災魔の誘惑 第23話
スポットライトに照らされた弟の姿。
光沢のある鮮やかな明るい緑色のアンチハザードスーツ。それが彼の体にぴったりと密着するように纏わり付き、彼の筋肉質な腕や太腿をクッキリと浮かび上がらせていた。
そして。
彼の2本の足の付け根部分。彼の男としての象徴であるペニスが今、大きく勃起し、そのスーツを突き破り、臍へ向かって真っ直ぐに伸びていた。そして、真っ赤に腫れ上がった先端部分からは透明で淫猥な液体が溢れ出し、ねっとりとした糸を引きながら床とを繋いでいたのだ。
「…ショ…ウ…?」
そんな光景を見上げているゴーレッド・マトイ。
「…ウソ…だろ…!?」
ゴーグリーンであり、弟であるショウに撃たれたことが未だに信じられない。逆三角形のバイザー越しに見えるショウの目。まるで精気を失ったかのように黒ずみ、ぼんやりとしているようだった。だが、その両手にはゴーブラスターが握られ、その銃口がマトイの方へ向いていたのだった。
「…お前、…どうしちまったんだよ…!?」
体中に走る痛みを必死に堪えながら、ヨロヨロと立ち上がる。
「だから言っているでしょう?彼には、…ゴーグリーンには我々災魔一族のAV男優になっていただいたと…」
「お前に聞いてるんじゃねええええッッッッ!!!!」
黒メガネの、触角のような髭を持つ男・呪士ピエールが言いかけた時、その言葉を遮るようにマトイが怒鳴り声を上げる。
「俺はッ、ショウに聞いてるんだッ!!」
マトイはそう言うと、フラフラする足取りでショウのもとへ辿り着くと、その胸倉を掴んだ。
「…ショウ…。…お前…、…何やってんだよ…!?」
怒りに血走った目と、呼吸に合わせて広がる鼻孔がゴーレッドの丸みを帯びたバイザー越しに見える。
「…お前は…ッ、…ここまでして金が欲しいのか…ッ!?…誇り高きレスキュー魂はどこへ行っちまったんだよオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!??」
「だから、ゴーグリーンは…」
「お前には聞いてねえっつってんだろうがああああッッッッ!!!!」
ピエールの言葉を遮るようにマトイが言い、ピエールの方へ振り返ったその時だった。
カチャッ!!
その時、マトイは腹部に何かが突き付けられるのを感じた。
「…ショ…ウ…?」
呆然とショウを見上げる。そのショウの顔がニタァと不気味に歪んだその時だった。
バシュウウウウウウウウ…ッッッッッッッッ!!!!!!!!
熱いものがそこから放出され、その強い勢いにマトイの体が後ずさって行く。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
ショウが手にしているゴーブラスターの銃口から放たれる眩い光。それがマトイの腹部と銃口とを繋いでいる。
「…ショ…ウ…!?」
少しずつマトイのアンチハザードスーツのその部分が熱を帯びて来る。そして、パシッ、と言う音と共に小さな閃光が飛び散ったその時だった。
バアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
激しい衝撃音と共に、マトイのアンチハザードスーツが爆発する。その衝撃に、
「ぐはああああッッッッ!!!!」
と、マトイは悲鳴を上げ、背後へひっくり返った。
「…ショ、…ショ…ウ…!!」
肘を支点にして上半身を起こすマトイ。その時、マトイはショウのゴーブラスターの銃口が再び光ったのを見た。その途端、
バシュッ!!バシュバシュバシュッッッッ!!!!バシュウウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う音と共に、眩い光の槍がマトイに降り注ぐ。
「…ク…ッ!!」
マトイは素早く起き上がったが、その光の槍は残酷にもマトイに降り注いだ。
ズガアアアアンンンンッッッッ!!!!バアアアアンンンンッッッッ!!!!ドガアアアアンンンンッッッッ!!!!
激しい衝撃音と共に、その無数の光の槍がマトイのアンチハザードスーツに突き刺さり、爆発した。
「ぐぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
体を激しく跳ねらせながら、マトイが叫ぶ。
その間にも、ショウはゴーブラスターを撃ち続ける。そして、無数の槍が更にマトイへ降り注ぐ。
ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
「ひがああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
体を仰け反らせ、懸命に踏ん張るマトイ。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
その光の槍が消えた時、マトイのゴーレッドのスーツからはしゅうしゅうと無数の煙が立ち込め、あちこちが焦げ付いていた。
「…う…!!」
その時、膝がガクリとなり、マトイはゆっくりと前のめりに倒れた。
「ハーッハッハッハッハ…!!」
その光景を見たピエールが大声で笑う。
「これは愉快ですッ!!弟に撃たれる、弟を助けに来た兄。しかも為す術もないまま、無様に地面に崩れ落ちるとは…!!」
そう言いながらピエールは、コツコツと足音を響かせてうつ伏せに倒れているマトイのもとへ歩み寄る。そして、
「いかがです、ゴーレッド?…あなたも、我々災魔一族のAV男優になりませんか?」
と言ったのだ。
「…な…に…?」
「あなただってお金に困っていませんか?…それに…」
そう言いながら、ピエールはマトイの筋肉質な双丘の片方をガシッと鷲掴みにした。
「んひゃッ!?」
その途端、マトイは素っ頓狂な声を上げ、
「…なッ、…何しやがんでええええええええッッッッッッッッ!!!!!!??」
と怒鳴った。だが、ピエールは相変わらずマトイの双丘をゆっくりと撫で始める。
「…ククク…。…実に見事なお尻だ。…これは我々災魔一族の世界では実に人気のある形です…!!…筋肉質で、…程良く固くて、…程良く大きい…!!…噛み付きたくなるほどに…ね…!!」
「…やッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
背筋にゾクゾクとした悪寒が走り、マトイは反射的にゴロゴロと転がり、何とかして起き上がった。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
肩で大きく呼吸を繰り返すマトイ。そんなマトイを、ニタニタと相変わらず不気味な笑みで見つめるピエール。
「…あなたも欲しくありませんか?」
「…かッ、…金ならいらねええええッッッッ!!!!」
「…では、…快楽はいかがでしょう?」
ピエールの目がギラリと光った。
「…あなたの最愛の弟によって与えられる、この上ない極上の快楽は…?」
「…な、…何…言って…」
マトイが言いかけたその時だった。
ヒュッ!!
何か細いものが何本か飛んで来たのを認めた瞬間、それがマトイの両手首にぐるぐると巻き付いた。
「…な…ッ!?…何…ッ!?」
マトイが驚いたのも束の間、体が引っ張り上げられる感覚がし、次の瞬間、マトイはあっと言う間に両手首からX字に吊るされる格好になっていた。