災魔の誘惑 第29話

 

「…あ…あ…あ…あ…!!

 ゴーレッド・マトイの無意識の中に、何かが絶体絶命であることを伝えていた。

「…止めろ…!!

 足がすくむ。体が震える。今までこんな思いになったことがあるのは、冥界魔闘士に大敗北を喫した時以来ではないだろうか。

「…ククク…!!

 目の前では呪士ピエールが黒い丸眼鏡の奥の瞳をギラギラとさせ、勝ち誇った笑みを浮かべている。

「災魔獣ツタカズラにお前の身動きを取れなくさせておいて良かったですよ…!」

「…な…に…!?

 その時だった。

 マトイは体がふわりと宙に浮くのを感じていた。

「うおおおおッッッッ!!!?

「これから最大のショーが始まるんですのよ?それにゴーレッドにも協力してもらわないと…!!

 人間の姿になっている香が、災魔獣ツタカズラに姿を変えて言った。両手から放たれ、マトイの両手首を拘束している蔦を少しだけ引っ張ったのだ。そのため、マトイの体が一瞬だけ宙に浮いた。だが、宙に浮いているのは一瞬だった。その間にインプスが2体、足元に小さな台を、ちょうどマトイが足を広げたところに置いたのだ。

「…え?」

 その台の上に立たされているマトイ。そんなマトイを相変わらずニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら見つめているピエール。

 その時、別のインプスがガラガラと音を立てながら、マトイの腰の高さほどある台をマトイの背後に持って来た。その台の上には、太く長いペニスの梁型が。

「…や…、…止めろ…!!…な、…何をする気だ…ッ!?

 頭では分かっているのにこんなことを尋ねる自分が情けない。救急戦隊ゴーゴーファイブのリーダーであり、巽家の長男であるくせに、今のマトイは完全に冷静さを失っていた。

「…ククク…!!

 ピエールはニヤニヤと相変わらず笑っている。すると、その横にいたツタカズラが、

「こうするんですわ!」

 と言い、マトイの背後にいるインプスに目配せをした。するとそのインプスは、ペニスの梁型がある台をマトイの双丘の間にグイグイと押し込み始めたのだ。

「やッ、止めろオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

 思わず爪先立ちをしていた。それによって、辛うじてペニスの梁型を双丘の間の窪みから離すことが出来た。

「…く…ッ…!!

 だが、耐えられるのも時間の問題だった。いくら鍛えているとは言え、長時間爪先立ちをするのは至難の業だった。

「…く…っそ…オオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

「ハーッハッハッハッハ…!!

 ピエールが勝ち誇ったように大声で笑い始める。

「どうです、ゴーレッド?あなたが少しでも気を緩めれば、あなたの後ろにある大きなペニスの梁型があなたに突き刺さるのですッ!!いくらゴーレッドとして体を鍛え上げていても、いつまでも爪先立ちをしているわけには行かないでしょう?」

 黒い丸眼鏡の奥の瞳をギラギラと輝かせ、口元が歪んでいる。

「もう、あなたには屈辱と陵辱以外に残された道はないッ!!さぁ、負けを認めるのです、ゴーレッド!!そうすれば、あなたには痛い思いはさせませんよ?一生、我々災魔一族のAV男優として生きる道を差し上げましょう!!

「ふざけんなああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 顔を真っ赤にして怒鳴るマトイ。その目には再び闘志が宿っていた。

「…例え、…お前らに何をされようと…!!…俺は耐えるッ!!…俺は誇り高きレスキュー魂のゴーゴーファイブだッ!!災魔一族に屈するわけには行かないんだああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
「…そうですか…」

 その時、ピエールがやや悲しげな表情を浮かべた。

「…では…!」

 次の瞬間、ピエールの目がギラリと光った。

 その時だった。

「アニキィ…!!

 それまでピエールとツタカズラの横で黙って立っていたゴーグリーン・ショウが声を上げたかと思うと、ピエールやツタカズラと同じように目をギラギラと輝かせ、ニタニタと不気味な笑みを浮かべながらゆっくりとマトイのもとへ歩み寄る。光沢のある鮮やかな緑色のゴーグリーンのアンチハザードスーツから飛び出したショウの男としての象徴であるペニスは相変わらず勃起したまま、ぶらぶらと揺れながらその鈴口からは透明な淫猥な液体を滴らせていた。

「…な、…何…だよ…ッ!?

 思わず声が震える。ショウはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら、

「そんな怖がるなよ、アニキィッ!!アニキの処女を奪ってやるんだからさ…!!

 と、さらっと言ってのけた。

「…しょ…ッ、…処女なんて奪われたくねえッ!!

 カッとなって思わず叫んでいた。だが、ショウはそれを無視するかのようにマトイの至近距離までやって来ると、ゴーレッドのアンチハザードスーツを突き破って飛び出したマトイのペニスを握った。

「んああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 突然、雷に打たれたような感覚に陥り、マトイが体を大きく仰け反らせて叫ぶ。その瞬間、マトイの体から力が抜け、マトイの踵が両脚を載せている台に落ちた。その瞬間、

 …ズブッ!!…ズブズブ…ッッッッ!!!!

 と言う鈍い音と共に、マトイのゴーレッドのアンチハザードスーツの双丘の部分に大きな窪みが出来た。そして、

「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 と言うマトイの悲鳴が辺り一面に響き渡り、マトイは再び爪先立ちをした。

「…ククク…!!

 ショウは低く笑い声を上げながら、マトイの顔に自分の顔を近付けた。

「…マトイ兄ィ…!!…後でもっとたぁっぷりと気持ち良くさせてやるからな!!

 そう言うと、

「おい!!

 と、さっき、ペニスの梁型の付いた台を持って来たインプスに声をかけた。そして、そのインプスから銀色に冷たく光るものを受け取った。

「…止めろ…!!

 顔を真っ赤にしたマトイ。その目尻に涙が浮かんでいる。

「…い、…いい加減にしろよッ、ショオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!!!

「うるせえよッ、アニキィッ!!

 その時、ショウはインプスから受け取った銀色に冷たく光るナイフをマトイの首に近付けていた。その目が不気味に輝いている。

「…下手なことをしてみろ。…怪我するぜ…?」

 そのナイフの切っ先がマトイのゴーレッドのアンチハザードスーツをなぞるようにマトイの体を下りて行く。そして、大きく突き出したペニスの根元へ辿り着いた。

「…頼むから、…もう、…止めてくれ…!!

 言っても無駄なのは分かっていた。

「アニキの処女を奪うために、このスーツを切り裂くぜ?」

 そう言うと、ショウはマトイのゴーレッドのアンチハザードスーツの股下の辺りにナイフの切っ先を食い込ませた。

 …ブッ!!…ブツブツ…!!

 スーツを縫い合わせた糸が解れて行く。それに合わせるように、マトイの下腹部にひんやりとした冷気が入り込んで来る。

「…く…っそ…!!

 ギリギリと歯軋りをするマトイ。抵抗することも出来ない。こんなに恥辱を味わわされているのに、自身のペニスは大きく勃起したままだ。

「…止めろ…!!

 硬く閉じられた目から一粒の涙が零れ落ちた。

「…もう…ッ、…止めてくれええええええええええええええええッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 絶叫していた。だが、ショウの手は止まらない。そして、

 ビィィィィッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と言う音が聞こえたその瞬間、マトイの双丘の窪みにあの太く長いペニスが食い込んでいた。

「うぅわああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 その感覚に思わずビクリとし、体を仰け反らせ、無意識なのか意識的なのか、マトイは爪先立ちをしていたのだった。

 

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