最強獣戦士誕生! 第2話

 

 閑静な住宅街に、バイクのエンジン音が響き渡る。

「ん〜ッ!!気持ちいいッ!!最っ高の気分だぜぇッ!!

 子供のように歓声を上げながら、1人の若者がバイクを飛ばしていた。白いヘルメット、緑を基調とし、赤や黒のラインが入った、普段着にしてはわりと派手な服、黒の皮のパンツ、緑色のブーツ。

「地球に帰って来て、本当に良かったな…!!

 グリーンフラッシュ・ダイ。20年前、何者かによって宇宙の果てにさらわれ、今は改造実験帝国・メスの魔の手からこの地球を守るため、そして、まだ見ぬ両親に会うために地球に帰って来た。

「植物の緑も、すがすがしい青空も、なんて美しいんだろう。オレが育ったグリーンスターとは大違いだ…!!

 軽快にバイクのエンジンを唸らせるダイ。そのエンジン音さえ、心地よく聞こえていた。

 その時だった。

「ダイさぁぁんッ!!

 バイクを走らせるダイの横から、自分を呼ぶ声が聞こえた。

「…望ッ!!

 ダイはバイクを止め、ヘルメットを取った。遠くから走って来る、学生服姿の男の子。その少年を認めると、ダイは満面の笑みを浮かべ、大きく手を振った。

「久しぶりだねッ、ダイさんッ!!

 望がダイに飛び付き、ダイの背中へ腕を絡ませた。

「元気そうだな!」

 ダイが、ニコニコと見上げる望の頭をクシャクシャと撫でた。

「望はどこかへ出かけていたのかい?」

 ダイが尋ねると、望はコクンと頷いて、

「塾の帰りだよ。ダイさんは?」

 と逆に聞き返して来た。

「オレ?いつものようにパトロールさ」

 ダイがグリーンフラッシュであり、地球をメスの侵略から守っていることは周知の事実だ。望の前でプリズムフラッシュをしたのだから。

「ねぇ、ダイさん。ちょっと相談事があるんだけど…」

 不意に望が声量を落とした。

「…?どうした、望?」

 さっきの明るい表情とは打って変わって、真面目な表情を見せた望に、ダイは思わず声をかけた。すると望は、

「…ここでは話せないんだ。ねぇ、僕んちに来てよ、いいでしょ?」

 とダイの腕を引っ張った。

「わッ!!…ちょ、ちょっと、望ッ!?

 自分の腕をグイグイと引っ張る望に戸惑いを覚えながら、ダイはバイクを押しながら望の引っ張られるがままになっていた。

 

「…ほえ〜…!!

 望が足を止めたところにあった家を見た瞬間、ダイは思わず圧倒され、息を呑んだ。

「…すっげぇ…!!

 古風な洋館。その周りをたくさんの木々が覆っている。よく手入れされた花壇にはたくさんの植物が咲き乱れていた。

「…どうしたの、ダイさん?」

 家の中に入ろうとしていた望が、ぽかんと口を開けて佇んでいるダイのもとへ駆け寄って来た。

「…望ぅ…」

 ダイがゆっくりと望を見下ろす。きょとんとしている望。

「…望の家って、お金持ちなのか?」

「違うよぉ!」

 望はニッコリすると、

「お父さんが知り合いの人からこの家を譲り受けたんだ」

 と言った。

「僕のお父さん、天文学者でさ。この家の古風なところに惹かれたんだって!」

「…天文…学者…」

 ダイが空を見上げる。

「オレの育ったグリーンスターや、フラッシュ星も見えるのかな…?」

 ダイの脳裏に、懐かしい日々が甦る。

「じゃなくてッ!!

 望がダイの腕を引っ張った。

「…あ。…ゴメンゴメン!」

 現実に引き戻され、ダイは笑顔になる。

「じゃあ、僕の部屋に行こッ!!

 ダイは望に再び引っ張られ、家の中へと消えて行った。その時、空間が歪んだのを、ダイは気付かないでいた。

 

「はい、どうぞ」

 望の部屋に入ると、望がお茶の入った湯飲みを持って来た。そして、それをダイへ差し出した。

「ありがとう、望」

 ダイは湯飲みを持ち、ゆっくりと飲み始めた。

「…はぁ…。…うめぇ…ッ!!

 思わず声を上げるダイ。望はそれをニコニコと見ている。

「…で?…相談事って、一体何なんだい?」

 ひとしきりお茶を飲み終えると、ダイは望に尋ねた。

「オレで分かることだったら、何でも相談に乗ってやるよ!」

「…あのね…」

 急にもじもじし始める望。

「…どうしたんだよぉ、望ぅ」

 ダイは望の傍へ歩み寄ると、望の肩を抱いた。

「…ダイさん。…僕のお願いを聞いてくれる?」

 少し潤んだ瞳で言う望。その顔にダイは思わずドキッとする。

「…望…?」

「…あのね…」

 なかなか言い出さない望。

「何だよ、望ッ!はっきり言ってみろよッ!!

 ダイは望の両肩を掴んで、目線を合わせるようにじっと望を見つめた。すると望は意を決したのか、

「…ダイさん。…絶対に、僕のお願いを聞いてくれる?」

 と言った。

「当たり前だろッ!?オレと望の仲だろッ!?

 ニッコリとして大きく頷くダイ。

「…ダイさんの、…ここを、…触らせて欲しいんだ…!」

 望の顔が真っ赤になったと思った瞬間、望がダイの体のある部分をキュッと握ったのである。

「…え?」

 望の指の動きを見た瞬間、ダイが絶句した。

「ええええッッッッ!?

 次の瞬間、ダイが大声を上げて叫んだ。

 望が握っていたのは、ダイの2本の足の付け根、そこに静かに息づく、ふくよかな膨らみ。ダイの男子としての象徴であるペニスだったのである。

 

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