性獣の生贄 第1話

 

(…どう…して…?)

 突き抜けるような真っ青な空。心地良い風。それとは裏腹に、背中に当たる冷たい大地、空虚な心。

「…あ…あ…あ…!」

 ピクピクと体が痙攣する。

 冷たく荒涼とした大地に、1人の大柄な男が倒れていた。筋肉質な、ゴツゴツとした体は光沢のある鮮やかな青色と白色の生地のスーツに覆われている。その真っ白な腹部とグローブ、ブーツの先端部分にはWの文字を模るように黒い波型のデザインがあしらわれている。

 吹き飛ばされたのか、遠くには同じ色のマスクが転がっていた。ゴリラのような顔があり、その下には真っ直ぐ真横に伸びる黒いバイザー部分が窺えた。

「…あ…あ…、…あぁ…ッ!!

 その大柄な男が顔を上げる。短めの髪、その額には青いバンドが巻かれ、彫りの深い顔の至る所に血が滲んでいた。

「…随分、溜まったな…!」

 その男が見上げたところには、小学生くらいと思える少年が3人、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。そのうちの一人、リーダー格のような少年が大きなタンクのようなものを持っていた。そこには濃白色な液体がなみなみと溜まっていたのである。

「…それにしても随分な臭いだね…!」

 メガネをかけた少年が鼻を摘まみながら言うと、

「まあね。アースの力を持つ戦士だから、仕方がないでしょ?」

 ともう1人の少年が冷静に言った。

「ねぇ。まだ出そうと思えば出せるんじゃない?」

 メガネをかけた少年が目をキラキラさせながら言う。すると、

「いや、もう無理だろうね。アソコは元気だったとしても、それを出すだけの心の余裕がもうなくなっているようだし」

 と冷静な少年が男を蔑むようにして言った。

「てか、自分で処理もしていねえのかよ!こんなにたくさん出しやがって!」

 タンクを持っている少年の目が、その男のある部分を侮蔑し、いきなり右足を振り上げたかと思うと、そこへ思い切り振り下ろしたのである。

 ドガッ!!

 鈍い音が聞こえたその瞬間、

「うぐっ!?

 とその大男が呻いたかと思った次の瞬間、

「うああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と悲鳴を上げ、体をV字に折り曲げた。

「…でもまぁ、…そのお陰で魔獣ダイタニクスを復活させることが出来るけど…!」

 その少年が足を下ろす。

「…ぐ…ッ!?…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 光沢のある鮮やかな青色のスーツ。その一部がズタズタに切り裂かれ、光沢が失われていた。そしてそこからは、鬱蒼と茂った真っ黒な物の中に、大きく聳え立つどす黒く太いものがあった。その男の、大きく広げられた逞しい2本の足の付け根、そこに息づく、その男の男としての象徴・ペニス。それは今、大きく勃起し、先端が真っ赤に腫れ上がり、彼の脈動に合わせてピクピクと揺れ、鈴口からは濃白色な、強烈な臭いを放つ液体をトロトロと溢れさせていたのである。

「…もしかしたら、…まだまだ出せるかも…!」

 すると、さっき冷静に言っていた少年がニヤリと笑って言った。

「じゃあさ、搾り取っちゃおうよ!」

 メガネをかけた少年が嬉しそうに言う。

「いや、もういい!」

 その時、リーダー格の少年が言った。

「もう、ここは用なしだ!帰るぞ!」

 リーダー格の少年がそう言った途端、その3人は姿を消したのだった。

 

「…あ…うぅぅ…!!

 力を振り絞り、その大柄な男が起き上がる。その視線の先には、先ほどの少年達と同じくらいの年齢の少年が地面に横たわっていた。

「…勇…太…!!

 ズルズルと這いながら、その少年に近付いて行く。光沢のある鮮やかな青色のスーツの後ろ部分は砂や土で汚れ、茶色く変色し、彼の筋肉質な尻を一際目立たせていた。

「…う…、…うぅぅ…ッ!!

 這いながら進むので、スーツから剥き出しになったペニスが直接、地面に擦られる。その痛みとも快感とも似付かない刺激が彼を悶えさせる。

「ああッ!!ああッ!!ああああッッッッ!!!!ああああッッッッ!!!!

 その刺激が堪え切れないのか、その大男は艶めかしい声を上げ始めた。

「…く…っ…!!…ああ…ッ!!

 体がビクビクと跳ねる。そのたびに筋肉質な尻がビクンビクンと艶めかしく揺れる。

「…く…っそおおおおッッッッ!!!!

 男の目に涙が溢れた。

「…勇…太…ッ!!…勇太…、…ぁぁぁぁああああ…ッッッッ!!!!

 その時、突然、その男の体が大きくビクンと跳ねた。そして、動きを止めたのだ。

「んんんんッッッッ!!!!

 ビクッ!!ビクッ!!ビクビクビクビクッッッッ!!!!

 顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じるその男の腰が何度かバウンドし、そこから強烈な臭いを放つ真っ白な液体が滲み出て来たのである。

「…あ…あ…あ…!!

 それでも懸命に力を振り絞り、倒れている勇太と呼ばれた少年に近付き、

「…勇…太…!!…勇太…ッ!!

 と声をかけ、何とかしてその少年を抱きかかえた。

「…勇太…。…勇太…!!

 男が声をかけるが、その少年の目は閉じられたまま、生気が全く窺えない状態だった。

「…ふっく…!!…ふ…うぅぅ…!!

 男の顔がぐしゃぐしゃに歪み、その目から止め処もなく涙が溢れ出す。

「…どうして…ッ!!

 ヒクヒクとしゃくり上げる。

「…どうして、…こんなことにいいいいッッッッ!!!!

 その男は勇太と呼ばれる少年をギュッと抱き締めると、

「うわああああああああああああッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!

 と大声で泣き叫んだのだった。

 

 ゴウキ。それが、彼の名前。

 「気の優しい力持ち」と言うのをまさに絵に描いたような性格で、お人好しで情に厚く、涙もろい性格。そして、星獣戦隊ギンガマンのメンバーであり、水の戦士であるギンガブルーにギンガ転生する。その時の彼の出で立ちが、光沢のある鮮やかな白と青を基調としたスーツ、その腹部には黒く太い「W」と言う文字をあしらったようなデザインが施され、彼の手と足を守るグローブとブーツにもその先端に「W」のデザインが施されていた。

 そんな彼のお人好しな性格が災いし、今に至っていた。

 彼が抱き締めている、生気のない少年・青山勇太。ゴウキだけではなく、ギンガマンのメンバーであるギンガレッド・リョウマ、ギンガグリーン・ハヤテ、ギンガイエロー・ヒカル、ギンガピンク・サヤが身を寄せているシルバースター乗馬倶楽部に勤める青山晴彦の一人息子。ゴウキを、いや、ギンガマンを慕うあまり、今回の災難に遭ったと言っても過言ではないだろう。

 どうしてこんなことになってしまったのか、少しずつ話を進めて行くとしよう。

 

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