刹那の夢 第3話
ダイナブラック・星川竜。
伊賀忍者の末裔にして、その忍法を極め、ストイックに体を鍛え続けていた男。そのガッシリとした肉体から放たれるパンチやキック、技や超人的で、どんなに硬いものでもその拳1つで打ち砕くほどの力を持っていた。そして、宇宙人と友達になることを夢見る天文学者でもあると言う、ストイックな反面、ロマンティストでもあった。
当然のことながら、女性とも付き合ったことがなく、そもそも恋と言うものを知らないでいた。
だが、ダイナブルー・島洋介と出逢い、日々募る想いと体の変化に戸惑いもあった。
(…な、…何だ、…これは…!?)
その想いと体の変化が一番大きかったのはダイナロボの中。ダイナロボの腕と胴体部分になるダイナモビルの中で、お互いにダイナマンに変身し、足をくっ付けるようにして座っている。
(…島…)
お互いに体に密着するような、光沢のある鮮やかな黒と青、下半身は白色と言うスーツに身を包んでいる。その体付きがクッキリと浮かび上がり、お互いの腕や体、太腿などの肉付きが見え隠れしている。
(…島…。…こんな華奢な体で、…こんな過酷な運命を背負って…。…俺が…!…俺が、…守ってやりたい…!!)
ダイナモビルを操縦する洋介の横で、竜は洋介を見つめていた。
ドクンッ!!
「はうッ!?」
突然、心臓が大きく高鳴り、竜は素っ頓狂な声を上げ、ダイナブラックの黒いグローブに包まれた手で胸を押さえた。
「どッ、どうしたんですかッ、竜さんッ!?」
突然の声に驚いた洋介が、操縦桿を握る手をびくつかせて声を上げた。ダイナブルーのバイザーの中から、心配そうに竜を覗き込む洋介。
「どこか、気分でも悪いんですか?」
「…あ、…い、…いや…」
自分でも戸惑っていた。洋介のことを考えただけで、こんなに胸が苦しくなるなんて。
(…マズい…ッ!!)
竜は自分の体の変化にも気付いていた。
ガッシリとした2本の足の付け根部分。ダイナブラックの光沢のある鮮やかな白色のズボンに包まれた、竜の男としての象徴であるペニス。それが今、大きく勃起し、ダイナブラックの真っ白なスーツを押し上げていたのだ。それを気付かれまいと腰をぐっと引き、
「…い、…いやぁ、何でもないでござるよ!!…ちょっと、このところ、よく眠れなくて…」
と、ダイナブラックのマスクの中で竜はニッコリと微笑んだ。すると洋介は、
「…ほんとに?」
と聞いて来た。
「…竜さんが元気がないと、…オレ、…心配です。…竜さんには、…いつも笑っていて欲しいから…」
きゅん!
洋介のつぶらな瞳が潤んでいるように見える。
その時、竜は洋介を抱き締めていた。
「わッ!!ちょ、ちょっとッ、竜さんッ!?」
操縦桿を握る洋介の体がビクリと跳ねる。
(…あ…)
衝動的とは言え、何をやっているのか。竜は自分を律すると、
「島ちゃん!もっと肩の力を抜くでござるよ!」
と言い、洋介の背後で立ち上がると、その肩をガシガシと揉んだ。
「ちょ、ちょっと竜さんッ!!今、戦いの真っ最中…」
「だぁいじょうぶでござるよお!島ちゃんがちゃんと操縦すれば!」
「そ、そんなこと言ったってッ!!竜さんがオレの肩を揉んで来るから…!!…ちょ、…ちょっとおッ!!くすぐったいってばッ!!」
ぎゃあぎゃあと喚く2人を、他のメンバーはどう見ていたのだろう。背が高く、体がガッシリとしている竜と、小柄な洋介。まるで背後から洋介を抱き締めるようにする竜。
(…島を、…洋介を…、…守りたい…!!)
洋介の肩を揉みながら、竜は下半身に息づく、竜の男としての象徴であるペニスが大きく勃起し、ベルトを窮屈そうに押し上げているのを感じていた。
「…さん…。…竜さんッ!!」
はっと我に返った時、目の前には顔を引き攣らせて自身を見つめている南郷がいた。
「…あ…」
「ちょっとッ、竜さんッ!!涎垂れてるッ!!」
「…あ…」
口元が何だか冷たいと思っていた。
「…おっと!」
竜は急いで口元を拭う。
「…それにぃ…」
心なしか、南郷の顔が赤らんでいるようにも見える。
「今度は何でござるか?」
「…あ、…あの…、…竜さん…」
何かおぞましいものを見るかのように目を逸らし目にすると、南郷は目をギュッと閉じ、
「りゅッ、竜さんのアソコッ、勃ってるッ!!」
と言ったのだ。
「へッ!?」
竜も顔を真っ赤にし、思わずそこを見やると、
「ううッ、うわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と悲鳴を上げた。竜のガッシリとした2本の足の付け根部分。真っ黒なズボンの中に静かに収まっていたはずの、竜の男のしての象徴・ペニス。それが今、真っ直ぐに勃起し、ベルトを窮屈そうに押し上げていたのだ。竜はそれに気付くと、急いで位置補正をした。
「…は、…はは…」
引き攣り笑いをする竜。
「…はぁぁ…」
やれやれと言う表情で大きく溜め息を吐き、
「こいつぁ、重症だねぇ…」
と言う南郷。
「…うう…ッ!!」
何も言えずに、俯き加減になる竜。
「…まぁ、誰を好きになってもいいけど…」
南郷は頭をガシガシと掻くと、
「竜さん。そのギンギンになったそれを自分で慰めたことはあるだろう?」
と聞いてみた。すると竜は、
「そ、そのくらいはあるでござるよッ!!い、いくら恋をしたことがないとは言え、拙者も男!そのくらいの知識はあるでござるよッ!!」
と、俄かに立ち上がるとムキになって言った。
「…い、…いや、そこまでムキになることはないんだけどさ…」
取り敢えず、そう言う知識があると言うことが分かって南郷はほっとすると、
「…でもさぁ、竜さん。…もし、…もしもだよ?…島に想いを告白して、…もし、…もしもだよ?…島がOKを出したとするよね?…そ、…そしたらさ…!」
と言いながら、顔が真っ赤になって行く。
「…そ、…そしたらさ、…と、…当然、…か、…体を重ねる、…なんてこともあるよね?…りゅ、…竜さんは年上なんだし、…島をリード出来るのかい?」
ストレートに聞いた。すると竜ははっとしたような表情を浮かべ、
「…しまった…。…それを、…すっかり考えていなかったでござる…」
と言ったのだ。
「考えてなかったのかいッ!?」
南郷まで慌てる。すると竜は、
「なあッ、南郷ッ!!頼むッ!!拙者にッ、いろいろ教えて下さらぬかッ!?」
と、俄かに南郷の目の前で正座するようにすると、南郷の両腕を掴み、すがるようにして来たのだ。
「…え、…ええええええええッッッッッッッッ!!!!!!??」
目が大きく見開かれ、南郷は大声で叫んでいた。