ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第1楽章 第8話

 

「…っぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!

 メッサージュウの能力を持った最強メカクローンに首を絞められ、意識を朦朧とさせているブルースリー・南原竜太。最強メカクローンだけあって、その力も通常のメカクローンとは全く違う。

(…どう…、…すれば…ッ!!

 体が背中から折れ、膝がガクンと地面につきそうになる。

(…どうしたら…ッ、…いいんだ…ああああ…ッッッッ!!!!

 必死にメッサージュウの能力を持った最強メカクローンの腕を掴む。だが、意識が朦朧としている南原の力で、それを跳ね除けることは出来ない。

 と、その時だった。

「「「…ギッ、…ギギギ…ッッッッ!!!?」」」

 突然、3体の最強メカクローンが変な音を立て始めた。

「…なッ、…何だ…ッ!?

 メイスンが驚いて声を上げる。

 

 その頃、ボクは新帝国ギアの作戦指令室のようなところで目をギラギラと輝かせ、口元には笑みを浮かべていた。

「どッ、どうしたと言うのだッ!?

 最強メカクローンの異変に驚いたドクターマンがコンピューターのキーを叩く。だが、モニター越しに映る3体の最強メカクローンはギギギと言う異音を立てたまま、不自然な動きを続けている。

「…まッ、…まさか…ッ!?

 その時、何かに気付いたかのように、ドクターマンがボクを睨み付けた。

「貴様ッ!!私が作り上げた最強のメカクローンに、更に何かを仕掛けたのかッ!?

「アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!

 ボクは堪え切れなくなり、とうとう大声で笑い始めた。

「何がおかしいッ!?

 そう言われて、ボクは笑いをパタリと止めた。

「…ここ、…笑うとこでいいんだっけ?」

「何?」

 当然だけど、ドクターマンはボクが笑っていることに理解出来ないようだ。

「…まぁ、しょうがないっか。メカ人間なんだもんね?」

「何が言いたいッ!!

 でもすぐに、

「…ッッッッ!!!!

 と押し黙った。

「…そうやっておごり高ぶった態度だから、バイオマンに滅ぼされるんだよッ!!

 ボクは鋭い形相でドクターマンを睨み付けていた。

「だから、ボクがわざわざ最強メカクローンにスパイスを加えてやった、って言うわけさ!!

「おのれええええッッッッ!!!!

 カッとなったドクターマンがボクに向かって制裁ステッキを振り翳した。

「アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!

 ボクが透過性のある存在だって言うことを忘れているのだろうか、このジジイは?

「…まぁ、後はヤツのバイオ粒子を奪い、それを研究すれば、バイオマンに負けるってことはなくなると思うよ?」

「待てッ!!貴様ッ、どこへ行くッ!?

 ドクターマンの顔の左半分。土色になったところが気色ばんでいる。完璧なメカ人間になったと言っておきながら、まだまだ人間としての部分が残っているんじゃないのか?

「じゃあ、後は任せたよ」

 そう言って、ボクは姿を消した。

 

「…な…、…ん…だ…ぁ…!?

 メッサージュウの能力を持つ最強メカクローンに首を絞められ、意識を朦朧とさせていた南原。と突然、その最強メカクローンが変な音を上げ、その手をぱっと離した。その拍子に、南原はドスンと言う音を立てて尻餅をついた。

「「「ギギギギッッッッ!!!?ギギギギッッッッ!!!!」」」

 まるで踊りを踊るかのように両腕をブンブンと振り、カクカクと操り人形のように動く3体の最強メカクローン。

「どッ、どうしたと言うのだッ!?

 目の前で起こっていることが信じられないような表情で、メイスンが慌てふためいている。

 その時だった。

『もう良いッ!!メイスンッ、戻れッ!!

 ドクターマンの声が、閉鎖空間に響き渡った。

「ドッ、ドクターマン様ッ!?

『後はその最強メカクローンに任せるのだッ!!その最強メカクローンなら、ブルースリーのバイオ粒子を難なく奪うであろうッ!!

「…バイオ…、…粒子…?」

「…?」

 目の前で繰り広げられているメイスンとドクターマンの会話を、ただ、呆然と聞くしか出来ない南原。

『いいから戻るのだッ!!命令が聞けんのかッ!!!!

「はッ、ははああああッッッッ!!!!

 やけに苛立ちが激しいドクターマン。次の瞬間、メイスンは恐れおののき、両腕を胸の前でクロスさせたかと思うとその場から消えていた。

「「「ギギギギギギギギイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!」」」

 3体の最強メカクローンは互いの体を寄せ合うように近付いて行く。そして、お互いに抱き合うように両腕を絡み付かせ始めたかと思うと、その体が眩しい光に包まれ始めた。

「…なッ、…何だとオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!??

 見たことのある姿に変貌を遂げた最強メカクローン。

「…あ、…阿修羅…!?

 3面の顔。どれも同じメカクローンの顔そのままだ。そして、6臂の腕、2本の足。

「…が、…合体…、…したのか…!?

 その時だった。

 3つの顔の赤い目が光を帯び始めたかと思うと、それがビーム状になり、全てが南原の体を撃ち抜いた。

 バリバリバリバリッッッッ!!!!

 強烈な高圧電流が南原の体を絡め取る。

「ぐぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 サイゴーンのデスビーム、メッツラーのメッツラービーム、そしてメッサージュウの超音波サイクルの全てを一度に浴びたくらいの衝撃だった。

 その時だった。

「…止めろ…!!

 光沢のある鮮やかな青色のスーツ。それが3つのビームの衝撃により熱を持ち始め、物凄い勢いで膨れ上がり始めたのだ。

「…止めろ…!!…止めろオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 南原の絶叫が悲鳴のように聞こえたその瞬間、

 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と、ブルースリーのスーツが大爆発を起こし、

「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 と言う南原の絶叫が響き渡った。

 

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