ヒーローが戦闘員に陵辱される抒情詩 第6楽章 第2話
都内でも有数の進学校・諸星学園高校。
大学かと思われるほどの大きなキャンパスの中に、西洋風の、まるでお城のような校舎が建っている。とは言え、お城のように城壁があったり、キラキラ輝いているわけではなく、ちゃんと学校であると言う古めかしいイメージも備えていた。
その3年A組の教室。
「…太…。…健太…ッ!!」
学ランの背中が大きく曲がり、その生徒は机に突っ伏していた。
「健太ってばッ!!先生が見てるよッ!!」
背後からシャーペンでツンツンと突く男子生徒。その目がきょときょとと忙しなく動き、教室の前で板書しながらも時折振り返ってはギロリと睨み付けている教師と、背中を丸めて幸せそうな表情で眠り続けている目の前の生徒とを交互に見つめている。
「…あわ…、…あわわわわ…!!」
その時だった。
「こぉらああああッッッッ!!!!健太ああああッッッッ!!!!」
とうとう教師のカミナリが落ち、持っていた教科書で眠っている健太と呼ばれた男子生徒の頭を叩いた。
バシッ!!
乾いた音と共に、
「あ痛てッ!!」
と、健太と呼ばれた男子生徒がガバッと体を起こす。だがすぐに、
「…お?…お?」
と言いながら体をふらつかせたかと思うと、
「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と言う声と共に椅子から転げ落ちた。
「…あっちゃ〜…」
健太の背中を突いていた男子生徒が顔をしかめる。
「…あ、…痛てててて…!!」
健太は後頭部を押さえながらゆっくりと起き上がる。だがすぐに、
「…ッ!?ぬわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と悲鳴を上げ、
「…おッ、…鬼…ッ!!」
と言った。すると、
「だぁれが鬼だッ!!誰がああああッッッッ!!!!」
と言う怒鳴り声と共に、
バシッ!!
と、再び教科書で頭を叩かれた。と同時に、教室の中が爆笑で包まれた。
「…全くぅ…。相変わらずだなぁ、お前は」
教師は苦笑すると、
「お前、受験生だろう?また夜遅くまでゲームでもしていたのかぁ?」
と言った。
「…え?…あ…、…あはははは…」
「いいかぁ、健太ぁ。お前も受験生なんだから、いつまでもゲームばっかりやってちゃ、ダメだぞ?」
「大丈夫ですよッ!!やる時はきちんとやるんで!!」
健太がニヤッとしてそう言うと、
「…本当かぁ?」
と教師は怪訝そうに言った。だがすぐに、
「よぉし!!授業に戻るぞぉ!!」
と大声で言い、その場を仕切り直した。
「…」
そんな光景を、健太の背中を突いていた男子生徒が苦々しい思いで見つめていた。
伊達健太。諸星学園高校3年A組。勉強は殆どダメで、成績は下から数えた方が早い。授業はてんで苦手で、よく居眠りをしている常習犯でもあった。
だが、実は、健太には誰にも言えない秘密があった。
彼はDr.ヒネラー率いる邪電王国ネジレジアから地球を守る「電磁戦隊メガレンジャー」の1人・メガレッドとして日々、ネジレジアの脅威と戦っていたのである。
「インストールッ!!」
左腕に装着したデジタイザーと言うブレスレットを操作する。そして、
「3、3、5!!」
と言う音声と共に健太の体は眩い光に包まれ、次の瞬間、光沢のある鮮やかな赤色のスーツを身に纏っていた。
「メガレッドッ!!」
そのスーツは健太の体にピッタリと密着するように纏わり付き、高校生独特の、大人と子供の中間点のような発達途中の体付きをクッキリと浮かび上がらせる。腕、脚、胸、そして腹筋。
更に。
健太のややガッシリとした2本の足の付け根部分。そこに息づくふくよかな膨らみ。健太の男としての象徴・ペニス。それが密着するスーツの中でこんもりとした淫猥な膨らみを作り出していたのだった。
「大輔、飯食おうぜッ!!腹減ったああああッッッッ!!!!」
授業が終わると、健太はクルリと背後を振り向き、爽やかな笑顔で大輔と呼ばれた、健太の背中をシャーペンで突いていた男子生徒に声をかけた。
「…う、…うん…」
「…?どうしたんだよ、大輔ぇ?」
ムスッとした表情の大輔に対し、健太は怪訝そうに尋ねる。すると大輔は、
「…全く、酷いよッ!!」
と口を尖らせた。
「…健太はさ…。…遊んでるわけじゃないのに…。…メガレンジャーとして、ネジレジアの侵攻からこの地球を守ってるのにッ!!」
「だぁいすけッ!!」
その時、健太はぽんと大輔の頭に手を置いた。
「…健太?」
相変わらず爽やかな笑みを浮かべて自分を見ている健太。そのキラキラとした瞳に吸い込まれそうになる。
「しょうがねぇよ、大輔。オレがメガレンジャーであることは絶対に誰にも知られてはいけない秘密なんだ。オレがメガレンジャーであることがバレたら、それこそ、この学校中、いや、この地域の人達が被害を被る。ネジレジアはそう言う連中だからな!!」
「…で、…でも…」
「気にすんなって!!んま、どうせ、オレは勉強はてんでダメだし?ゲームばかりやってると思われていた方が、気が楽でいいぜ!!…それに…!!」
「…わ…ッ!!」
不意に健太がニヤリとしたかと思うと、健太は大輔の両脇に両手を差し入れ、グイッと持ち上げていた。その反動で、大輔の体がふわりと持ち上がったかと思うと、次の瞬間、大輔の体は温かい感覚に包まれていた。
「…けッ、…健太…ッ!!」
顔を真っ赤にしている大輔に対して、健太はニヤニヤと悪戯っぽく笑っている。そして、
「お前って言う最大の理解者さえいれば、オレはどんなことだって耐えられる!!お前がいるから、頑張れるんだッ!!」
と言うと、大輔の体を離した。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
ドキドキと心臓が高鳴っている。自分でも信じられない感覚に、大輔は戸惑いを覚えていた。
その日の夕方、大輔は自宅に帰って来ると自室に篭り、パソコンの電源を入れた。
ウィィィィンンンン…。
モーターが動き出す音が聞こえ、画面にタイトルロゴが表示され、パソコンが準備期間に入る。
「…健太…」
真っ黒な学ランを脱ぎ、ぽすんと椅子に腰掛ける。そして、マウスを持つとカチカチと言う音を立ててモニターに浮き出ているフォルダをクリックする。そこには「K. D.」と言うタイトルが。
「…健太…」
そのフォルダが開いた時、そこには光沢のある鮮やかな赤色のスーツを身に纏った健太の笑顔の画像が何枚も保存されていた。
「大輔にだけ、特別だぜッ!!」
そう言った時、健太は凛々しい表情をすると、
「インストールッ!!」
と言い、左腕に装着したデジタイザーを操作した。そして、
「3、3、5!!」
と言う音声と共に健太の体が眩い光に包まれ、次の瞬間、健太はメガレッドにインストールしていた。
「…健太…」
その頃には、大輔の右手は自身の2本の足の付け根に息づく、大輔の男としての象徴であるペニスを揉みしだいていた。
その時だった。
ジャキッ!!
鋭い金属音が聞こえた時、大輔の目の前には冷たく眩く光る大きな刃があった。