女王の妖魔術U 第17話
「うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
真っ暗闇の空間。その中に放り込まれたデンジイエロー・黄山純は、その体をしたたかに打ち付けた。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
体が鉛のように重い。
「…く…っそ…オオオオ…ッッッッ!!!!」
いい夢を見てその夢の中で絶頂に達し、更に現実の世界ではバルパンサー・豹朝夫によって絶頂に導かれると言う、同時に2度も絶頂を迎えていたとは。更に、その夢の中で放出したエネルギーも、更に現実の世界で絶頂へ導かれたその淫猥な液体も吸い取られ、それがベーダー怪物・ユメバクラーによって溜め込まれていたなんて。
「…ど…、…う…して…!?」
それよりも重いもの。未来から来たとされる豹によって語られた真実。
自分達はベーダー一族を滅ぼすと言う真実。それは少なからずほっとしたような気がする。自分達はこの世界を守らなければならないと言う使命感があり、それが結果としていい方向へ動いて行くのは分かった。だが、ベーダー一族を滅ぼしてもヘドリアン女王だけは取り逃がしてしまうと言う事実も分かった。
更に、機械帝国ブラックマグマと言う組織によってヘドリアン女王は機械生命体として蘇り、再びこの世界を侵略しようとした。それは豹がいるサンバルカンが阻止しようとしたのだが、どうやら、豹がヘドリアン女王によって操られ、サンバルカンは敗北してしまうと言う事実も分かった。
その時だった。
「ンンッフフフフフフフフ…!!」
低い笑い声と共に、数人の足音が聞こえ、うつ伏せになっていた黄山は何とかして頭を上げた。
「…気分はどうじゃ、デンジイエロー?」
見慣れた姿のヘドリアンが侮蔑の眼差しで黄山を見下ろしている。その時、黄山は右手に装着しているデンジリングを何とかして口元へ持って来ると、
「…み…、…んな…ぁ…ッ!!」
と、仲間を呼ぼうとした。だが、
「無駄じゃ、デンジイエロー。この空間では一切の通信手段が遮断されるのでな!!」
と、ヘドリアンの無情で冷酷な声が響いた。
「さあッ、デンジイエローッ!!覚悟しろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時、ユメバクラーがズカズカと言う足音を立ててやって来ると、うつ伏せに倒れている黄山の胸倉を掴み、物凄い勢いで持ち上げたのだ。
「…ぐ…ッ、…あ…、…あぁぁ…!!」
息が詰まる。足が完全に浮いていて、体が宙に浮いた状態だ。
「…く…ッ、…苦しい…ッ!!」
意識が朦朧とする。その時だった。
「ひょひょおおおおッッッッ!!!!先輩ッ!!先輩のおチンポ、まだ勃起したままですにぃッ!!」
豹がおどけた声でそう言いながら近付いて来ると、黄山を持ち上げているユメバクラーと黄山の間に体を滑り込ませた。そして、目の前にある黄山の2本の足の付け根部分に顔を埋めた。
「あッ!!」
その刺激に、黄山の体がビクリと跳ねる。
「…やッ、…止め…ろ…ッ!!…豹…ッ!!」
顔を真っ赤にし、体を捩じらせる黄山。ただでさえ、豹によって絶頂へ導かれ、デンジイエローのスーツはその部分がぐっしょりと濡れ、強烈な臭いを放っているのだ。だが、豹は黄山のぷりんとした双丘へ両手を回し、スゥッと息を吸い込んだ。
「…あぁ…。…すんげぇ、いい臭いがしますにぃッ!!最高ッ!!ひょひょひょひょ…!!」
と笑い、その目をギラリと光らせたのだ。
「…ンンッフフフフフフフフ…!!」
すると、今度は未来のヘドリアンが低い声で笑い始めた。そして、
「…バルパンサー。…デンジイエローのエネルギーを全て搾り取れ!!まだまだ残っているはずじゃ…!!」
と言ったのだ。その途端、
「…や…ッ、…止め…ろ…!!…ひょ…、…う…!!」
と、黄山が苦しそうに声を上げた。
その時だった。
「まぁ、待て待て」
過去のヘドリアンがニヤニヤしながらその光景を眺めている。そして、
「今度は私の妖魔術で、デンジイエローを精神的にボロボロにしてやろう…!!」
と言うと、
「ユメバクラー。デンジイエローを下ろせ!!」
と言ったのだ。
「ははッ!!」
ユメバクラーが素直に従い、黄山を下ろす。その途端、
「…う…ッ!!」
と言う声を上げて、黄山は地面に大の字にひっくり返った。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
体が重い。心も重い。最早、戦う気力さえ、残されていなかった。
「…どうして…、…こんな…ことに…!!」
黄山の目から涙が零れる。
「自分の運命を呪うのじゃな。お前がバルパンサーと親密な関係だったのが災いしたのじゃ。そして、その事実を未来の世界で知った。それはつまり、私が自らベーダーを再興することが出来ると言うことだったのじゃ。お前を倒せば、同じようにして他のデンジマンも同じ運命に遭わせてやる。そして、この世界をヘドロの溢れる世界にしてやるのじゃ。アァッハハハハハハハハ…!!」
過去のヘドリアンが高らかに笑う。
「でも、先輩はオレとずっと一緒ですからねッ!!オレが先輩にたくさんご奉仕してあげますからねッ!!」
「うむ。この闇の空間でな!!」
未来のヘドリアンがニヤリと笑う。
「…止めろ…!!」
上半身を何とかして起こした黄山が声を震わせる。そして、両手を頭へ持って行ったかと思うと、
「…もう…ッ、…止めてくれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と絶叫した。
「たッ、頼むううううううううッッッッッッッッ!!!!!!!!もうッ、こんなことは止めてくれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「無理じゃな!!」」
2人のヘドリアンの声が無情に響いた。
「では、そろそろ始めるとするかのう」
過去のヘドリアンの目がギラリと光った。そして、スゥッと両手を前へ突き出したかと思うと、
「…ああああああああ…」
と、低く不気味な声で呪文を唱え始めたのだ。
「ベーダー妖魔術マンダラ、ベーダー妖魔術マンダラァァァァ…」
「ひょひょおおおおッッッッ!!!!過去の女王様も妖魔術を使えたんですにぃッ!!」
豹が驚いて素っ頓狂な声を上げると、
「当たり前じゃッ!!未来も過去も同一人物なのじゃからなッ!!」
と、未来のヘドリアンがぷっと頬を膨らませた。
「ベーダー妖魔術マンダラ、ベーダー妖魔術マンダラァァァァ…」
過去のヘドリアンの低い声が黄山の耳に聞こえて来る。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
その声は黄山の脳を冒し始める。
「…うあ…ッ!!…うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
まるで死の呪文のように聞こえるそれ。どんなに耳を塞いでも聞こえて来るそれ。
「無駄じゃ無駄じゃ。どんなに耳を塞いでも、この呪文はお前の精神に作用するのじゃからなぁ…!!」
過去のヘドリアンがニヤリとしてそう言うと、未来のヘドリアンも満足げに頷いた。
「…さぁッ、デンジイエロー。まずは手始めに…!!」
過去のヘドリアンの目がギラリと輝いた。
「…デンジイエロー。…お前自身でエネルギーを放出するのじゃ…!!」