終わらない因縁 第27話
…チュッ!!…クチュクチュ…ッ!!…チュル…ッ!!
淫猥な、くすぐったい音と同時に、
「…んッ!!…んん…ッ!!」
と言う呻き声が混ざり合う。
「…んん…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!」
光沢のある鮮やかな赤色のスーツに身を包まれたリュウレンジャー・亮。その体がビクンッ、ビクンッ、と痙攣するたびに、その光沢がキラキラと輝く。そして、そんな亮の周りには、光沢のある鮮やかな緑色のスーツに身を包まれたシシレンジャー・大五が5人もいた。4人は亮の両手、両足をしっかりと掴み、亮が身動き出来ないようにしている。どれもシシレンジャーの技である天幻星・ゴーストランナーで生み出された、大五の分身体だった。
そして、もう1人の大五、本物の大五は亮の体を優しく抱き締め、その唇を亮の唇に重ね合わせていた。
クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!クチュクチュクチュクチュッッッッ!!!!
大五の舌が亮の唇を抉じ開け、その中へ侵入する。そして、その動きに伴って亮の口の中に出来上がった空間から空気が漏れ、クチュクチュと言うくすぐったい音を奏でていた。
「んんんんッッッッ!!!!んんんんんんんんッッッッッッッッ!!!!!!!!」
顔を真っ赤にし、目を硬く閉じて呻き声を上げ続ける亮。そんな亮の口の中を舌で蹂躙する大五。その大五の舌を必死に追いかける亮。
「…おお…。…大五…!…亮…!…何と、淫猥なのだ…!!…だが、それが物凄く画になる…!!」
そんな2人の傍で、醜い顔付き、額には大きな筒状のものを備えているゴーマ怪人・万華鏡伯爵がウットリとした表情で2人を見つめている。すると、
「…フン…!!」
と言う鼻で笑う声が聞こえた。ベルトをあしらったような黒と水色の服を身に纏った男・シャダムだ。その目がギラギラと輝く。
「この恨み、今こそ、たっぷりと晴らしてやる…ッ!!」
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
暫くすると、亮と大五の顔が離れた。そして、亮は呆然とする視線を大五に投げ掛け、荒い呼吸をする。
「…フフッ!!」
大五はと言うと、相変わらず目をギラギラと輝かせて亮を見つめている。
「どうだ、亮。大人の味は?」
「…で、…だよ…?」
その時、亮が何かを呟いた。
「…亮…?」
大五が尋ねると、亮の目付きが変わっていた。それまでのぼんやりとした虚ろな瞳は、大五を睨み付ける激しい眼差しへと変化していたのだ。
「…何で…?…何で、…こんなことするんだよ…ッ!?」
その目が真っ赤になって行き、ポロポロと涙が零れ落ちていた。
「…こんなこと…して…ッ!!…何になるんだよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時だった。
「お前が悪いんだ、亮」
その声がした方をゆっくりと睨み付ける亮。
「…シャ…ダ…ム…うううううううう…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
リュウレンジャーの真っ赤なグローブが握られ、ギリギリと言う音を立てる。だがシャダムは、
「…フンッ!!」
と、亮を馬鹿にしたように鼻で笑い、
「お前が悪いんだ、亮」
と再び言った。
「だからッ、何でなんだよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「お前が俺の野望を阻止したからだああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
亮に釣られたのか、シャダムもベルトをあしらったマスクの丸い穴から覘かせた目を大きく見開いて怒鳴った。
「ゴーマ十六世になった俺の大地動転の玉をお前達が奪ったばかりかッ、力を失った俺を追い詰め、挙句の果てに殺したのは亮ッ、お前じゃないかッ!!」
燃え盛り、地球に落下してくるゴーマ宮の中で、亮とシャダムは揉み合っていた。その時、シャダムの腹部に短剣を思い切り差し込んだ。
「…ぐふ…ッ!!」
シャダムが不意に呻き、その口から飛び出して来たものに亮は目を疑った。いや、口から飛び出して来たものだけではない。シャダムの両手にも目を疑っていた。
「…お、…俺の…、…俺の…、…手が…ッ!!」
「…泥だぁ…ッ!!」
恐怖と驚きに慄く亮。
「…こ、…れは…ッ!?…い、…一体、…どうなってるんだ…ッ!?」
そう言いながらも、全身がみるみるうちに泥に変わって行くシャダム。
「…シャ、…シャダム…ッ!?」
「…俺は…、…泥人形だったのか…ッ!?」
そして、バランスを失い、全身にひびが入って行き、ゴロゴロと泥の塊と化し、崩れて行く。
「…ウソだ…!!…た、…助けてくれよおおおおッッッッ!!!!」
最期には眼球1つだけになり、消滅して行った。
「あの後、俺は燃え盛るゴーマ宮の中で復活した。何故かは俺にも分からん。そして、そこにいる大五と一戦を交えた。だが、俺の妖力は戻ってはおらず、俺は大五にさえ負けた!その時、ゴーマ十五世が現れてこう言ったのだ!『大地動転の玉は、ワシや貴様が持っておったそれだけではない。気力と妖力が混ぜ合わされば、おのずとそれは出来上がる…!!』とな!」
目をギラギラと輝かせ、口元にはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべているシャダム。
「俺はお前への復讐を誓った!その時、ターゲットにしたのがそこにいる大五だ!大五は妖力を最大限に持つ者・クジャクに惚れていたからな。逆を言えば、クジャクを使えば、大五は気力を簡単に放出すると言うことだ。そして、俺は幻影を使い、妖力を使いこなすことが出来る万華鏡伯爵を呼び出した。そして、この大地動転の玉を作り出したのだ!!」
そう言うと、シャダムは右手のひらの上で白く眩く輝く大地動転の玉をしげしげと眺める。
「お前には感謝するぞ、亮!お前が大五の異変に気付き、ここへ飛び込んで来てくれたお陰で、お前の気力をも奪うことが出来ると思うと、いや、お前をボロボロに出来ると思うとなぁ、俺の体中には何とも言えぬ快楽が流れるわッ!!」
「…ヘッ!!」
その時、亮が悪態をついた。その口元がニヤニヤと笑っている。
「オレの気力を奪う、だと?奪えるもんなら、奪ってみやがれッ!!」
だがそれは、結果的にシャダムを更に怒らせるだけに過ぎなかった。
「…ふんッ!!」
突然、シャダムは右手を上げたかと思うと、白く眩く光る大地動転の玉を突き出した。それはつまり、
バシュウウウウッッッッ!!!!バシュウウウウッッッッ!!!!
と言う音と共にそこから真っ白な無数の光の矢が放たれたことを意味していた。
「…やッ、止め…ッ!!」
その時、亮の体はふわりと宙に浮いたような感覚を覚えた。
「…な…ッ!?」
それまで亮を捕らえていた4人の大五が、亮をぽんと手放したのだ。そして、
ズババババッッッッ!!!!ズガアアアアンンンンッッッッ!!!!ガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う激しい衝撃音と共に、リュウレンジャーのスーツが大いにスパークした。
「ぐぅわああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
燃え盛る炎の中に、亮の絶叫が響き渡った。