ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第4楽章 第3話
テンマレンジャー・将児とコットポトロは街の郊外、誰もいない岩場へとやって来ていた。
「ここなら、誰にも見つかることはねぇかな?」
テンマレンジャーに気力転身したままの将児は自身の背後でグッタリとしているコットポトロの、自身の前へ回していた両腕を振り解くとそのままその両腕を押さえたまま、
「よ、っと!」
と言ってオートバイを降りた。そして、
「お前も降りられるか?」
と聞きながら、半分、意識が朦朧としているコットポトロの肩を持った。だがすぐに、
「…ぐ…ッ!?…うううう…ッッッッ!!!!」
とコットポトロが呻き、前のめりに崩れ落ちた。
「おいおい、大丈夫かよッ!?」
慌ててそのコットポトロを支える将児。そして、気を遣ってか、遠くを見つめるように、
「…随分なこと、…されたもんだな…」
と言った。
「…まぁ、オレらのせいかもしれねぇけど…。…ザイドスの野郎ッ、腹いせに自分の部下をゴミのように扱いやがって…!!」
「…フッ、…フフ…ッ!!」
「あん?」
きょとんとする将児の横で、コットポトロがクスクスと笑っている。
「…俺達はゴミ…、…か…」
「…あ…」
つい、口が滑った。だがコットポトロは、
「いや、君の言う通りかもしれない」
と言うと、
「…所詮、俺達はゴーマの戦闘員。シャダム様、ガラ様、そして、ザイドス様の目的のためにだけ動く駒のような存在。そんな存在だから、俺達は腹いせにボコボコにされようとも、それを受け入れるしかないのだ…」
と言った。
その時、将児の中で何かが弾けた。
「いいのかよ?」
「…え?」
テンマレンジャーのマスクの中で、将児の目がコットポトロを睨み付けている。
「駒のように、ゴミのように扱われて、お前は何とも思わねぇのかよ…!?」
「…仕方がないだろう…」
フッと自嘲気味に笑うコットポトロ。
「…所詮、俺達はゴーマの野望を叶えるための戦闘員。…シャダム様、ガラ様、ザイドス様のご命令には絶対なのだ…」
「バッカ野郎オオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時、将児は物凄い勢いでコットポトロに掴み掛かっていた。
「…コットポトロだって、1人の生き物だろうがよッ!?…オレらとは違うかもしれねぇけど、人間みてぇみたいなもんだろうがよッ!?…なのに…、…なのに…。…強いヤツにペコペコするだけで、それでいいのかよッ!?自分の存在を押し込めてまで、ゴーマに従う理由なんてあるのかよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!??」
「…テンマ…、…レンジャー…」
「お前は今、何がしたいんだッ!?今、どうしたいんだッ!?あんなザイドスのクソ野郎にまたボコボコにされてもいいのかよッ!?」
「…じゃあ…」
その時、コットポトロが口を開いた。
「…俺と…、…ゴーマ宮へ行ってくれるか?」
「…え?」
「…俺と、ゴーマ宮へ行って、ザイドスを倒してくれるか?」
ドクンッ!!
将児の心臓が大きく脈打った。
ゴーマ宮。最終的にはそこへ飛び込んで行くことになるのだろうが、今はまだザイドスだけではなく、シャダム、ガラもいる。いや、3幹部だけではなく、ゴーマ15世も生きている。そんな中に、独りで飛び込めと言うのか。
「…正直に言えば、俺だって悔しいさ。コットポトロに生まれた運命を呪ったこともある。出来ることなら、この恨みをザイドスに晴らしたい!!ザイドスを倒し、シャダムやガラをも倒し、ゴーマ族とダイ族が手を取り合って生きて行けるような世界を築きたい…!!」
「…け、…けど…」
「そのためにはテンマレンジャー。君の力が必要なんだ!!俺をッ、助けてくれッ!!」
「…け、…けど…」
将児は躊躇っていた。確かに、目の前のコットポトロを叱咤した。コットポトロ自身が何をしたいのか、問い掛けた。だが、それがゴーマ宮に乗り込み、ザイドスやシャダム、ガラを倒すことだったとは。
いや、それは分かっていたはずだった。最終的にはそうなることも。だが、今のままでは…。
「頼むッ、テンマレンジャーッ!!君の力を貸してくれッ!!」
そう言うと、コットポトロは将児の右手を掴んだ。そして、それを自身の2本の足の付け根部分に宛がったのだ。
「うわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
突然のことに悲鳴を上げる将児。だが、
「…あ…」
と言うと、右手はコットポトロのその部分を包んだまま、動かなくなっていた。
「…分かったかい?…俺にはもう性器と呼べるものがない。ザイドスに潰されてな…」
「…」
「…こんなこと…、…君にしか言えない。…君の仲間には知られたくない。…俺の思い、…分かるだろう…?」
「…分かった…」
その時だった。
将児がコットポトロの右手を掴んだかと思うと、コットポトロと同じようにその右手を将児の2本の足の付け根に息づく、将児の男としての象徴であるペニスへ導いたのだ。
「…あ…」
「…ヘヘッ!!」
「…テンマ…、…レンジャー…」
勃起はしていないはずだった。だが、将児のペニスは普段でも大きく、また、その下に息づく2つの球体はふてぶてしいほどに重量感があった。
「しょうがねぇなぁッ!!乗りかかった船だッ!!」
やや照れた表情で言う将児。その両手がコットポトロの両肩をポンと叩き、
「オレも、付き合ってやるよッ!!一緒に仇を討とうぜッ!!」
と言った。
「…ククク…!!」
物陰からその光景を見ている男女。
「…上手く行ったようだね…」
ボクは巨漢の男に声をかける。
「…ああ…。…まさか、こんなに簡単に事が運ぶとはなァ…!!」
目をギラギラと輝かせ、舌なめずりをするザイドス。
「さぁ、来い、テンマレンジャーッ!!てめえに、一生消えない屈辱を味わわせてやるぜ!!」
「…どうなるか、楽しみだねぇ…。…プッ!!…アハッ!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!アハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!」
何か、楽しいことが起こりそうな予感。その胸が高揚する高鳴りに、ボクは笑わずにはいられなかった。