ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第1楽章 第3話
「ワハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時、新帝国ギアではドクターマンが大声で狂ったように笑っていた。
「…ド、…ドクターマン…様…!?」
こんなに狂ったように笑うドクターマンは初めて見た、ドクターマンの幹部・ビッグスリーの1人、メイスンはそう思い、唖然としていた。
「どうだッ、ブルースリーッ!!自らの技にやられる感覚は…!!」
その目がギラギラと輝き、その体に精気が漲っているようにも見える。
「だが、これで終わりではないッ!!最強のメカクローンにはまだまだ隠された秘密があるのだッ!!」
「…隠された…、…秘密…?」
メイスンが尋ねると、ドクターマンはコクンと頷き、
「行けッ、最強のメカクローンよッ!!お前達の必殺技を見せてやるのだッ!!」
と、モニターに向かって大声で叫んだ。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
パリパリと言う電気が走る音が聞こえる乾いた大地。そこにブルースリー・南原竜太はうつ伏せに倒れていた。
「…な…、…何故…だ…!?」
激痛で意識が遠退きそうになる。光沢のある鮮やかな青色のスーツのあちこちからしゅうしゅうと煙が立ち上っている。
「…何故…ッ、…オレの…、…技が使える…んだ…あ…ッ!?」
ブルースリーのマスクがブルブルと震えながらゆっくりと起き上がり、前方を見つめる。
ガシャンッ!!ガシャンッ!!
一定の、同じ動きを繰り返すメカクローンが3体。倒しても倒しても再生するこの3体に、南原は悪戦苦闘していた。しかも、ただ再生するだけではない。この3体は南原が与えた攻撃をそのまま返して来るのだ。しかも、その強さは南原が与えたもの以上の強さだ。そりゃ、意識が遠退くのも当たり前だろう。
と、その時だった。
1体のメカクローンが右手をゆっくりと突き出した。
ポウ…ッ!!
その手が眩く輝いたその途端、
ズウウウウウウウウンンンンンンンン…ッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う音と共に、
「…うぐ…ッ!?」
と南原が呻き、体を硬直させた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
そのメカクローンは、眩く輝いている右手をゆっくりと頭上へ上げて行く。それに釣られるように、南原の体もゆっくりと起き上がった。
「…なッ、…なん…ッ、…だ…ッ!?」
まるで金縛りに遭ったかのように指一本、動かすことが出来ない。
「…止めろ…!!」
そのうち、南原の両足が地面を離れ、その体が宙に浮き始めた。
「…止めろ…ッ!!…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
南原の体がある程度のところまで浮いた時、南原を宙に浮かせていたメカクローンの右手がブンと言う音と共に振り下ろされた。と、次の瞬間、
「ううッ!?うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う悲鳴と共に南原は物凄い勢いで地面に叩き付けられた。
ドガアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!
背中から地面に叩き付けられた南原。
「…ぐ…ッ!?」
体が弓なりに仰け反る。砂塵が辺りを包み込む。そして、その体が再び宙に浮き上がるのを感じた。
「…止めろ…ッ!!…止めてくれええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
そのメカクローンは相変わらず右手を突き出し、ゆっくりと頭上へ上げて行く。そして、ある程度のところでブンと言う音と共にその右手がまた振り下ろされた。
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
「ぐはああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
無防備な状態の南原の体は無慈悲に地面に再び叩き付けられ、体が弓なりになる。
「…ば…、…馬鹿…な…!?」
ブルブルと震える体を抱き締めるようにしながら地面をゴロゴロと左右に転がる南原。
「…こ…、…これ…、…は…。…サイゴーンの…ッ、…ふ、…不動念力…ッ!?」
ジューノイド五獣士の1体・サイゴーン。阿修羅のように3面の顔を持ち、超能力の使い手。サイゴーンの不動念力は念力を与えたものの自由を奪い、好き勝手に嬲る。
その時だった。
シュッ!!
今度は別の1体のメカクローンの右手が伸びて来たかと思うと、南原の首を物凄い力で締め上げ始めたのだ。
「…う…、…あ…ッ、…ああああ…ッッッッ!!!!」
物凄い力に締め上げられ、体がヨロヨロと立ち上がる。
「…こッ、…これは…ッ!?…メッツラーの…ッ、…アームストレッチ…ッ!?」
ジューノイド五獣士の別の1体・メッツラー。真っ赤な1つ目の、体の形を自由自在に変えられる戦闘メカ。
更に、もう1体のメカクローンの目が真っ赤に光り、口元から蒼白い光の帯のようなものが南原に向かって吐き出された。そして、それが南原の体に絡み付いたその瞬間、
「うがああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う絶叫を上げ、頭を両手で抱えて南原が地面を激しくゴロゴロと転がり始めた。
「…あ…ッ、…頭が…ッ!!…わッ、…割れそうだああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
3体のメカクローンが連携で南原を攻撃して来る。
「…なッ、…何故だああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!…メッ、…メッサージュウの…ッ、…超音波サイクル…ッ!?」
最後の攻撃はジューノイド五獣士の1体・メッサージュウ。鋭い爪を持つ鳥型の戦闘メカ。その口から放たれる超音波はバイオマンの超電子頭脳を狂わせる。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
南原は混乱していた。メカクローンだと甘く見ていた。メカクローンのはずなのに、自分の技をそのまま返し、更に、ジューノイド五獣士のうちの3体の技を使う。攻撃が全く効かない3体のジューノイド五獣士と同時に戦っている、いや、メカクローン側からしてみれば、ブルースリーを3体で甚振っているのだ。
その時だった。
「…ギ…ッ!?…ギギギギ…ッッッッ!!!?」
突然、1体のメカクローンの目が赤く光り、変な音を立て始めた。そして、物凄い勢いで南原に近付いて来たかと思うと、そのまま南原に抱き付いたのだ。
「…な…ッ!?」
「何ッ!?」
南原が驚いたと同時に、新帝国ギアではドクターマンも驚いていた。
「…な…ッ、…何だああああ…ッッッッ!!!?」
南原が素っ頓狂な声を上げる。そのメカクローンは物凄い力で南原に抱き付いたまま、離れようとしない。
…ピッ。…ピッ。
一定の間隔で聞こえて来る音。その音を聞いた途端、
「…や、…止めろ…!!」
と、南原が声を震わせ、そのメカクローンを必死に引き剥がし始める。
ピッ!!ピッ!!ピッ!!ピッ!!
一定の間隔で聞こえて来る音は少しずつ、鳴る間隔を短くして行く。
「…止めろ…!!…止めろオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ピ――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!
そして、その音が一際甲高い音を立てたその瞬間、
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う衝撃音と共に大爆発が起こった。
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして、その爆炎の中から南原の絶叫が辺りに響き渡ったのだった。