ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第2楽章 第5話
「…ぐ…ッ、…お…おおおお…ッッッッ!!!!」
荒涼とした大地の上に大の字に立たされているイエローライオン・大原丈。
「…どッ、…どうなってんだ…ああああ…ッッッッ!!!?」
両手首に、両足首に、そして、首に太いワイヤーのようなものが巻き付いている。そして、それは丈がもがけばもがくほど、ギリギリと言う音を立てて丈を締め上げた。
「…ククク…!!」
そんな状の目の前には、野獣のように目をギラギラと輝かせ、口元には不気味な笑みを浮かべる豪がいた。
「…まだまだだよ、丈…ッ!!」
「…な…、…に…!?」
体を仰け反らせ、懸命にそのワイヤーを振り解こうとする。そのたびに、丈の体に密着するように纏わり付いたイエローライオンの光沢のある鮮やかな黄色と白を基調としたスーツがキラキラと映えた。
「…な…ッ!?」
丈の目の前。もくもくと爆煙と砂塵が漂っていた辺りが晴れた時、丈はイエローライオンのライオンをあしらったマスクの中で目を大きく見開いた。
「…ジッ、…ジンマーが…!?」
ガシャガシャと言う音を立てて横一文字に広がって行く機械生命体・ジンマー。その鶯色のスーツがキラキラと太陽の光に輝く。
「…ジンマーが…ッ!!…16体…!?」
「ヒャーッハッハッハッハ…!!」
豪の甲高い、下衆な笑い声が辺りに響き渡った。
「見たかッ!!お前がこのジンマーを倒せば倒すほど、ジンマーは倍増して行くんだ!!」
勝ち誇ったように丈を見つめる豪。
「1体が2体、2体が4体、4体が8体…。…そして、8体が16体…!!」
「…く…ッ!!」
「…ククク…!!…ここまで説明すれば、いくらバカな丈でも気付くよね?」
「…ご…、…豪…ッ!?」
その時だった。
ガシャガシャと言う音を立てて16体のジンマーが一斉に動き出したかと思うと、丈を取り囲むようにした。
「…なッ、…何をする気だああああッッッッ!!!?」
丈の声が上ずる。すると豪は、
「…やれ…!!」
と静かに言った。と、その瞬間、16体のジンマーの横一文字になった目が妖しく光を帯びたかと思うと、
ビイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う鈍い音と共に、そこからビームが放たれた。
「ぐわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
超高圧の電流が丈の体を包み込む。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
激痛に意識が飛びそうになる。その時、更なる攻撃が丈を襲った。
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
丈の手首、足首、そして首に巻き付いていたワイヤーのようなもの。そこに火花が伝い始めた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
その火花は丈に向かって走って来る。そして、それがイエローライオンのスーツに触れた時だった。
バシッ!!バシバシッッッッ!!!!
何かが弾けるような音が聞こえた次の瞬間、
ズババババッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!
と言う衝撃音と共に、イエローライオンのスーツが爆発を始めた。
「ぐぅわああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
丈の絶叫が辺りに響き渡ったと同時に、
ドオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う爆発が起こり、その火炎に丈は包まれた。
「アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!」
豪が狂ったように笑う。
「どうだッ、丈ッ!!…いやッ、ビアス様ッ!!」
天を仰ぎ、大声で叫ぶ豪。
「僕はッ!!イエローライオンをもうすぐ倒せますッ!!僕だってッ、あなたの忠実な部下ですッ!!ケンプやマゼンダ、アシュラなんかと一緒にしないで下さいッ!!あなた様に最も近いのは、このドクターオブラーなのですッ!!」
そう叫ぶと、豪はゆっくりと丈の方へ振り返った。
シュウウウウ…ッッッッ!!!!
ぶすぶすと言う煙がくすぶる音と共に、しゅうしゅうと言う機械が焦げたような臭いが立ち込めている。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
そこには、マスクが破壊され、リーゼントの髪、精悍な顔に血が流れている丈の姿があった。そして、丈の体を覆うイエローライオンのスーツはあちこちが焼け焦げ、爆発して破れたところからは回路が剥き出しになっていた。
「…ご…、…ご…う…!!」
その時だった。
ガクンと丈の膝が折れた時、ドサッと言う音を立てて、丈が地面に前のめりに倒れたのだ。
「…ククク…!!」
豪はゆっくりと丈に近付いて行く。そして、その頭を右足で踏み付けた。
「ぐはッ!!」
その衝撃に、丈が呻き声を上げる。
「…さぁ…、…丈…」
「…ッ!?」
豪の視線に、丈はぎょっとなる。ウットリとしたような視線を丈に向けているのだ。
「…ねぇ、…丈…」
「…な…、…何…だよ…ッ!?」
「…僕を守る、僕だけのイエローライオンになってよ…!!」
「…な…に…、…言って…!?」
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
その時、豪の右足が丈の脇腹に減り込み、
「ぐわああああッッッッ!!!!」
と丈が悲鳴を上げ、体を仰向けに反転させた。そして、その筋肉質な腹を思い切り踏み付けたのだ。
ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!
「ぐふッ!!」
その衝撃で、丈の体がくの字に折れ曲がる。
「…フフッ!!」
豪はただニヤニヤと笑っているだけだ。
「…ねぇ、…丈…」
「…ッ!!」
「…僕だけを守るイエローライオンになってくれるよね?」
「おめえってヤツは…!!…おめえってヤツはああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
そう叫ぶと、丈は豪の右足首を掴んだ。そして、ぶぅん、と言う音と共に豪の右足を薙ぎ払ったのだ。
「あうッ!?」
その反動で、豪が背後へ尻餅をつく。
「…じょ…、…オオオオ…ッッッッ!!!!」
「…もう…おめえなんて知るかッ!!…もう、…おめえはオレの親友じゃねえッ!!…オレが…ッ、…守ってやりてえと思う豪じゃねええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!」
丈のその言葉に、一瞬の静寂が訪れた。
「…ク…ッ、…ククク…!!」
だが、それを破ったのは豪だった。いきなり肩を波打たせて笑い始めたかと思うと、
「…プク…ッ!!…アヒャッ、…ヒャーッハッハッハッハ…!!」
と、再び下衆な笑い声を上げ始めた。
「なッ、何がおかしいんでええええッッッッ!!!?」
思わずカッとなった丈が怒鳴ると、豪はギラリとした眼差しを丈に向けた。そして、ニヤリと笑うと、
「別に守ってもらわなくたっていいさ。僕が君を抜け殻にして、僕だけのイエローライオンにすればいいだけのことなんだから…!!」
と言ったのだ。
「…ご…、…う…!?」
最後の望みも打ち砕かれた感覚。自分の言葉で正気に戻ってくれると信じていた。
その時だった。
ピイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
突然、数体のジンマーがけたたましい音を上げ始めた。