終わらない因縁 第36話
眩いほど真っ白な空間に、再び静けさが戻って来た。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
地面に大の字に横たわり、荒々しい呼吸を続ける亮。その視線は完全に虚ろになり、どこを見ているのかも分からないほどになっている。
「…う…、…あぁ…ッ!!」
時折、ビクッ、ビクッ、と体を跳ねらせ、そのたびにリュウレンジャーの光沢のある鮮やかな赤色のスーツがキラキラと輝き、2本の足の間から飛び出したペニスがぶらぶらと揺れた。
その頃になると、シャダムと万華鏡伯爵はそんな亮を蔑むように見下ろしていた。シャダムの右手のひらの上には、眩く真っ白に輝く巨大な玉・大地動転の玉が出来上がっている。
「…もう、ここには用はない…!」
シャダムは右手のひらの上にある大地動転の玉をしげしげと眺めている。
「これだけ気力が集まれば、1発の弾丸で1都市を破壊出来るほどの威力になる。これを使い、地上を征服し、俺はゴーマ16世に返り咲くッ!!」
そして、シャダムと万華鏡伯爵が歩き出そうとしたその時だった。
「待てよ!」
不意に声が聞こえ、シャダムと万華鏡伯爵は思わず立ち止まる。
「…大五…?」
クジャクの姿に見える万華鏡伯爵が大五を見つめる。
「…ククク…!!」
大五の目。亮とは真逆で野獣のようにギラギラと輝き、口元には不気味な笑みが浮かんでいる。
「まだ終わっちゃいないさ!」
そう言うと、大五は地面に横たわっている亮の上半身を起こした。
「…兄…貴…?」
不思議そうに大五を見つめる亮。だが、大五はシャダムとクジャクを見上げている。
「亮はたぁっぷりと快楽を味わった。その証拠が、シャダムが手にしている大地動転の玉だ。だが、俺はまだまだ気持ち良くなれていない!!」
「…な…ッ…!?」
その言葉に、亮が絶句する。そして、その視線をずらした時、
「…ッ!?」
と目を大きく見開いた。
大五の2本の足の付け根部分。シシレンジャーの光沢のある鮮やかな緑色のスーツから飛び出した、大五の男としての象徴であるペニス。それが再び大きく勃起し、ビクン、ビクンと大きく脈打っていたのだ。そして、その真っ赤に腫れ上がった先端からはドクドクと淫猥な液体を滴らせ続けていた。
「…あ…、…あぁぁ…ッ!!」
亮があまりの恐怖に声を震わせる。そんな亮に気付いた大五が立ち上がり、亮の目の前に自身の大きくいきり立ったペニスを突き出した。
「…しゃぶれよ…!!」
その冷たい言葉が亮の心に突き刺さる。
「お前だけあんなによがるのは許せないよなァ。俺だって気持ち良くなる権利はあるんだぜ?お前の手でな!!」
「…や…めろ…!!」
亮は両手を体の横につき、尻で後ずさるようにする。
「…止めて…くれ…!!」
その声と体がブルブルと震える。そして、
「…もうッ、…止めてくれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と絶叫した。
「シャダムううううッッッッ!!!!もうッ、十分だろッ!?オレや大五からそれだけの気力を奪えば十分だろうがああああッッッッ!!!!これ以上ッ、兄貴からッ、大五から気力を奪わないでくれッ!!それ以上、兄貴から気力を奪ったら…!!…兄貴は…ッ!!…兄貴はッ、死んぢまうんだぞおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時だった。
シャダム、万華鏡伯爵、そして、大五までもが大声で笑い始めたのだ。
「…え?」
その光景に、亮は呆然とする。
「…りょ、…亮…!…貴様、…どこまでバカなんだ…!!」
シャダムが息を荒くし、顔を真っ赤にして笑う。
「…たかが、…気力を奪われただけで、…本当に死ぬと思っていたのか…!?」
「…え?」
シャダムの言葉が理解出来ないのか、亮はきょとんとしている。その時、万華鏡伯爵が亮と大五のもとへ歩み寄り、
「あなたも自慰行為くらいはするでしょう?」
と亮に言った。
「時には、感情が高ぶり過ぎて、1日に何度も何度もしてしまうことだってあるでしょう?その時、あなたがゆっくり休めば、精力も回復する。つまり、大五も何度も何度も気力を放出する、つまり、何度も何度も絶頂へ達したとしても、休めば元通りになる、と言うことですよ!」
「…ま…さ…か…!?」
少しずつ、いろいろなことが繋がって行く。すると、今度はシャダムが面倒そうに、
「気力を奪われ続けたくらいで死ぬことなど、あり得ぬわッ!!ましてや、ダイレンジャーの中でも最も気力の高い貴様と大五の2人など、すぐに気力も復活するだろうッ!!大地動転の玉は、使えば使うほど、小さくなって行くのは当たり前なのだッ!!お前達の気力が凝縮され、弾丸となって飛び出すのだからなあッ!!」
と言った。
「…けッ、…けどッ、お前が大地動転の玉から弾丸を放った時、兄貴は苦しがって…」
「あのなぁ、亮」
その時、大五がぽんと亮の肩を叩いた。そして、
「…お前、“演技”って言葉、知ってるか?」
と言い放ったのだ。
「…え?」
「クジャクに言われたのさ。シャダムが大地動転の玉を使ったら、俺はお前の目の前で苦しむ“演技”をしろってな!」
「そうだ、亮ッ!!我々の目的は最初から貴様だけだったのだ!!だが、ただではやって来ない貴様を誘き寄せるために、大五を利用させてもらったと言うわけだッ!!」
「…な…ん…だ…と…おおおお…ッッッッ!!??」
怒りで体中が熱くなる。だがそれも、すぐに絶望へと変わって行く。
「そうだ。私が見せた幻影に、大五はコロッと堕ちたのだ。そして、それはいつの間にか、大五を洗脳し、我々の計画を実行するために一役買ってくれた。ただ、それだけのことだ!!」
万華鏡伯爵が勝ち誇ったように言う。と、その時だった。
「おい、亮ッ!!」
大五の声が聞こえた時、亮はぎょっとなった。
「…あ、…兄…貴…!?」
亮の目の前で、大五が仁王立ちになり、シシレンジャーのスーツから飛び出した巨大なペニスを突き出している。
「さぁ、しゃぶれよ!」
「…断るッ!!」
必死に大五を睨み付ける亮。
「…兄貴が、…大五が死なねえって分かったんだ!!…だったらッ、オレは、諦めねえッ!!」
「…そうか…」
その時、大五が深く溜め息を吐いた。
「…お前が、素直になってくれたら、手荒な真似はしないんだがな…!!」
次の瞬間、大五の目がカッと見開かれたかと思うと、右足を振り上げた。そして、リュウレンジャーのスーツから飛び出している、未だに大きく勃起したままの亮のペニスを物凄い勢いで踏み付けたのだ。
「うぐッ!?」
突然のことに、亮が体をビクンと跳ねらせる。だがすぐに、
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と絶叫したのだった。