宇宙からの侵入者 第5話

 

 シュウウウウ…。シュウウウウ…。

 たんぱく質や布地の焦げるような臭いが辺りに充満する。

「…う…、…あぁぁぁ…!!…うああああ…ッッッッ!!!!

 その中で、1人の男が呻き声とも叫び声とも判断の付かない声を上げ、地面をゴロゴロと転がっていた。いや、地面の上で殺虫剤を掛けられたゴキブリのように激しく体を痙攣させていたのである。ダイナブラック・星川竜。

 鉄格子で覆われた牢獄のようなところに放り込まれ、その中で進化獣・タコシンカと戦った。その鉄格子には超高圧な電流が流されており、竜はそれを思わず掴んだことで、強烈な電撃が流れることが分かった。

 そして、捨て身の攻撃によって、目の前にいる進化獣・タコシンカと共に高圧電流を浴びたはずだった。だが、もともと電撃の属性を持つタコシンカには、それはタコシンカへのエネルギー補充にしかならず、逆に竜は、その鉄格子の高圧電流と、タコシンカのタコシビレと言う二重の電撃を浴び、それに耐えかねたダイナブラックのスーツが過熱して大爆発を起こしたのだった。

 光沢のある鮮やかな黒と白であしらわれた、彼の体に密着するかのように存在するスーツ。それが今、埃と爆発による火薬に薄汚れ、更には彼の体を様々な衝撃から守るように配置されていた回路が爆発の衝撃によって剥き出しになり、酷いところでは生地の下地までが見えていた。だが、下半身に纏わり付く白いスーツは、彼の筋肉質な尻や太腿をくっきりと浮かび上がらせ、見ている者に妙な感情を抱かせているのは間違いなかった。

「ハーッハッハッハッハ…!!

 そんな彼を少し離れたところの、きらびやかに装飾された玉座のようなところに腰掛けた者が大声を上げて笑った。メギド王子。

「どうだぁッ、ダイナブラックぅッ!!

 そのギラギラと野望に満ちた瞳が大きく見開かれ、ゴロゴロと転がっているダイナブラック・星川竜を見下ろしていた。

「…メ…ギ…ドぉ…ッ!!

 ブルブルと震える体で、懸命にメギドを睨み付ける竜。その剥き出しになった顔面には頭部から出血したと見られる流血があった。するとメギドは、

「…フン…!」

 と竜の態度を鼻で笑ったかと思うと、

「所詮、貴様達はダイナマンとして纏まっていないと我々には勝てないのだ!」

 と言い、鉄格子で阻まれた竜の元へ行き、

「独りで何が出来る?」

 と言った。

「…おのれ…え…ッ!!

 忍者の末裔で、普段はとても冷静沈着な竜が、この時ばかりは違っていた。竜が身を以て知ったはずの、高圧な電流が流れているはずの鉄格子を思わず両手で掴んでいた。その瞬間、

 ビキビキビキビキッッッッ!!!!

 と言う物凄い音と同時に、

「ぐわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と言う竜の絶叫が辺りにこだました。そして、

「ぐはああああッッッッ!!!!

 と言う声を上げて、竜が背後へ吹き飛んでいた。

「ハーッハッハッハッハ…!!

 メギドが目に涙を浮かべて笑い転げる。

「いいぞぉッ、ダイナブラックぅッ!!無様すぎるぞぉッ!!

「…あ…、…あうう…ッ!!

 竜は体を痙攣させたまま、大の字の横たわり、呻き声を上げる。

 その時だった。

「…ん?」

 竜の様子をニヤニヤと見つめていたタコシンカが何かに気付いた。そして、更にニヤリとすると、

「おい、ダイナブラック!何だ、この膨らみは?」

 と言い、そのゴツゴツとした右足でそれをつんつんと刺激した。その途端、

「…ッ!!

 と、竜が体をビクリと跳ねらせる。

「これは何だと聞いているんだ、ダイナブラック!」

 そう言いながら、再びその膨らみを右足でつんつんと刺激するタコシンカ。そして、同じように、

「…ッ!!…あ…ッ!!

 と体を跳ねらせる竜。

 タコシンカが刺激していたもの。少しだけ茶色く変色した竜の2本の足を覆うスーツの中心部分に息づく、竜の男としての象徴であるペニス。その存在が、ダイナブラックのスーツのその部分を少しだけ持ち上げていたのだ。

「…ほれ…。…ほれほれ…!」

 タコシンカが面白がって右足で竜のペニスを刺激し続ける。そのたびに竜は、

「…あぅッ!!…あッ!!…あッ!!

 と喘がされる。

「…やッ、…止めろおおおお…ッッッッ!!!!

 顔を真っ赤にし、ビクンビクンと体を跳ねらせ、その屈辱に懸命に耐える竜。その時だった。

「だったら、こうしてやる!」

 タコシンカが不意にそう言ったかと思うと、体中に取り付いているタコ足で竜のそこを殴り始めたのだ。

 バシッ!!バシイイイイッッッッ!!!!

 鈍い音が辺りに響き渡り、その都度、

「はぐッ!!

「うおッ!!

 と言う竜の短い悲鳴も聞こえて来る。

「…やッ、…やめ…ッ!!

 竜は体を跳ねらせながら、何とかしてその部分への直接攻撃を避ける。それに気付いたのか、タコシンカはやや苛立ったようにドスドスと足音を響かせながら竜に近付くと、その体を思い切り蹴飛ばした。

「うおおおおッッッッ!!!!

 竜の体が再び吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がる。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!

 竜が大きく呼吸をする。

(…何とかして、…この場を切り抜けなければ…!)

 激痛に意識が跳びそうになる中、懸命に冷静に考えようとする。その時だった。

 ドゴオオオオッッッッ!!!!

 気付くのが遅れた。目を血走らせてニヤニヤとするタコシンカの右足が、竜の股間に振り下ろされていたのだ。

「…あ…!!

 竜の体がビクンと大きく跳ね、V字に折れ曲がる。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 目を大きく見開き、顔は青白くなって行く。と同時に、あの鈍い痛みが竜を襲い、

「…ぁぁぁぁああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と絶叫した。

「…クックック…!!

 タコシンカの右足が、竜のそこを踏み躙るかのようにグリグリと動く。そのたびに、タコシンカの足の下にある竜のそれがグリグリと動き、鈍い痛みを後から後から伝えて来る。

「…もッ、…もう…ッ、…止めてくれええええええええッッッッッッッッ!!!!!!!!

 絶叫する竜のペニスが、少しずつ膨らみを増し始めていた。その時だった。

「おい、タコシンカ!止めよッ!!

 メギドがタコシンカを呼ぶ。

(…ッ!?

 その目がギラギラと輝いていることに、竜は悪い予感を覚えた。

「おいッ、シッポ兵ッ!!ダイナブラックを立ち上がらせるのだ!」

 メギドの意図を理解したタコシンカが、竜の股間に乗せていた足を離す。そして、竜にそこを覆い隠させる隙を与えず、2人のシッポ兵が竜の両腕を掴み、背後から無理矢理立たせた。

「…クックック…!!

 シュンと言う音がして、鉄格子の牢獄の扉を塞いでいた大きな石の扉が開いた。そして、メギドがゆっくりと入って来た。

 

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