ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第5楽章 第3話

 

『…フッ、…フフフフ…ッッッッ!!!!

『アハハハハハハハハ…!!

Oh, nooooooooo!!!!!!!!

 鬱蒼と生い茂る森の中に響く仲間達の笑い声。

「…どッ、…どこにいるんだよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 今にも泣きそうな表情で辺りを忙しなく振り返るサイゾウ。だが、気配を探っても、仲間達の気を感じることが出来ないでいる。

「…サスケ…ぇ…!!

 目に涙が滲む。

 気味が悪い、薄暗い森の中にたった一人きり。大の大人でも不安に駆られる場所にぽつんと一人置かれ、涙が滲むのも無理はない。

 もちろん、それはサイゾウの弱さでもあった。そんな弱みを、

『臆病で、何かあればすぐにサスケ、サスケ、って…』

 と、貴公子ジュニアにまで言われる始末。

『…フッ、…フフフフ…ッッッッ!!!!

『アハハハハハハハハ…!!

Oh, nooooooooo!!!!!!!!

「…あれ?」

 気配がないのに、笑い声だけが聞こえて来る。その時、サイゾウはようやく違和感に気付いた。いや、むしろ、それが遅すぎたと言うことにも気付いた。その笑い声に、どこか禍々しい雰囲気を感じたのだ。

「…ま…、…さか…!!

 サイゾウの顔から血の気が引いて行く。呆然としたその表情。

「…空蝉の術…!?

 一瞬でそう感じたサイゾウは思わず身構える。

『…ようやく分かったみてぇだな…!!

『サイゾウのことだから、信じると思ったんだけどなぁ…!!

Oh. サイゾウはおバカじゃなかったと言うワケネ!!

「んだとおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!??

 その言葉にカッとなったサイゾウが叫ぶ。そして、

「どこだッ!!姿を現せッ!!

 と言った時だった。

 ザザザザ…ッッッッ!!!!

 目の前に現れた水色の人型の妖怪を見た途端、サイゾウは目を点にしていた。

「…ド、…ドロドロ…!?

 貴公子ジュニアのもとにいた3人のドロドロが足音を響かせながら走って来る。

「…こ…、…んの…!!

 ブルブルと拳が震える。そして、次の瞬間、

「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と雄叫びを上げ、駆け出していた。

「…人の声色を使って…ッ!!…混乱させんじゃないよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 カッとなったサイゾウが1人のドロドロに向かって思い切り振り上げた。

 ドゴオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 鈍い音が聞こえた時だった。

「…あ…、…ああああ…ッッッッ!!!?

 サイゾウが驚いて声を上げる。

 普段なら、ちょっと力を入れて拳を突き出しただけで吹き飛ぶドロドロが、今は全く吹き飛んでいない。それどころか、ガッシリと両足を地に着き、サイゾウの拳をその腹部で受け止めていたのだ。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 目の前に仁王立ちになっているドロドロを見た時、サイゾウは目を見開き、短い声を上げた。

「…なッ、…何なの、コイツ…!?…今までのドロドロと違う…!!…筋肉粒々だし、腹筋なんてバックリ割れてるし…!!…そ、…それに…!!

 思わず顔を赤らめる。

 鮮やかな空色のドロドロ。そのガッシリとした筋肉質な2本の足の付け根部分に息づく、ドロドロの男としての象徴・ペニス。それがクッキリと姿を現していた。

「…ウ、…ウソでしょ…!?

 サイゾウがそう言うのも無理はないほどに大きく、長く、太いそれは臍の方へ向かって真っ直ぐに伸び、ビクッ、ビクッ、と大きく脈打っていたのだ。

 その時だった。

 ヒュッ!!

「…ッッッッ!!!!

 背後で眩しい光を感じ取ったサイゾウは思わず横へゴロゴロと転がった。

「…な…ッ!?

 そこには、同じように筋肉質で、ペニスを大きく勃起させた2人のドロドロが右手に持っていた刀を振り下ろしていた。そして、先ほどまでサイゾウと対峙していたドロドロと一緒に、一斉に飛び掛かって来たのだ。

「うおおおおッッッッ!!!?

「はああああッッッッ!!!!

「ふんッ!!

 振り下ろされる刀を、ドロドロの手首や刀の柄のところで防御するサイゾウ。とは言え、多勢に無勢ではあっと言う間に圧されて行く。

「…くッ!!

「うわッ!!

「ああああッッッッ!!!!

 1人のドロドロが持ってる刀の切っ先が頬に当たり、鮮血が滲む。

「こうなったら…!!

 サイゾウの目に光が宿る。サイゾウはドロンチェンジャーを取り出すと、

「スーパー変化ッ!!ドロンッ、チェンジャアアアアッッッッ!!!!

 と叫び、そのスイッチを押した。その瞬間、サイゾウの体は眩しい光に包まれ、光沢のある鮮やかな空色のスーツを身に着けていた。ニンジャブルー。サイゾウがスーパー変化した姿だ。光沢のある鮮やかな空色のスーツには、体の肉付きがクッキリと分かるくらい殆どデザインがない。首から胸の中心にV字に象られた白いライン。左胸には手裏剣のようなデザイン。手首と腕、足首と脛には白いラインが入り、いかにも忍者と言う出で立ちだ。

「行くぞオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 背中に携えているカクレマルを抜き、物凄い勢いで走って行く。そして、

「でやああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と、それをドロドロに斬り付けようとしたその時だった。

「…なッ、何イイイイッッッッ!!!?

 サイゾウが驚くのも無理はない。目の前にいたドロドロが瞬時にして視界から消えていたのだ。

「どッ、どこだああああッッッッ!!!?

 その時だった。

 ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

 衝撃音が聞こえ、背後で何かが光ったように思えたその瞬間、サイゾウは背中に激痛を感じていた。

「…え?」

 驚いて振り返ると、目の前で眩しく光る刀の切っ先が、サイゾウに振り下ろされていた。そして、

 ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と言う衝撃音と共にニンジャブルーの光沢のある空色のスーツがスパークし、爆発する。

「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 急いで構えようとするが、目の前には敵はいない。

「…どッ、どこだああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

「ここだ…!!

 と、その瞬間、目の前に3人のドロドロが姿を現した。そして、1人は刀を上から下へ、1人は刀を左から右へ、そして、最後の1人は遠くから衝撃波のような弾丸を飛ばして来たのだ。

「「「三位一体波ッッッッ!!!!」」」

 その衝撃波は光の弾丸となり、全てがサイゾウにぶち当たった。

 ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!

 物凄い爆発音が辺りに響き、サイゾウの周りで大爆発が起こった。そして、

「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 と言うサイゾウの絶叫が、迷いの森の中に響き渡ったのだった。

 

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