ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第1楽章 第9話
シュウウウウ…。シュウウウウ…ッッッッ!!!!
辺りに煙が立ち込め、機械が焼ける何とも言えない不快な臭いが立ち込めている。
「…あ…、…あ…ぁぁぁぁ…ッッッッ!!!!」
その煙が少しずつ晴れて行き、そこから1人の男が姿を現した。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
ブルースリー・南原竜太。彼の体に密着するように纏わり付いていたバイオスーツは今、無残な姿を晒している。光沢のある鮮やかな青と白を基調としたそれは今、あちこちが爆発して裂け、黒く煤けていた。そして、そこから彼の体を守るべく張り巡らされていた回路が剥き出しになり、その裂け目からは彼の赤く腫れ上がった肉体が見えていたのだ。
そして、彼の頭部を守るマスク。そのマスクのバイザー部分が破壊され、そこから恐怖に怯える南原の表情が窺えた。
「フハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
しんと静まり返った閉鎖空間に、ドクターマンの笑い声が響き渡る。
「どうだッ、ブルースリーッ!!最早、貴様に勝ち目はないッ!!これから貴様のバイオ粒子を奪い取ってやるッ!!」
「…オ…、…オレ…の…、…バイオ…粒…子…?」
何を言っているんだと思っていた。そもそも、バイオ粒子と言うのは体内に流れるミクロなもの。それをどうやって奪い取ると言うのだろうか。
(…目の前の…、…コイツ…が…?)
3体の最強メカクローンが合体した阿修羅のようなメカ人間。3面6臂のそれはただ無言のまま、南原を見つめていた。
「やれいッ、最強メカクローンッ!!南原をもっと痛め付け、その体内に宿りしバイオ粒子を残らず奪ってやるのだッ!!」
ドクターマンの声が響き渡ったその時だった。南原の目の前にいた最強メカクローンの6つの目が真っ赤に光ったその途端、それは6本の腕を大きく振り回しながら南原に向かって来たのだ。
バシッ!!ドガッ!!
次々に繰り出されるパンチ。
「うわッ!!」
「ああああッッッッ!!!!」
「…あ…ッ、…は…ッ、…ああああ…ッッッッ!!!!」
スーツが大爆発を起こした時に受けたダメージがとてつもなく大きく、南原は思うように防御が出来ない。
バシッ!!バシッ!!
ドガッ!!ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
ただ最強メカクローンのいいように嬲られる。フラフラと体が右側へよろめけば、それを修正するかのように左から最強メカクローンの3臂が飛んで来る。そして、南原の体が今度は左によろめけば、右から3臂が飛んで来る。時に、その腕は南原の腹部へ減り込んだりもする。
「…あ…ッ、…あ…、…ああ…ッ!!」
呻く声も少しずつ弱くなり、文字通り、嬲られるだけの南原。
「フハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!どうしたッ、ブルースリーッ!!もう、終わりか!?この後、貴様に待つのは死なんだぞ!?」
「…ッッッッ!!!!」
その時だった。南原の目にほんの少しだけ光が灯った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
南原が大きく咆えたかと思うと、両足を地面にしっかりと付けて両腕を顔の左右に上げ、力こぶを作り出した。
「いちかばちかだッ!!」
その時、ブルースリーのスーツが光を帯び始めた。
「バイオパワーッ、フルチャージイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ブウウウウウウウウウウウウウウウウンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
その途端、ブルースリーのスーツが俄かに電気を帯び始めた。そして、それは南原を痛め付けていた最強メカクローンに絡み付き始めたのだ。
「…フンッ!!」
「…な…、…に…ッ!?」
南原が慌てるのも無理はない。
「…バッ、…バイオスーツの…ッ、…エネルギーが…ッ!!」
目の前にいる3面6臂の最強メカクローンはびくともせず、ただじっとその場に立っている。いや、それどころか、その真っ赤な目が輝きを増し、6臂が南原の体をすっぽりと抱くようにして南原の背中へ回っていた。そして、ブルースリーのスーツから放たれる青白い電撃が最強メカクローンに吸い込まれて行ったのだ。
「…止めろ…!!」
南原の声が震えている。
「…止めろ…ッ!!…こッ、…このままじゃ…、…バイオスーツの…ッ、…エネルギー…が…ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
南原の膝がガクガクと震え始める。
「…ちッ、…力…、…が…ぁ…ッ!!」
南原の視界がぼんやりとし始める。それはつまり、南原のいちかばちかの賭けが失敗に終わったと言うことを意味していた。
ウウウウウウウウンンンンンンンン…。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
その時、南原を抱き締めるようにしていた最強メカクローンの6臂がゆっくりと離れ、
「…く…ッ、…く…っそ…オオオオ…ッッッッ!!!!」
と言う呻き声と共に、南原の体が前のめりに倒れた。
「ハーッハッハッハッハ…ッッッッ!!!!」
ドクターマンの勝ち誇った笑い声が響く。
「愚か者めがッ!!自ら死に急ぐようなことをしおって…!!」
新帝国ギアでは、モニターを見ながらドクターマンの目がギラギラと眩く輝いている。
「今だッ、最強メカクローンッ!!ブルースリーのバイオ粒子を奪い取るのだッ!!そして、ブルースリーッ!!貴様のせいで、他の仲間も同じ運命を辿ることをあの世で後悔するがいいッ!!」
「…み…、…んな…、…ぁ…ッ!!」
体にも力が入らない。どうすることも出来ず、今の南原に残されているのは無様な敗北と死、のみ…。
「安心しろ、ブルースリーッ!!そう簡単には殺さぬッ!!貴様のバイオ粒子全てを、徹底的な屈辱を味わわせながら奪い取り、貴様を抜け殻にし、痛みも何も感じられない状態にしてから殺してやるわッ!!」
「…オ…、…オレ…に…、…屈辱…?…抜け殻…?」
ぼんやりとし始める意識の中でそれを考えた時、
「…まッ、…まさか…ッ!?」
と、南原は目を見開き、顔を真っ赤にした。
だが、既に遅かった。
ガシッ!!ガシッ!!
最強メカクローンの2臂が南原の両腕を掴む。そして、グイッと背後へ引っ張り上げるようにした。
「…あ…」
持ち上げられるようにして立ち上がる南原。南原の体が自ずと羽交い絞めされるようになる。そして、最強メカクローンの別の2臂が今度は南原の前へ回ったかと思うと、スーツの裂け目から入り込み、南原の体をゆっくりと撫で始めたのだ。
「…やッ、…止め…!!」
ブルースリーのスーツの中で、最強メカクローンの2臂がモゾモゾと動く。ゾワゾワとした悪寒が走り、鳥肌が立つ。
そして。
「…ッあ…ッ!!」
突然、南原はピクリと体を跳ねらせ、その場で硬直した。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
不自然に膨らんだブルースリーのスーツ。その裂け目に入り込んだ最強メカクローンの2臂が南原の胸の辺りで小刻みに揺れ動いている。
「…な…、…何…を…!?」
南原の筋肉質な両胸に浮き出た2つの突起。その2つの突起を最強メカクローンの2臂が小刻みに刺激していたのだった。