悪夢のループU 第12話
「ぐわああああああッッッッッッ!!!!!!」
ガオブルーにガオアクセスしている鮫津海。四つん這いになっている海の顔は今、ピンク色に染まっていた。叫び声を上げ、羞恥に顔を歪ませている本来の赤色と、顔にたっぷりと降り注いだ淫猥な液体の白色が入り混じっている。
「…フフフ…!!」
そんな海の背後には、ガオレッドにガオアクセスしている獅子走が野獣のようにギラギラと瞳を輝かせ、不気味な笑みを浮かべていた。海の顔にべっとりと付いていた白濁の淫猥な液体は走が放ったものだった。
走の右手は四つん這いになっている海の股間へ伸び、ビリビリに引き裂かれたガオスーツからだらんと垂れ下がる海の2つの睾丸を思い切り握り締めていたのである。
「あああッッッ!!!!あああッッッ!!!!ああああああッッッッッッ!!!!!!!!」
ガオスーツに強化された力で生身の部分、しかも男にとって一番の弱点とも言える急所を握られるのは相当なものだろう。海はボロボロと涙を零し、ピンク色だった顔色が徐々に真っ青へと変わり始めた。
「…やッ、止めろオオオオッッッッ!!!!」
そんな海の目の前で、海と同じように四つん這いになった別の男がいた。ガオブラックにガオアクセスしている牛込草太郎だ。
「たッ、頼むからッ!!海に酷いことをしないでくれッ!!」
草太郎はそう言うと、自身の横に立っていた男の足にすがり、懇願するように声を上げた。
「…じゃあさぁ…!!」
草太郎の横に立っていた男がゆっくりとしゃがみ込んだ。ガオイエローにガオアクセスしている鷲尾岳。岳は草太郎の肩に手をかけ、
「素直に告白したら、大事な海君を解放してあげるぜ?」
と言い、チラリと走を見やった。
「…っぐ…ッ!?」
すると走の、海の睾丸を握り締める手の力が緩んだ。そして、ほぼ同時に海が呻き声を上げ、ゆっくりと地面に伏した。
「…自分は…」
草太郎がポツリと言う。
「…自分は、…海と、…付き合っている…!」
「いつから?」
「…出逢って、…間もなくしてからだ…」
草太郎がガオレンジャーに選ばれた時、海はガオレンジャーに選ばれて4ヶ月だった。元力士で階級には人一倍気を遣っていた草太郎。当然、年下ではあるが自分よりもガオレンジャーとしては先輩である海のことは、ちゃんと「先輩」として接していた。だが、自分よりも年下で、がむしゃらに突っ走って行く海のことを頼もしく思う反面、危なっかしいとも思うようにもなった。そんな時、草太郎は海を守りたいと思うようになる。凸凹コンビではあるが、それ以上の思いが草太郎を支配するようになった。
そして、ある晩、草太郎はとうとう思いを抑え切れなくなり、無理矢理海を犯した。元力士と元アルバイトの青年では力の差は歴然だった。だが、そんな快楽に溺れたのか、海が自ら草太郎を求めるようになり、走や岳、それにガオホワイトの大河冴のいないところで2人だけの時間を重ねていた。
「…へぇぇ、知らなかったぁ!!つか、意外だなぁ…!!」
地面に崩れ付している海の後ろで、走がニヤニヤと笑っている。
「草太郎が海を無理矢理、…ねぇ…!!」
「何だよ、走ぅ?お前のここ、ビンビンじゃねぇか!!」
岳が自身のペニスを指さし、ニヤニヤと笑う。すると走は、
「岳だってそうじゃねぇか!!」
と言い、自身の大きく勃起したペニスを何度か上下した。
「だぁってよぉ、人は見かけによらねぇっつーか、人のエロ話を聞かされりゃ、そうなるだろうよ?」
岳は、海と草太郎を嘲笑するかのように、鼻で笑ってみせた。
「…じゃあ、次の質問だ」
草太郎に更に追い討ちをかけるかのように、岳が切り出した。
「もう十分だろッ!?」
悲痛な表情を浮かべ、草太郎が岳に掴み掛かろうとする。そんな草太郎を見下すかのように、岳は侮蔑の眼差しで草太郎を見つめると、
「お前の大切なヤツが、どうなってもいいってのか?」
と言い、海を指差した。
「…」
海は何も言う気力もないのか、倒れ伏した地面を見つめたまま、涙を零していた。
「…うう…ッ!!」
草太郎の拳がギリギリと音を立てる。その顔は真っ赤になり、怒りにこめかみの血管が浮き出ていた。そんな草太郎にお構いなしに、
「この質問に答えれば、お前も海も開放してやるんだがな…」
と言った。
「…本当…か…?」
草太郎が岳に問い掛ける。
「…ああ」
草太郎の心の中はお見通しだった。常にお人好しの草太郎。そんなお人好しな性格を、岳は巧みに利用しようとしていたのだ。
「…質問は、…何だ…?」
すると岳はぽりぽりと頭を掻き、
「質問っつーか、やって欲しいことがあるんだけどな…」
と言った。
「…やって欲しいこと?」
草太郎の頭の中を、嫌な予感が過ぎった。
「ああ、そうだよ?」
その時、草太郎は岳の表情が豹変したのを見逃さなかった。野獣のようにギラギラと光る瞳。その口元には意地悪い笑みが浮かんでいる。
「…ここで、…お前と海の絡みを見せてくれよ…!!」
予感的中。
「貴様ぁぁぁッッッ!!」
我を忘れ、草太郎は思わず岳の胸倉を掴んだ。その時だった。
「ぐわああああああッッッッッッ!!!!!!」
突然、海の絶叫が草太郎の耳を劈いた。
「かッ、海ッ!?」
海の背後にいた走が、再び、海の睾丸を強く握り締めていたのだ。草太郎の注意力が逸れる。その瞬間、岳が右腕を振り上げ、草太郎の顔面を殴り付けていた。
「ぐはあッ!!」
その力に草太郎が吹き飛び、海の横へ転がった。岳はツカツカと草太郎のもとへ歩み寄ると、草太郎の髪を引っ張り、頭を持ち上げた。
「…愛しの海君を助けたいんだろ?」
囁くように言う岳。だが、その目は怒りに満ちていた。
「…うう…ッ!!」
草太郎が呻く。そして目をギュッと閉じると、体中から力を抜いた。
「フッ!!」
すると岳は、乱暴に草太郎を放し、笑い声を上げた。そして、
「さあッ、海ッ!!草太郎ッ!!」
と2人を呼んだ。
「…」
海は絶望に打ちひしがれるかのように、無言のまま、床を見つめ続けている。
「…」
草太郎は泣きそうな顔で、海を見ている。
「さっさと2人で始めろよ!!」
岳の冷徹な声が、小さな部屋に響いた。