慟哭の毒針 第7話

 

「…さん…。…竜さんッ!!

 気が付いた時、目の前、正確に言えば、頭の上にはダイナブルーの優しいイルカの形をしたバイザーがあった。そのバイザーの奥に、竜を心配そうに覗き込む洋介の不安そうな顔があった。

「…あ…」

 ダイナブラックに変身していた竜。そう言えばそうだった。

 お互いの気持ちを確かめ合うかのように体を重ねようとしたその時、洋介が竜の体を求めて来た。そして、ダイナブラックの光沢のある鮮やかな白いスーツのズボンの中で大きく勃起している竜の男としての象徴であるペニスを執拗に責め、竜はその快楽に抗い切れずに白濁の液体を溢れさせていたのだった。

「竜さん、出してしまってからはぁはぁと荒い呼吸をするだけで、一言も何にも言わないんだから…!」

 ダイナブルーのマスクの中で、洋介がぷっと頬を膨らませている。

「…あ、…あぁ…」

 下腹部が冷たい感覚がする。

「…うわっちゃ〜…!」

 竜はおどけたようにそう言うと、ティッシュを取り、体中に飛び散った、その強烈な異臭を放つ液体を拭い始めた。

「いっぱい出たでござるなぁ…!」

 そう言う竜のダイナブラックのマスクが光り、中から顔を赤らめた竜の頭が現れた。

「…あの、…竜…さん…」

「うん?」

 ダイナブルーのマスクの中。洋介の顔が心なしか、不安そうに見える。

「…その…、…気持ち…良かった…、…ですか…?」

 その時、竜は無言のまま、洋介のもとへ歩み寄ると、その体を静かに抱き締めた。そして、

「…ああ。…滅茶苦茶、気持ち良かった…!!

 と、洋介の耳元で囁くように言った。

「恐らく、人のチンポを触り、それを刺激し、絶頂へ導くのは初めてだったでござろうな。でも、拙者のそれを刺激する洋介の口と手には愛情が込められていた。それが本当に気持ち良くて、拙者も人に初めて絶頂へと導かれたでござるよ!」

 そして、竜は洋介と向き合うと、

「ありがとう、洋介!」

 と言った。その瞬間、洋介の目が俄かに潤み、

「…良か…った…!」

 と言うと、ダイナブルーのマスクが光り、中から洋介の泣き笑いの顔が出て来た。

「さぁ、次は洋介の番でござるぞ!!

 竜はそう言いながら、ニヤリと笑った。

「…あ…。…え…?」

 泣き笑っていたのも束の間、洋介は顔を真っ赤にした。そんな洋介の心の中を見透かしたように、

「洋介のチンポも、大きくなっているでござるよ?」

 と竜は言うと、洋介の腰を抱き、未だに勃起している自身のペニスをゴツゴツと洋介のそれにぶつけ始めたのだ。

「…なッ!?…あッ!!…あッ!!ああッ!!ああッ!!

 突然の刺激に洋介は短く喘ぐ。

「かわいいでござるな、洋介!」

 竜はそう言いながら、洋介に体重をかけ、洋介の後ろにあるベッドへ倒れ込んだ。

「…拙者が洋介に、大人の味を教えるでござる…!」

 囁くように竜はそう言うと、竜は自分の唇を洋介の唇に押し当てた。

「…ん…」

 洋介は一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに静かに閉じた。

 …チュッ!!…クチュッ!!…クチュクチュ…!!

 お互いの舌が絡み合う音。

「…ん…、…んん…!」

 洋介は時折、甘い吐息を漏らす。閉じられた目の目尻からは涙が零れ落ちた。

 その時だった。

「んふッ!!

 突然、洋介がビクリと体を跳ねらせた。そしてすぐに、

「…あ…あ…あ…あ…!!

 と、目を見開き、体をブルブルと震わせた。

「…りゅ、…竜…さん…ッ!!

 竜の右手が、洋介の左胸に浮き出た突起をくすぐるように刺激している。そのくすぐったいような、心地良いような刺激に、

「…んふ…ッ!!…う、…ううん…!!

 と洋介が艶かしく喘ぎ、体を捩らせる。

「…なッ、…何…ッ、…これ…ッ!?

「フフッ!!…胸は男でも感じるのでござるよ〜♪」

 そう言うと竜は、洋介のもう片方の胸の突起に顔を近付けた。そして、舌の先端でそれをクリクリと刺激するように舐め始めたのだ。その途端、

「んあッ!?んあッ!?ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 と洋介が体を弓なりにし、声を大きくする。

「…やッ、…やだ…ッ!!…りゅッ、…竜…ッ、さああああんんんんッッッッ!!!!

 チュクチュクチュクチュクッッッッ!!!!チュクチュクチュクチュクッッッッ!!!!

 くすぐったい音が辺りに響き渡る。

 と、その時だった。

「んんああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 洋介が更に声を大きく、体を大きく仰け反らせた。

「…ほぉら、…洋介のチンポ、…こぉんなにビクビクしているでござるよぉ?」

 それまで洋介の左胸の突起を刺激していた竜の右手がいつの間にか洋介の下半身へ下り、ダイナブルーの真っ白なスーツの中でその先端部分をぐっしょりと濡らしていたペニスを握っていたのだ。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 顔を真っ赤にし、目を潤ませている洋介。その呼吸もはぁはぁと荒くなっている。

「言ったでござろう?洋介にも、ちゃんと大人の味を教えるって…!」

 竜の意地悪い顔。そんな顔を今まで見せたことがあっただろうか。それだけで、体中が熱くなり、ゾクゾクとした感覚が洋介の体を駆け巡った。

 …グジュッ!!

 その時、洋介のペニスがドクンと脈打ったかと思うと、その先端から透明な、てらてらと輝く液体が溢れたのが分かった。

「…あ…、…あぁぁ…!!

「…フフッ!!

 竜は静かに笑うと、

「洋介ぇ。こいつをどうして欲しい?」

 と聞いて来たのだ。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 恥ずかしいのもある。そんなこと、人前で言ったことなどない。だが、

「…竜さんに、…食べられたい…!!

 と、口が独りでに言っていた。その言葉に、竜はニヤリとすると、

「…じゃあ、…いただくでござるよ?」

 と言うと頭を屈め、ダイナブルーの白いスーツごと、洋介のペニスをゆっくりと口に含んだ。その瞬間、

「んあッ!?

 と洋介が声を上げ、顔を天井へ向ける。

 …ジュッ!!…ジュブッ!!…ジュボジュボ…ッ!!

 淫猥な音が聞こえ、竜の頭が洋介のペニスをねっとりと舐めるように上下に動く。

「…んく…ッ!!…ふ…ッ、…んん…ッ!!

 目を硬く閉じ、はぁはぁと荒い呼吸をしながら、洋介は懸命にその快感に耐えようとする。だが、そんな洋介をとうに見抜いている竜が、

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

 と、いきなり頭を激しく上下に動かし始めたのだ。これには洋介も抗い切れなかったようで、

「ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 と体を仰け反らせ、喘ぎ続ける。

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

「…りゅッ、…竜…さん…ッ!!

 洋介の下半身にじんじんとした疼きが込み上げて来る。だが竜は、

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

 と、そんな洋介にお構いなしに、洋介のペニスを責め立てる。

 ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!ジュボジュボジュボジュボッッッッ!!!!

「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 そして、洋介が腰をグンと突き上げたその時だった。

 ドブッ!!ドブッ!!ドブドブドブドブッッッッ!!!!ドブブブブブ…ッッッッ!!!!

 と言う鈍い音がして、洋介は竜の口の中に、熱い液体を迸らせたのだった。

 

「…竜…さん…!!

 暗い牢獄の中で、静かに一定のリズムで胸を上下に動かすダイナブラック・星川竜。目は閉じられ、穏やかな笑みを浮かべているようにも見える。破壊し尽くされ、スーツとしての機能を失ったダイナブラックのスーツの合間から飛び出した、竜の男としての象徴であるペニスは大きく勃起し、竜の心拍に合わせるようにビクン、ビクンと脈打っている。

「…どうして…!!

 さっきから洋介の頭の中には、竜との甘い思い出しか出て来ない。あの後も、竜にはいろいろな大人の味を教えてもらった。そして、最後には竜のペニスを受け入れ、洋介は竜と1つにもなった。

 そんな最愛の竜が、今、惨たらしい姿で目の前に横たわっている。

「…どうして…!!

 洋介の目からは涙が溢れ続けている。

「…どうして…ッ!!…こんなことにいいいい…ッッッッ!!!!

 洋介の激しい嗚咽が、暗い牢獄の中に響いていた。

 

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