っ赤にし、目を硬く閉じるが、顔さえも大五に固定されてしまい、全く身動きが取れない。そして、

 …チュッ!!…チュクチュク…ッ!!…チュッ…!!

 と言うくすぐったい音が辺りに聞こえ始めた。

 

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