最強獣戦士誕生! 第21話
「…オレが、グリーンフラッシュとブルーフラッシュをヤッたのさ!」
目の前に立っているもう1人のレッドフラッシュの口から飛び出した言葉が理解出来なかったのか、何も返すことが出来ないでいるレッドフラッシュ・ジン。
「おやおや、きちんと説明した方がいいかな?」
そう言うと、もう1人のレッドフラッシュの体が光り、目の前にはおぞましい姿の獣戦士がいた。
「オレは大博士リー・ケフレン様に作って頂いた獣戦士ザ・モシャス。オレはオレが見たもの全てを模写することが出来る。そして、それが人間ならば、そのものの性格や行動パターンも全てな。だから、このように…」
次の瞬間、ザ・モシャスの体が光り、目の前にはグリーンフラッシュがいた。
「…グ、…グリーンフラッシュ…!?」
ジンは、そう呟くのが精一杯だった。
「こいつには、こいつの友人と言う少年に化けて近付いた。そして、強い人間の、友達であるこいつのオスの部分を触らせて欲しいと頼んだ。お前ら、人間の言葉では『オチンチン』とか『アソコ』とか言うんだそうだな?」
そう言うと、グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスがクックと笑った。
「そして、様々な方法でこいつの『オチンチン』を愛撫した。どうやら、こいつは今まで、他人に『オチンチン』を触ってもらったことはなかったらしい。そこでオレが、こいつの友人の少年に化けて触ってやったら、滅茶苦茶よがり狂っていたさ。そして、こいつの『オチンチン』の先から、大量の遺伝子を吐き出したのさ」
「…止めろ…!」
呆然としているジンがブルブルと震えながら、搾り出すように言う。
「そして、オレはこいつの『オチンチン』から何度も遺伝子を搾り出した。そして、それを頂いたってわけだ。…そして…」
そう言うと、グリーンフラッシュの体が光り、今度は目の前にブルーフラッシュが現れた。
「…ブ、…ブルーフラッシュ…!?」
ジンが目を見開いて言う。
「次の獲物はこいつだった」
すると、ザ・モシャスは何かを思い出したかのように、堪え切れなくなったように笑い始めた。
「こいつは傑作だったぞ!どうやら、経験がなかったらしい。お前らの言葉で言う『童貞』だったらしい」
「…止めろ…!!」
ジンは再びブルブルと震え始める。
「オレがグリーンフラッシュになって、こいつに近付いた。そして、『好きだ』と甘い言葉を囁き、ちょっと愛撫してやっただけで、こいつ、コロッと堕ちたぞ!」
そう言いながら、ブルーフラッシュの姿のザ・モシャスは自身の股間を静かに揉む。
「!?」
その時、ジンははっきりと見た。ブルーフラッシュの、鮮やかな青色のスーツの股間がみるみるうちに勃起して行き、その形をくっきりと現し、窮屈そうにベルトを押し上げ始めたのを。
「そして、グリーンフラッシュ、ブルーフラッシュの遺伝子を吸い取り、知能も身に付けたオレは、やつらの記憶の遺伝子で、お前の姿を借りたってわけだ。それにしても…」
するとザ・モシャスはジンの元へ歩み寄った。
「お前らは、無敵の戦士と言えども、所詮はただのオスだったってわけだ!」
「止めろおおおっっっ!!!!」
次の瞬間、レッドフラッシュにプリズムフラッシュしているジンが物凄い勢いで立ち上がったかと思うと、プリズム聖剣を振り翳し、ブルーフラッシュの姿のザ・モシャスへ向かって来たのである。
「何ッ!?」
これにはさすがに慌てた。だが、ブルーフラッシュにプリズムフラッシュしていたのが幸いし、忍者の如くの勢いで飛び上がり、レッドフラッシュのプリズム聖剣をかわしていた。
「貴様ぁッ!!許さんッ!!」
ジンがプリズム聖剣を構え直す。
「…面白い…!」
そう言うとザ・モシャスは、今度はグリーンフラッシュに姿を変えた。
「同じレッドフラッシュでは、お互いに次の行動パターンが読めてしまうのでな。面白くない」
「どんな姿になろうとも、お前だけは絶対に許さん!」
そう言うと、ジンは再びプリズム聖剣を構え、
「行くぞぉッ!!」
と叫び、グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスに突進して来た。
「…ククク…!!」
だが、グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスは低い笑い声を上げるだけでじっと突っ立ったままだ。
「でやあああッッッ!!!!」
ジンがプリズム聖剣を振り下ろす。
「…プリズムカイザー…」
グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスが静かに呟いた。と同時に、彼の両手が光り、鋼鉄のように固い両手へと変化していたのである。
キーン!
ジンのプリズム聖剣を、左手首で受け止めるザ・モシャス。
「…食らえ…!」
次の瞬間、
ドゴォッ!!
と言う鈍い音が辺りに響いた。
「…あ…、…が…!!」
ジンの体が、腹部から極端なくの字に折れ曲がっている。いくらレッドフラッシュにプリズムフラッシュしているとは言え、グリーンフラッシュのプリズムカイザーをまともに受け止めていては相当なダメージを食らう。これが生身の体だったら、腹部から真っ二つに千切れていた、ジンはそう思っていた。
「おっと。力の制御が出来なかったな!」
ザ・モシャスがそう言った瞬間、ジンは思い切り吹き飛んでいた。
「うわああああッッッッ!!!!」
物凄い勢いで右方向へ吹き飛ばされるジン。
ミシッ!
その時、ジンは自身の左頬で嫌な音を聞いた。
「…何…ッ!?」
自身のマスクに触れた瞬間、ジンは顔を真っ青にした。
グリーンフラッシュのプリズムカイザーでのパンチを左頬に受け、右方向へ大きく吹き飛ばされたジン。と同時に、マスクがひび割れ、不気味な音を立てたのだった。
「…何、…だと…!?」
「おやおや、オレの力はそんなに強すぎたか?」
グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスがゆっくりとジンに向かって歩いて来る。
「だが、これで終わったわけじゃない!」
次の瞬間、ザ・モシャスの姿が見えなくなった。
「!?」
と思ったのも束の間、ジンの目の前に現れたのである。
「行くぞッ、ジンッ!!いや、レッドフラッシュッ!!」
ザ・モシャスが言うが早いか、プリズムカイザーでレッドフラッシュの顔面を何度も殴り始めたのである。
「うぐッ!!ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!」
ドガドガと鈍い感覚がジンに伝わって来る。手の動きが見えない。そのくらい、腕の動きが素早かったのである。
「ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!ああああああッッッッッッ!!!!!!」
とうとう、その勢いに耐えられなくなり、ジンの体がふわりと宙に浮いた。
「とどめッ!!」
グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスの腕が輝きを増した。
「ローリングナックルゥゥッッ!!!!」
次の瞬間、プリズムカイザーの動きが更に速度を増し、物凄い勢いで殴り始めたのである。
「ぐわあああああッッッッッ!!!!」
宙に浮き、無防備なジンの体に、グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスのカイザーナックルが襲い掛かる。
「はああああッッッッ!!!!」
ザ・モシャスはとどめと言わんばかりに、強烈なキックをジンの横腹へ叩き込んだ。
「うわあああああッッッッッ!!!!」
ジンが地面に叩き付けられ、何度となく体をバウンドさせる。
パキィィィンンンッッッ!!!!
何度目か地面に叩き付けられた時、ジンのレッドフラッシュのマスクが鋭い音を立て、ジンの頭部から外れてザ・モシャスの足元へ転がって来た。
「…ぐ…、…うぅ…ッ!!」
体はレッドフラッシュにプリズムフラッシュした状態だが、マスクが外れ、精悍な顔付きがむき出しになっている。顔はやや腫れ上がり、唇の端は切れ、血が滲んでいた。
「…フフフ…!」
グリーンフラッシュの姿のザ・モシャスがゆっくりとレッドフラッシュ・ジンに歩み寄る。
「これで終わったわけじゃない」
そう呟くと、ザ・モシャスはレッドフラッシュのマスクに足を乗せた。
「…ここからが地獄だ…」
バキィィィンンンッッッ!!!!
鈍い音を立てて、レッドフラッシュのマスクが粉々に砕け散った。