災魔の誘惑 第24話
薄暗闇の中で両手を広げ、頭上に挙げているゴーレッド・マトイ。そのマトイの両手首には蔦のような細い植物が、まるでその場でマトイを拘束するかのようにぐるぐると纏わり付いていた。
「…なッ、…何だッ、…これ…ッ!?」
マトイが驚いて頭上を見上げ、手首に絡み付いている蔦のような細い植物を引き千切ろうとする。だが、どんなにそれを引っ張っても、ガサガサと言う葉が擦れ合う音が聞こえるだけだった。
「…く…っそ…ッ!!…ちぎれ…ねえ…ッ!!」
「無駄よ、ゴーレッド…!!」
目の前を見たマトイは凝然となる。
「…お、…お前、…あの…災魔獣…か…?」
露出度の高い衣裳を身に纏った女。その正体は、災魔獣ツタカズラが鹿鳴館香と言う名のAV女優へと姿を変えたものだった。その清楚可憐な風貌とは裏腹に、その目はギラギラと輝き、明らかに獲物=マトイを狙っている。
「…フフッ!!」
ツタカズラは笑うと、
「お前も私の虜にしてやろう…!!」
と言うと、ツタカズラの横で無言で立っているゴーグリーン・ショウにゆっくりと抱き付いた。
「…香…さん…ッ!!」
ショウの両腕がゆっくりと香の背中へ回る。
「…どうだ、ゴーレッド…?…お前の弟は、こぉんなにも従順になったぞ?」
その時、香のしなやかな指がショウの体を伝い、肩幅よりやや広めに広げられた2本の足の付け根部分に息づく、ゴーグリーンのアンチハザードスーツを突き破って飛び出したショウの男としての象徴であるペニスを優しく握った。その途端、
「んああああッッッッ!!!!」
と、ショウが叫び声を上げ、体を仰け反らせた。
「ショッ、ショオオオオオッッッッ!!!!」
マトイが叫ぶ。
「…あ…あ…あ…あ…!!」
ショウはゴーグリーンの逆三角形のバイザーの中で目をカッと見開き、ブルブルと小刻みに震えている。そして、
グジュウウウウッッッッ!!!!
と言う淫猥な音と共に、ショウのペニスの先端の鈴口から濃白色な淫猥な液体が溢れ出し、ポタポタと地面へ零れ落ちた。
「止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
マトイが怒鳴る。
「てめえッ!!汚ねえ手でショウに触るんじゃねえッ!!そもそもッ、てめえは何百年も何千年も生きている年増のクソババアだろうがッ!!そんなクソババアが若い女の子に姿を変えて、ショウをたぶらかすんじゃねえよオオオオッッッッ!!!!」
その時だった。
カチャッ!!
乾いた音が聞こえた時、ショウの右手はゴーブラスターを構え、その引き金を引いていた。
ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
その光の槍が再びマトイの体を突き抜けるように襲い、ゴーレッドのアンチハザードスーツが爆発する。
「ぐはああああッッッッ!!!!」
「ぐわああああッッッッ!!!!」
「ひがああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その激しい爆発にマトイは両足をバタバタとさせ、懸命に耐える。
ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ガアアアアンンンンッッッッ!!!!ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
「…やッ、…止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!ショオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…マトイ兄ィ…。…香さんのこと、…年増のクソババアなんて言うなよなッ!!」
その目がマトイを蔑むように見つめている。いつの間にか、ショウが手にしているゴーブラスターからの光の槍は消えていた。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
ぐったりと項垂れながら、マトイが荒々しい呼吸をする。
「…ショ、…ショ…ウ…!!」
激痛に意識がぼんやりとする。
「…こんなに若くてきれいなお姉さんが、年増のクソババアなわけないだろう!?…おまけに、香さんのことを災魔獣とか言いやがって…ッ!!」
ギリギリと握られたゴーグリーンの真っ白なグローブがギリギリと音を立てる。
「…許さねえ…ッ!!」
「ショッ、ショオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
その時、ショウの手にはブイランサーが握られていた。その冷たく光る刃が眩しい緑色に輝いている。
「…食らえ…!!」
ショウの目がギラリと光った。そして、
「ブイスラアアアアッシュッッッッッッッッ!!!!!!!!」
と叫んだかと思うと、マトイの左肩から斜めに振り下ろし、マトイの右脇腹でそれを振り払った。その瞬間、
ズガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!ドガアアアアアアアアンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
と言う、今までになかったほどにマトイのゴーレッドのアンチハザードスーツが大爆発を起こし、
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、マトイの絶叫が辺りに響き渡り、爆風と砂塵が辺り一面に舞ったのだった。
「…あ…、…あああ…!!」
爆風と砂塵が落ち着きを取り戻した時、そこには無惨な姿のマトイがいた。
「…うう…ッ!!」
ゴーレッドのアンチハザードスーツは完全にその能力を失い、ただの襤褸切れと化し、あちこちからマトイの肉体が見え隠れしていた。
それだけではない。
ゴーレッドのマスクもどこかへ吹き飛び、そこからはツンツン頭のマトイの頭部が完全に見えていた。その顔にはあちこちに鬱血した痕があった。
「…ショ…、…ウ…」
意識が朦朧とする中で、マトイが小さな声でショウを呼ぶ。
「…ククク…!!」
いつの間にか、ショウもゴーグリーンのマスクを外し、ニタニタと不気味な笑みを浮かべてマトイを見ている。
「…随分といい格好になったなぁ…。…マトイ兄ィ…!!」
そう言いながらゆっくりとマトイに近付いて行くショウ。
その時だった。
マトイが急に腰を引いたかと思うと、
「…来るな…!!」
と声を震わせ始めたのだ。
「来るなアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!ショオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!」
「どうしたんだよぉ、アニキィッ!?」
余裕の笑みを浮かべ、ゆっくりとマトイに近付いて行くショウ。
「これからオレとアニキでイイコトをするんだぜ!?そして、それをカメラに撮影してもらうんだ!!」
「それなら、既に回っていますよ?」
ピエールが腕を組み、ニタニタと見つめている。その隣りでは、災魔獣ツタカズラが香に姿を変え、ぷっと頬を膨らませていた。
「…残念ですわ…。…せっかく、私がマトイさんのお相手をして差し上げようと思ったのに…!!」
「心配すんなって、香さんッ!!」
ショウが香の方を振り向き、眩しいくらいの笑顔を見せた。
「撮影が終わった後に、ゆっくりとアニキをメロメロにしてやればいいんだからさ!!」
その言葉に、
「…フフッ!!」
と香は笑い、
「…じゃあ、…楽しみにしてますわ…!!」
と言ったかと思うと、みるみるうちに災魔獣ツタカズラに姿を戻した。
「じゃあ、アニキ!!そう言うことだから!!」
ショウはそう言った途端、素早く頭を動かしていた。