逆襲のゴルリン 第7話
「…あ…あ…あ…あ…!!」
さっきまで物凄い勢いで暴れていたファイブブルー・星川健の体。それが今、金縛りに遭ったかのように、指一本、ピクリとさえ、動かすことが出来なくなっていた。
「…もう一度聞く…」
メサイアはニヤニヤと笑い続けている。
「お前のここ、何て言うんだ?」
「…あぁ…。…あぁぁ…」
優しく撫で上げられ続け、頭がぼんやりとして来る。
「…チ…、…チ…」
健の口が動く。
「…オレ…の…、…チ…ンポ…」
口がまるで意思を持ったかのように、独りでに動いたような感覚さえ覚えた。
「…オレの、…チンポ…」
うわ言のように、健はその言葉を繰り返していた。
「…オレの、…チンポ…。…オレの、…チ…ンポ…!」
ファイブブルーのマスクの中。健の顔は真っ赤になり、目は虚ろになっている。その口は健の意思とは逆に、独り言のように卑猥な言葉を吐き続けていた。
「…ククク…!!…無様だな…!!」
そんな健を目の前にして、メサイアはニタニタと不気味な笑みを浮かべ続けていた。手にはあの毒々しいほどに真っ赤に脈動を繰り返している注射器が。
「…まだだ…」
ゆっくりと健に近付くメサイア。
「…まだ、足りない…!…この宇宙を、…この世界を救済するためには…!!」
そして、目をカッと見開き、手にしている真っ赤な注射器を物凄い勢いで健の体へ再び突き刺したのだ。
ドシュッ!!
鈍い音が聞こえたその瞬間、
「ぐああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と健が悲鳴を上げた。ぼんやりとしていた意識が一気に引き戻されたような、そんな感覚。
「…あ…、…が…!!…うう…ッ!!…ぐ…ああああ…ッッッッ!!!!」
弓なりになっている健の体。ファイブブルーの光沢のある鮮やかな青色のスーツが、その体のラインに沿ってキラキラと輝いている。その脇腹部分に再び突き刺さる真っ赤な注射器がドクン、ドクンと再び前屈運動を始めた。その途端、
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う衝撃音を放ち、
「ぐぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と健の悲鳴も響き渡ったのだ。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
体を捻らせ、何とかしてその注射器を振り解こうとする。だが、それは健の体の中でその針先を広げたのか、まるで食い込んだような痛みが健の体を襲った。
「…ククク…!!」
メサイアはニヤニヤと笑い続けている。
「無駄だよ、ファイブブルー。そのアブソーブタンクはお前の体からは容易に離れない…!!」
その目がギラリと光る。
「お前のエネルギーを全て搾り取るまでは、な…!」
その時だった。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
健の体に突き刺さり、前屈運動を繰り返す注射器・アブソーブタンクが再び衝撃音を放った。同時に、健の体からは力が抜けるような感覚を覚えた。
「…ぐ…、…うう…ッ!!…うううう…ッッッッ!!!!」
だが人間、同じことをいつまでもされれば、その感覚が鈍り、慣れて来てしまうと言うもの。力を吸い取られているはずなのだが、健にはどこか余裕が出て来た。
「…おや?」
メサイアが不思議そうな表情を浮かべた。
それもそのはず。
四肢を拘束され、身動きは取れないものの、健の体は真っ直ぐに立ち、ファイブブルーの中の健の表情には笑みまで浮かんでいたのだ。
「…フフ…ッ!!」
健が鼻で笑う。そして、
「おい、救世主さんよ。…この攻撃に、慣れちゃったようなんだけどなぁ…!」
と言ったのだ。
だが瞬時にして、その余裕は絶望へと突き落とされることを悟ることになる。
「…そうか…」
今度はメサイアが鼻で笑う番だった。そして、
「まだまだ大量のエネルギーを体内に残している、と言うわけだな?」
と言ったかと思うと、健の肩幅よりやや広めに広げられている両足の付け根部分に息づく、健の男しての象徴であるペニスとその下に息づく2つの球体を右手で優しく包み込んだのだ。その途端、
「んあッ!?」
と、健は顔を上げ、ビクンと体を跳ねらせた。と、次の瞬間、
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う音と共に、健の脇腹に突き刺さっている注射器が更に毒々しい赤色の光を放ち始めたのだ。そして、
「ぐぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、健が悲鳴を上げた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
脇腹から何かが抜けて行くような感覚が再び大きくなる。
「…な、…何故…だ…ッ!?」
信じられない感覚に思わずメサイアを見つめる。すると、メサイアは健の股間を包み込んでいた右手をそっと離した。
…ゥゥゥゥゥゥゥゥンンンンンンンン…ッッッッッッッッ!!!!!!!!
時を同じくするように、その時、注射器が再びおとなしくなった。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
何故だか息が荒い。
「…お…ま…え…、…何を…した…?」
尋ねずにはいられなかった。するとメサイアは、
「何をしたもなにも」
と言うと、
「お前のここを優しく触っただけだが?」
と言い、今度はさっきより強めに握ったのだ。その途端、
「はああああッッッッ!!!!」
と喘ぎ、健の体が再び跳ね上がる。と同時に、
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う音が再び聞こえ、健の体の中からスゥッと何かが再び抜けて行く感覚を覚えた。
「ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
メサイアの右手がクニュクニュと健のそこを優しく刺激する。そして、赤い注射器がドクンドクンと前屈運動をする。そして、健の体からは何かが抜けて行く感覚がする。
「…ま…さ…か…!?」
信じられないと言う表情でメサイアを見下ろす健。その目がギラリと光っているのを見た時、健は瞬時に最悪な事態がもたらされたことを知った。
「…ククク…!!」
メサイアが不気味な笑みを浮かべる。
「…や…め…ろ…!!」
「ようやく分かったか?」
そう言うとメサイアは健の股間を包み込んでいた手をゆっくりとその奥へと潜ませ始めたのだ。
「んんんんッッッッ!!!!」
ゾワゾワとする感覚に、思わず爪先立ちをする健。と同時に、
バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言うあのおぞましい音が聞こえ、体がガクンとなる。
「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ゾワゾワと言う感覚と、それがした時に襲って来る強烈な感覚。
「…そうだ…!」
既に勝ちを確信しているメサイアの声が響く。
「…お前のエネルギーは体力だけではない。…精力のエネルギーだけではなく、お前の動物としての本能である性の中にもエネルギーは存在する。そのエネルギーが体を刺激する時、お前の精力はそのエネルギーと同時にこの中へ吸い取られるのだッ!!」