DON脳寺の変 第25話
赤色、青色、黄色、緑色、ピンク色、白色、オレンジ色、黒色、銀色、臙脂色、群青色、金色、紫色、水色、灰色。
タロウや雉野、猿原、はるか、翼がアバターチェンジした時に着用するのと同じような光沢のあるスーツを身に纏った戦士達が目の前にいる。いや、いる、と言うレベルではない。優に200人を超えるだろうか。
「…こ…、…れは…ッ!?」
そのあまりの光景に、キジブラザー・雉野は息を飲み込む。
「…ぼ、…僕達がアバターチェンジした時に変わる戦士達、だよね…?」
「ああ、そうだ!!」
雉野の横にいたソノザが言う。
「だが今は、お前の命令にしか従わないようになっている。そのソノイからもらったダークアバタロウギア。その力によってこいつらはお前の手となり足となり、アイツを倒すのさ!!」
ソノザが遠くにいるドンモモタロウ・タロウを指さす。
「…ククク…!!」
雉野が低く笑い、目をギラリと輝かせた。
「…アイツに何を言われようと、後の世の人に何と言われようと、僕には関係ないッ!!…僕は…ッ!!…僕がッ、みほちゃんを守るッ!!たとえ、相手が誰でもッ!!何をしてもッ!!」
そう言った時、雉野の禍々しいオーラが一気に膨れ上がり、
「行けエエエエエエエエッッッッッッッッ!!!!!!!!敵はッ、ドンモモタロウッ、桃井タロウなりいいいいいいいいッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と叫ぶと、右手を前へ突き出した。その瞬間、夥しい数の戦士達が一斉に動き出し、タロウに向かって駆け出したのだ。
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!」
その時、タロウは高らかに笑うと、
「何人来ようが、オレに勝てるわけがないッ!!ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!」
と叫びながら、迫り来る戦士達をザングラソードで振り払って行く。
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!祭りだ祭りだああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「うるさいうるさいうるさああああああああいいいいいいいいッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「ヒャーッハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ソノザも狂ったように叫びながらタロウへ向かって突進して行く。
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!」
ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
ソノザの三刃槍カゲスピアと、タロウのザングラソードがぶつかり合い、金属音の高い音を立てる。
「いい加減、観念した方がいいんじゃないのかぁ、ドンモモタロウさんよぉッ!?」
「ハーッハッハッハッハッッッッ!!!!だぁれが観念するかッ!!」
ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ギイイイイイイイインンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
2人の武器がぶつかり合い、耳を塞ぎたくなるほどの高周波の音が響き渡る。
その時だった。
ヒュウウウウウウウウ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!
何かが落ちて来る音が聞こえ、その方向を振り返った。それを見た途端、
「何ッ!?」
とタロウは目を丸くする。一方、ソノザはニヤリとしたかと思うと、
「おっと!!」
とだけ言い、素早くそこから逃げ出した。と次の瞬間、
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!ドガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う巨大な音と共にその辺り一面が爆発したのだ。
「うぐわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
その大きな爆発の炎に巻き込まれ、タロウが悲鳴を上げる。
「…す…、…ごい…!!」
雉野が目を丸くする。そして、ドンブラスターに装填したダークアバタロウギアを眺めた。
「…これが…、…ダークアバタロウギアの力…!?」
その時、不意に雉野の口元が不気味に歪んだかと思うと、
「…ククク…!!…アハッ!!…ハーッハハハハハハハハッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と、目を真っ赤にして笑い始めたのだ。
「どうだッ、桃井タロウッ!?これからこのダークアバタロウギアに宿る戦士達のたくさんの必殺技がお前に降り注ぐッ!!覚悟するんだなアアアアッッッッ!!!!」
その時、ダークアバタロウギアから生み出された戦士達がそれぞれにフォーメーションを組んでいた。ボールのような爆弾を持っている者、バズーカ砲のようなものを持っている者、キラキラと眩く輝く銃口をタロウに向けている者などなど。
「…ぐ…ッ、…うううう…ッッッッ!!!!」
先ほどの爆発によるダメージで、体に痛みが走り、思うように動けない。
「覚悟ッ、桃井タロオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
雉野がそう叫んだその瞬間、
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
ドオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ドオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う衝撃音と轟音とが響き渡った。
と、その時だった。
「ダメエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
女の子の叫び声と共に、誰かがタロウと無数のエネルギー弾や爆弾の前に立ちはだかった。そして、
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンンンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と言う激しい爆発音の中に、
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と言う悲鳴が響き渡った。
「…え!?」
それには雉野も呆然とした。
シュウウウウウウウウ…。
そして、目の前を覆っていた爆風や砂塵が晴れた時、
「…うう…ッ!?…うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!??」
と、雉野は目を見開いて叫んでいた。
「…オ…、…ニ…!?」
「はッ、はるかちゃんッ!?」
タロウと雉野が同時に声を上げる。
「…う…、…あ…、…あぁぁ…!!」
オニシスター・鬼頭はるかがタロウの前に割って入り、無数のエネルギー弾や爆弾を一手に引き受けていたのだ。
「…あ…」
その瞬間、ガクリと膝が折れ、はるかが前のめりにドサッと倒れる。
「オニイイイイイイイイッッッッッッッッ!!!!!!??」
タロウが駆け出し、はるかを抱き起こす。
「…そ…、…の…、…言い…方…。…何…か…、…ムカ…つく…、…です…けど…!!」
息も絶え絶えに、はるかが精一杯の笑顔を浮かべる。そして、
「…も…、…も…い…、…タ…、…ロウ…、…様…」
とタロウを呼んだ。
「何だ?」
「…あな…たに…、…忠…誠…を…、…誓い…ます…」
その時、はるかの体から光の粒のようなものが浮かび始め、その体が透き通り始めた。
「…タ…、…ロ…ウ…様…」
ニッコリと微笑むはるか。
「…私…を…、…導…いて…、…下…さ…、…い…」
そう言い終えた時、はるかの姿はどこにもなかった。