災魔の誘惑 第7話
ゴーグリーン・巽ショウが災魔一族の執事・呪士ピエールと秘密の契約をしてから数週間が過ぎた。
「…う…、…うぅ…ッ!!」
このところ、ショウはイライラしっぱなしだ。
ショウがピエール達の目の前で淫らな姿を見せ、その淫乱な姿を納められたアダルトビデオは、ピエールが変装した司従栄の言った通り、表沙汰になることはなかったようだ。実際、そのいかがわしいアダルトビデオがショウだけではなく、兄弟に知られることもなく、それについては安穏とした毎日を過ごすことが出来た。
だが。
「…く…、…っそ…おおおお…ッッッッ!!!!」
ショウにとって信じられない異変、しかも、体に関する異変が起こっていたのは確実だった。
「…何で…ッ、…勃たねえんだよ…ッ!?」
今、ショウは自室にこもり、迷彩柄のズボンと下着を膝までずり下ろしていた。椅子に体を投げ出し、目の前のテレビでは男女の絡みものの、いわゆるアダルトビデオが流されている。
そして、ショウの右手は今、ショウのがっしりとした2本の足の付け根部分に息づく、ショウの男としての象徴であるペニスを握り、乱暴に上下に動かしていた。
(…あの時からずっとだ…!)
ショウのイライラの原因。それは、どんなに男女が絡むアダルトビデオを見ても、以前のようには興奮せず、絶頂へも導かれないと言うことだった。いや、正確には勃起することは勃起する。だが、そこまでで絶頂までは行かないのだ。
「…ッ!!」
ギリギリと歯軋りをし、目を閉じる。顔を真っ赤にし、あの光景を思い浮かべる。その途端、
「んあッ!?ああッ!?ああッ!!ああッ!!」
と喘ぎ始めた。と同時に、ショウのペニスがムクムクと勃起し、その姿を完全なものにしたのである。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返し、呆然とするショウ。
(…やっぱり…)
あの光景、災魔一族の目の前で淫らなことをしたあの光景を思い浮かべながらペニスを上下に刺激すると、途端に強烈な電流がショウの体に流れ、快楽の刺激がペニスへと集中、勃起し、絶頂へと導かれたのだ。
「…何で…!?」
目尻に涙が浮かぶ。
「…オレ、…何やってんだよ…ッ!!…エッチなビデオを見ても全然興奮しねぇのに、あの光景を思い出すとメチャクチャ興奮する…!!」
もとはと言えば、ショウの父・巽モンドのせいだった。ショウ達5人兄妹を災魔一族と戦うゴーゴーファイブにしただけではなく、彼らが勤めている職場に勝手に退職届を出し、その上、彼らの退職金を全て引き出していたのだ。
「…そっか…。…悪いのは災魔の連中か…!!」
だが突き詰めてみれば、災魔一族が地球を侵略しようとしたことが始まりだった。そのために、来たるべき大災害に備え、父・モンドは子供達をゴーゴーファイブにするべく、様々な兵器を開発するために家を飛び出した。そのせいで、母親は家を出て行き、ショウ達5人兄妹は懸命に生きて来た。
その災魔一族に、ショウは今、利用されていた。彼らはショウがペニスから放出する淫猥な液体を集め、それを使って大魔女グランディーヌの復活を試みていたのだった。そのことを、この時のショウはまだ知らないでいた。
「…クソッ…!!…クソオオオオッッッッ!!!!」
ペニスを乱暴に上下に刺激する。
「んああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
だが、いくらやってもあの快感が得られない。思わず大声で叫んでいた。
と、その時だった。
「どうしたッ、ショウッ!?」
突然、自室のドアが乱暴に開き、ツンツン頭の兄でゴーレッド・巽マトイが飛び込んで来た。そして、目の前のショウを見た瞬間、
「…あ、…え、…えっと…」
と、顔を引き攣らせた。
「えっと、じゃねええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
思わず怒鳴っていた。
ショウは相変わらず迷彩柄のズボンと下着を膝までずり下ろし、顔を真っ赤にしてペニスを上下に激しく刺激していたからだ。それをまともに見てしまったマトイ。
「ドアぐらいノックしろよなッ!!ったく、デリカシーのないアニキだぜッ!!」
物凄い勢いでズボンと下着を上げると、ショウは立ち上がった。そして、ズカズカと部屋の入口まで歩み寄ると、呆然としているマトイに向かって、おもむろに右手を伸ばした。その瞬間、
「ふぎゃああああッッッッ!!!!」
と、マトイが素っ頓狂な声を上げた。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
目を大きく見開き、顔を真っ赤にしている。
「今度、アニキのオナニーショーも見せてもらうからなッ!!」
ショウの右手は今、マトイの2本の足の付け根部分に息づく、マトイの男としての象徴であるペニスとその下に息づく2つの球体を物凄い力で握り締めていたのだ。
「…ショ…、…ショ…ウ…ッ!!」
「ふんッ!!」
ショウはぱっと右手を離すと、ズカズカと足音を響かせながら家を飛び出して行った。
「…ぐ…、…ぐお…!!」
一人取り残されたマトイはその場に屈み込み、トントンと腰の辺りを叩き続けていた。
暫くして、ショウはあるビルに辿り着いていた。
「…う…、…うぅぅ…ッ!!」
歯を食い縛り、懸命にその古びたビルを睨み付けている。握り締めた両拳はブルブルと震えていた。
「…どうして…!?」
頭の中が混乱していたのは言うまでもない。家では無様な痴態を兄・マトイに見られ、恥ずかしさの余り、思わず飛び出していた。そして、気が付いた時には、あのビル、ショウが淫らな姿を見せた場所へと辿り着いていたのだ。
「…どうしてオレ、…こんなところに…!?」
「おや?」
その時、聞き慣れた声が聞こえ、ショウは思わずビクリとなった。
「…し…、…司…従…さん…!」
目の前には、痩せ形のスーツ姿の男。髪はやや薄く、真っ黒な丸いメガネを掛け、鼻の下には中世の貴族かと思わせるほどの長い髭を蓄えている。
「どうしたんですか、ショウ君。こんなところで?」
相変わらず不気味にニコニコと微笑んでいる。
「…あ…、…い、…いや…」
ショウは言い淀んでいると、
「…まさか、…また味わいたくなったのですか?」
と、丸いメガネの奥の瞳をギラリと光らせ、
「…あの…、…狂おしいほどの快楽を…!」
と司従は言い、ショウの2本の足の付け根部分に息づくペニスを優しく握った。その途端、
「あッ!?」
とショウは声を上げ、体をビクンと跳ねらせた。
「…フフッ!…ショウ君のここ、大きくなっているじゃないですか…!」
「…ッ!!」
その言葉に、ショウは顔を真っ赤にする。
言い逃れは出来なかった。実際、目の前の古びたビルを睨み付けながら、その心とは裏腹に、ショウのペニスは迷彩柄のズボンの中で大きく勃起していたのだから。
すると、司従は握っていたショウのペニスを離すと、
「ここでは何ですから。取り敢えず、中へ入りましょうか?」
と言い、ショウを連れてその古びたビルの中へ入って行った。