DON脳寺の変 第24話
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
全身を締め付けられ、激しい痛みが翼を襲う。
「…やッ、…止めろオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!痛てええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
体中がメリメリと言う音を立てている。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
意識が遠退きそうになる。
「ンフフフフ…!!」
翼の体を締め付けるソノニが低く笑い始めた。
「いいわぁ。かわいいわよ、イヌブラザー…!!」
「…ッッッッ!!!!」
その時、ソノニは全身を光沢のある白いスーツに包み込み、戦士の姿に変わっていた。
「ねぇ、イヌブラザー」
「…な…、…んだ…!?」
「ンフフフフ…!!」
ゆっくりと翼のもとへ近付いて来るソノニ。その目がギラリと光る。
「…あなたがこの世界を救ってみない…?」
「…な…、…に…!?」
「ンフフフフ…!!」
ソノニは相変わらず笑い続けている。
「…あなただって、本当は不満に思っているのでしょう?」
「…な…、…にが…!?」
「…あの赤いの、…ドンモモタロウのお供扱いされていること」
「…ッッッッ!!!!」
その時だった。
ドクンッ!!
翼の心臓が不意に大きく高鳴った。
「…俺…は…」
ドクンッ!!ドクンッ!!
逃亡犯の翼。そんな翼がいつの間にか、ドンモモタロウ・桃井タロウのもとに呼ばれるようになり、そして、あの高飛車な笑い声でお供達と呼ばれ、自身の身の潔白を証明するために仕方がなく、タロウのお供になった。
(…けれど…)
本当のことを言えば、そんなのはごめんだった。誰にも指図されない、誰にも従わない、そんな人生を生きたい。
「…俺は…。…俺は…!!」
ドクンッ!!ドクンッ!!
その時だった。
ゆらりとした靄のようなものが、翼を包み込み始めた。
「…ぁぁぁぁ…!!」
その靄のようなものが固まり始めたその時、翼の背後に鬼のような姿が見えたのだ。
「ンフフフフ…!!」
ソノニが笑う。
「…さぁ、イヌブラザー。…今度はあなたが、この世界を救うご主人になる番よ…!!」
「…ぁぁぁぁ…!!…ぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
翼が絶叫する。その瞬間、翼の目がギラリと真っ赤に光ったのだった。
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!」
その頃、ドンモモタロウ・桃井タロウは大量のアノーニ達とたった一人で戦っていた。
「どうしたどうしたああああッッッッ!!!?そんなんでは、オレは倒せんぞオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!」
「…フンッ!!」
その光景を、キジブラザー・雉野は鼻で笑って見ていた。
「…意気揚々と叫んではいるが、息が上がっているじゃないか…!!」
「オレに任せろッ!!」
その時、雉野の傍にいたソノザが不意に言ったかと思うと、三刃槍カゲスピアを振り回し、
「ヒャーッハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と下衆な笑い声を上げながらタロウのもとへ突っ込んで行く。
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!今度はお前が相手かああああッッッッ!!!?」
タロウは楽しそうに笑いながら、ザングラソードを振り翳す。
「ヒャーッハハハハハハハハ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
光沢のある灰茶色のスーツに身を包み、戦士の姿に変わったソノザがカゲスピアを振り下ろす。
ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
乾いた鋭い金属音が聞こえ、タロウのザングラソードとソノザのカゲスピアがぶつかり合った。
「…お前がラスボスか!?」
「あ?」
タロウの言葉に、ソノザは一瞬、きょとんとしたが、すぐに、
「…ククク…!!」
と笑い始めた。そして、
「オレがラスボスなわけないだろうがッ!!ラスボスはなぁ、ソノイなんだよッ!!お前がいるとオレ達脳人の世界の均衡が崩れるんでな、お前を倒せと言うご命令なんだよ!!」
と言った。
「…そうか…」
タロウは納得したように何度も何度も首を縦に振ると、
「じゃあ、お前は倒すべき相手ってことだよなああああッッッッ!!!?」
と言い、ザングラソードを思い切り持ち上げた。
「…あ…」
その瞬間、ソノザの体がグラリとなる。
「はああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
眩しい光が煌いたその瞬間、タロウのザングラソードが上から下へ真っ直ぐに振り下ろされていた。
ズガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
激しい衝撃音と共に、ソノザの体がスパークする。
「ぐはああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その衝撃でソノザは吹き飛ぶ。
だが、その時、タロウは今までに感じたことがない強烈な殺気に襲われた。
「…な…、…に…!?」
雉野を見た瞬間、タロウはその場に凍り付いた。
「…お前…!?」
「…ククク…!!」
雉野が不気味な笑みを浮かべている。その背中には巨大なおぞましいオーラが漂い、巨大な鬼のような姿になっていた。
「…お前を…、…倒す…ッッッッ!!!!」
右手にはドンブラスター、そして、左手には、ソノイが手にしていたどす黒く、禍々しいオーラを放つアバタロウギアに似た形状のもの。
「…行くぞ…!!」
雉野の目が真っ赤に光り、手にしていたアバタロウギアのようなものをドンブラスターに装着した。そして、
「アバターチェエエエエエエエエンジイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と叫び、ドンブラスターの引き金を引いた。その瞬間、
バシュウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う衝撃音と共に、巨大な光の球がドンブラスターから飛び出した。
「…なッ、…何だッ!?」
タロウが呆然とする。
「…これ…は…!?」
目の前に降り立ったその巨大な光の球が少しずつ形を変え、人のような形になり始めた。
「…何…、…だと…!?」
その光が消えた時、タロウはその光景に絶句したのだった。