宇宙からの侵入者 第1話
深い、深い地底のその奥深く――。
ゴボゴボと低い唸り音を上げて煮え滾るマグマ。その片隅に冷えて固まったマグマの岩石群があった。そしてそれは、まるで何かを守るかのように円を描くようにして固まっており、その中心部には巨大な要塞が、それでも灼熱の熱風と炎を迸らせるマグマから身を守るかのように、真っ白な冷気を出しながら静かに座っていた。
グランギズモ――。
ギラギラと真っ赤に光る目、鋭い牙と歯を持つ大きく開かれた口を持つ機械仕掛けの巨大な海獣は、他のものを一切寄せ付けないような雰囲気を醸し出していた。
コツコツ、コツコツ――。
そんなグランギズモの内部、黒と白の正方形のタイルが一面に張り巡らされた玉座の間で、1人の青年が右往左往していた。海賊のような兜と鎧を纏い、青く縁取られた瞳はキラキラと輝き、自身に満ち足りた表情をしていた。その口元がニヤリと歪んだかと思うと、
「酒だあッ!!酒を持てえッ!!」
と、若々しい声を上げた。
ジャシンカ帝国の若き王子・メギド。
有尾人一族ジャシンカ帝国。遥か古代に地球に落下した隕石に付着していた生命体が、独自の進化を遂げた地底の居住者「有尾人」の一族による帝国。その名のとおり尻尾を持ち、尻尾の数が多いほど階級が高い。尻尾の無い地上人を下等生物と見下し、人間に尻尾を生やすことも不可能とわかると、地上への侵攻を開始した。
その中でこの若き王子・メギドは5本の尻尾を持っていた。だが地上へ侵攻を開始したと同時に、科学戦隊ダイナマンと言う、ジャシンカ帝国の動きを察知していた博士によって集められた若者の一人に尻尾を1本切られ、今は4本となっていた。
そんなメギドが何故、青く縁取られた瞳をキラキラと輝かせ、自身に満ち足りた表情をしていたかと言うと――。
1人の、緑に黒色のラインが入った、1本の尻尾を持った兵士・シッポ兵がグラスをメギドに差し出した。その中の液体は毒々しいほどの赤色で、そこからもくもくと白いガスのようなものが溢れ出していた。
「…おい、…あれを…!」
メギドはそう言うと、
「タコシンカァッ!!」
と叫んだ。
「ははーッ、こちらにッ!!」
ドスドスと足音を響かせながらやって来たのは、まるで人間がタコの被りものを被ったような姿の怪人・進化獣タコシンカだ。そして、その後ろからは2人のシッポ兵に両腕を掴まれた男が、ヨロヨロとよろめきながら入って来た。
光沢のある鮮やかな黒色のTシャツのような服。その肩から二の腕、そして胸の中心部分に赤いラインが入っている。二の腕から手首にかけては光沢のある真っ白な素材、そして、その手を真っ黒なグローブが包み込んでいた。
下半身は光沢のある真っ白な素材で、その両脇には赤いラインを2本の黒いラインが挟み、それが足首まで伸びていた。そして、その足を真っ黒なブーツが包み込んでいた。
彼の体に密着するように纏わり付いたそのスーツ。それは彼の筋肉質な体付きをクッキリと浮かび上がらせていた。
そんな彼の、2本の足の付け根部分。彼の男としての象徴であるペニスが息づく場所。
そこは今、無残なほどにビリビリに引き裂かれ、そこから彼の男としての象徴であるペニスと、その下に息づく2つの球体を包み込むずんぐりとした袋がブラブラと揺れていた。
「…も、…もう…、…止めて…くれ…!!」
その男が声を震わせ、弱々しく言う。
「…もう…、…出ない…」
その顔を本来は覆っているはずのマスクが取り去られ、うっ血した、げっそりと痩せ細った顔があった。
ダイナブラック・星川竜。
ジャシンカ帝国に立ち向かうために結成された科学戦隊ダイナマンの一員だった竜。忍者の末裔として俊敏で、敵をかく乱する素早い動きを見せる竜だったが、目の前にいるメギドとタコシンカの罠にかかり、呆気ないほどにパワーを吸収され、今では捕らわれの身となっていた。
「…たッ、…頼むッ!!…もう、…出ない…!!」
腰を思わず引く竜だったが、
「ええいッ、黙れ黙れッ!!」
と、苛立ったメギドが鞭を振るう。
バシッ!!バシィィィィッッッッ!!!!
鈍い音が聞こえたかと思うと、
「うぐッ!!」
「うああああッッッッ!!!!」
と言う竜の悲鳴が辺りに響き渡った。
「…フン…!」
一頻り鞭を振るい、メギドは満足そうに笑うと、
「やれッ、タコシンカッ!!」
と言った。
その時、竜の両腕を捕らえていた2人のシッポ兵が、竜の腰をグイッと前へ突き出すように、竜の筋肉質の尻を押し出した。
「…クックック…!!」
タコシンカの目の前には、恐怖のあまり小さく萎んでいる竜のペニスが。
「…止めろ…!!…止めろおおおおッッッッ!!!!」
竜が叫ぶ。だがタコシンカは、
「行くぞ…!」
と言うと、両腕の周りにある、吸盤が付いた足の1本をクルクルと竜のペニスに巻き付けた。
「…あ…、…あああ…!!」
竜が恐怖のあまり声を震わせる。
「タコシビレエエエエッッッッ!!!!」
タコシンカがそう叫んだ瞬間、竜のペニスに巻き付いているたこ足がビリビリと帯電し始めた。
「ふああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
局部電撃を与えられたかのように、竜のペニスにだけ刺激が走る。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
竜の顔が虚ろになって行く。と同時に、竜のペニスがその刺激を受け、タコシンカのたこ足の中でビクビクと勃起し始めたのだ。
「…おッ、…俺の…、…俺の…チンポ…が…!!」
ガクガクと膝を震わせ、その光景を呆然と見つめる竜。そんな竜の大きく勃起したペニスは、先端部分を真っ赤に腫れ上がらせ、その鈴口からトロトロと淫猥な液体を垂らし始めた。
「さぁッ、ダイナブラック!貴様のエネルギーを再びメギド様へ捧げるのだ!」
タコシンカが満足気に頷いたその時だった。
「…ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!」
竜が顔を真っ赤にし、目を大きく見開いて叫んだその時だった。
「…でッ、…出るッ!!…まッ、またッ、出るッ!!」
そして、ガクガクと腰を振ったその瞬間、
…ビュッ!!…ビュクッ!!…ビュク…ッ!!
と言う鈍い音を立てて竜のペニスの先端が弾け、そこから粘着質な液体が物凄い勢いで飛び出した。それを毒々しいほどに真っ赤な、白いガスを溢れさせるグラスで受け止めるメギド。その瞬間、シュワアアアア、と言う音と共に、真っ白がガスが更に溢れ出した。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
目を虚ろにした竜が全身で大きく呼吸を繰り返す。
「…ククク…!!」
メギドは、竜の精液がなみなみと注がれたグラスを見つめ、
「ダイナブラックを再び、牢へ繋いでおけ!」
と言うと、竜の両腕を捕らえていたシッポ兵は、竜を引き摺るようにして玉座の間を出て行った。
…ゴクンッ!!…ゴクッ!!…ゴクッ!!
喉を大きく鳴らし、グラスに注がれた不気味な液体を一気に飲み干すメギド。そして、大きく溜め息を吐いたかと思うと、
「ダイナブラックを捕らえたと言うことは、ダイナマンの戦力が大きく落ちたと言うことだ!こちらにはダイナブラックと言う人質がある!下手に刃向えば、ダイナブラックの命など、ひとたまりもないッ!!者どもッ!!今こそ、地上への総攻撃を開始するのだッ!!」
と大声で叫んだ。その瞬間、周りにいたシッポ兵達が奇声を発し、メギドの戦績を讃え始めた。
「…ククク…!!…ハーッハッハッハッハ…!!!!」
満足気に大声で笑い、手にしていたグラスを投げ捨てるメギド。
そのグラスは乾いた音を立てて砕け散った。