最強獣戦士誕生! 第22話
「…う…、…クッ…!!」
グリーンフラッシュとブルーフラッシュだけではなく、自身の能力も模写され、大ダメージを受けたレッドフラッシュ・ジン。そのマスクはその衝撃によって砕け散り、光沢のある赤いスーツから飛び出した顔面は腫れ上がり、口元には血が滲んでいた。
「…さぁて、次はどいつの能力を使うかな?」
グリーンフラッシュに変身している獣戦士ザ・モシャスが勝ち誇ったように歩いて来る。
「…クッ…!!」
咄嗟に起き上がろうとするものの、立ち上がることも出来ず、尻で後ずさるジン。
「…次は、こいつだ…」
ザ・モシャスはそう言った瞬間、体が光り、ブルーフラッシュに模写していた。
「行くぞぉッ、ジンッ!!」
次の瞬間、ザ・モシャスは物凄い勢いでジンに向かって突進して来た。
「くっそおおおおッッッッ!!!!」
ブルーフラッシュの姿になっているザ・モシャス。そのスピードはまさにブルーフラッシュと同じか、それ以上のものだった。
「はああああッッッッ!!!!」
ザ・モシャスがプリズムシューターを振り下ろす。
「…ッ!!」
ジンは、それを避け、ゴロゴロと地面を転がる。
「逃すかッ!!」
ザ・モシャスが、ゴロゴロと地面を転がるジンを追いかけるように何度も何度もプリズムシューターを振り下ろす。
「クウウウッッッ!!」
冷たく光る剣先を必死にかわすジン。
「小癪なッ!!」
ザ・モシャスが再度、プリズムシューターを振り上げた。その瞬間、ジンは、ザ・モシャスがフッと笑い声を上げたように思えた。と同時に、ジンの体を激しい電撃が襲った。
バリバリバリバリ…ッ!!
「ぐわあああああッッッッッ!!!!」
激しい激痛がジンを襲う。
「…ぐ、…うぅ…あ…あ…!!」
体中が激痛と痺れに苛まれている。
「…クククク…!!」
目の前がぼんやりと霞む。
「チョロチョロとしつこいヤツにはお仕置きが必要だよな?」
ブルーフラッシュ姿のザ・モシャスがジンを見下ろしていた。
あの瞬間。
プリズムシューターが振り下ろされると思った瞬間、ザ・モシャスの体が青い球体に包まれた。
「プリズムボール・ハリケーンボルトッ!!」
やられるッ、そう思った瞬間、ジンの体を強烈な電撃が包んでいたのだった。
パリパリと電撃の弾ける音、そして、焦げたような臭い。
「なめてもらっちゃ困るな。オレはもう、お前よりもパワーもIQも遥かに上なんだから!」
そう言うとザ・モシャスは、うつ伏せに倒れ込んでいるジンの横腹を蹴った。
「…う…ッ…!!」
抵抗する力も出せず、されるがままに仰向けにされるジン。ばたりと大の字にひっくり返る。
「…そろそろ諦めたらどうだ、レッドフラッシュ?」
ブルーフラッシュ姿のザ・モシャスが見下ろしている。
「…はぁ…、…はぁ…!!」
ジンはただ、大きく息をしているだけで何も言わない。
「…もう、お前には為す術はない。お前の能力も、仲間の能力も、全てオレが奪い取っているのだからな!」
「…ない…」
ジンの口が動いた。聞き取れなかったのか、ザ・モシャスがじっとジンを見つめている。
「…オレは、…絶対に、…諦めない…ッ!!」
「…ほう…」
ザ・モシャスが低く呟いた。
「…こんなことをされてもか…?」
するとザ・モシャスの、ブルーフラッシュの右足が動いた。そして次の瞬間、それはある一ヶ所に向かって振り下ろされた。
ドゴォォォォッッッッ!!!!
鈍い音と同時に、
「…あ…、…が…!!」
と言うジンの呻き声。目はカッと見開かれ、口元からは涎が零れた。次の瞬間、
「うがあああああッッッッッ!!!!」
と言うジンの絶叫が辺り一帯に響き渡った。
「おっと!お前の大切なところを踏み潰しちまったか?」
ブルーフラッシュ姿のザ・モシャスがニヤニヤとしながら言う。光沢のある青いスーツの右足が、ジンの股間へ振り下ろされていたのだ。
「があああッッッ!!ああああッッッッ!!!!」
ジンが顔を真っ赤にして叫びながら、それでもザ・モシャスの足を退けようと両手で掴む。
「ほぉら。これでも抵抗するか?」
そう言うと、ザ・モシャスはその右足を、まるで地面に落ちたタバコをもみ消すかのようにグリグリと動かし始めた。
「ぐぅわあああああッッッッッ!!!!」
ジンが絶叫する。
「ククク…ッ!!」
何か玩具を弄るかのように、楽しそうに足を動かすザ・モシャス。
「…あ…あ…あ…あ…ッ!!」
ジンの意識が次第に朦朧とし始める。その時、ザ・モシャスが右足を離した。
「…別の意味で、刺激が強すぎたか?」
ザ・モシャスが足をジンの股間から離したが、ジンの股間は変化することなく、光沢のあるレッドフラッシュのスーツの中で静かに横たわっていた。
「まぁ、いい。もう1つの意味での刺激は、お前の仲間にしてもらうこととしよう」
そう言うと、ザ・モシャスは右足を振り上げ、再びジンの股間に向かって踵から振り下ろした。
ドゴォォォォッッッッ!!!!
再び鈍い音がした。
「…ぐ…ッ…!!」
ザ・モシャスの右足がジンの股間に振り下ろされた瞬間、ジンは一言だけ呻き、体をVの字に折り曲げた。
「…う…!!」
ジンはゆっくりと地面に大の字になると、それきり動かなくなった。
「…」
ザ・モシャスは無言のまま、ジンの体を抱きかかえるとゆっくりと歩き出した。