ヒーロー陵辱 第3話

 

「…え?」

 人目に付かない、街の郊外にある小さなホテル。その一角にある小さな部屋の前に、淳市は立っていた。

「…正樹…、…さん…?」

 ハトが豆鉄砲を食らったような、きょとんとしたような表情でぼんやりと僕を見つめる淳市。

「はじめまして、“じゅん”さん!」

 僕はニヤリと笑うと、そう言った。すると、淳市は、

「…え?…あ…」

 と、未だに戸惑いを覚えているかのように、答えにならない声を上げていた。

「どうしたんですか、じゅんさん?ささ、中に入って下さいよッ!!

 そう言うと、僕は呆然としている淳市とガッシリとした太い腕を掴み、強引に部屋の中へと入れた。すると淳市は、

「え!?…ちょッ、…ちょっと…ッ!!…うわ…ッ!!

 と素っ頓狂な声を上げながら、僕の勢いに圧されるがまま、部屋の中へと入り込んだ。その時、僕はすかさず部屋の扉に鍵を掛けていた。

「…ま、…正樹…さん…?…正樹さん…、…ですよね…?」

「だったら何だい?」

 そう言った時、僕は僕よりも背が高く、ガッシリとしている淳市に思い切り抱き付き、両腕を淳市の背中へと回した。

「…え?」

 淳市は突然のことに体をビクリと痙攣させ、硬直させる。

「…嬉しいよ…」

「…え?」

 僕は思わず淳市を見上げる。今、淳市の顔は僕の目の前にある。その精悍な、イケメンな、少年のようなあどけなさを残すその顔に、怯えの色が浮かんでいた。

「…まさか、僕のヒーローがこうやって罠に掛かりに来てくれたなんてねぇ…」

 そう言いながら、僕は両手を動かし、淳市の背中を撫で回す。すると淳市は、

「…ちょ…ッ!!…まッ、正樹さんッ!?

 と大きな声を上げ、慌て始める。けれど、僕が職場の先輩にあたるからだろう。本気の抵抗ではないようだ。

 それだけではない。今の淳市には二律背反な感情がぐるぐると渦巻いているに違いない。ヒーローとして陵辱され、エネルギーを一滴残らず搾り取られたいと言うおぞましい感情と、それをしてくれる、いや、陵辱される相手が職場の先輩と言う知った顔であったことへの戸惑いと羞恥。その2つの感情に、淳市は混乱しているに違いない。

「そんなに慌てることはないじゃないか」

 優しい声でそう言いながら、僕は淳市の広い背中を撫で続ける。

「…ヒーローとして、やられに来たんだろう?」

 すると淳市は顔を真っ赤にし、

「…そ…、…そうです…、…けど…」

 と言った。

「…けど?」

 そう言いながらも、僕は両手を動かし続ける。すると淳市は、困ったような笑みを浮かべて、

「…ま…、…まさか…、…ヒーローを陵辱したいって書いたのが、オレが知っている人だったなんて…」

 と言った。

「そんな偶然だって、いいんじゃないか?」

「んあッ!?

 突然、淳市は素っ頓狂な声を上げ、体をビクリと跳ねらせた。

「…あ…あ…あ…あ…!!

「…淳市、いいケツしてるんだな…」

 僕は両手を下ろし、淳市の筋肉質な大きな双丘を鷲掴みにしていた。

「…前から気になっていたんだよ。お前のケツが大きいことや、それがスラックス越しにガッシリと浮き出て凄くエロいのをね…!!

「…あ…ッ!!…んく…ッ!!

 淳市は顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じて懸命にその屈辱に耐えているようだ。

「さすがはヒーローだ。しっかりと鍛え上げられている」

「…ん…ッ!!…んん…ッ!!

 握り締めた両拳が小刻みに震えている。そして、その拳が強く握り締められ、ブルブルと震えていた。

「…こんなヒーローを陵辱出来るのかと思うと、本当にゾクゾクするよ」

「んああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 その時、淳市が大声で悲鳴を上げた。そして、

「やッ、止めてッ、下さいッ!!

 と言い、体をもがかせた。

「…ククク…!!

 淳市が悲鳴を上げた時、僕は淳市の筋肉質な大きな双丘の窪みの奥にある秘門目掛けて指を捻じ込ませていたのだ。

「いいだろ、淳市?…ヒーローのお前から、エネルギーを一滴残らず搾り取ってやるよ」

「…あ…、…あの…」

 何か言いたそうな淳市を無視するかのように僕は淳市から離れると、近くに置いてあったカバンに手を掛ける。そして、その中身をゴソゴソとやり始めた。

「…せっかくなんだし…」

「…え?」

 きょとんとした表情の淳市に、僕はあるものを放り投げた。

「…え?…あ…」

 それを見た淳市は、それが何かを察したかのように声を上げると、ゆっくりとそれを広げ始めた。

「せっかくなんだし。それ、着て見せてよ」

「…え?…あ、はい…」

 僕が淳市に放り投げたもの。それはとある戦隊ヒーローの全身タイツだった。

 上半身は黄色、下半身は白を基調とし、全体的にキラキラと輝いている。肩から臍へかけてVラインのように白い線が入り、その中心にはライオンの顔のデザインがあしらわれている。

「…え…、…えっと…」

 その時、淳市が困ったような笑みを浮かべて僕を見ていた。

「…ど、…どうやって、これ、着るんすか?」

「え?」

 今度は僕が戸惑う番だった。

「…こう言うの、初めてなのか?」

 僕が尋ねると、淳市はコクンと頷いた。

「…ククク…!!

 僕の心臓が更に加速度を増して脈動する。

「…しょうがないなぁ…」

 男に陵辱されたことがないヒーローが目の前にいる。しかも、僕がずっと目を付けていたヤツだ。そんなヤツが、今にも僕にその身を捧げようとしている。

「まずは全裸になるんだ」

「え!?

 その言葉に、淳市は顔を更に真っ赤にする。

「全裸にならなきゃ、全身タイツは着られないんだよ」

「…そ、…そうなんすか?」

 半信半疑な淳市。

 もちろん、アンダーウェアを着た上で着ることも可能だ。だが、それはあくまでも普通の話。今の淳市はこれから僕に身を捧げる身だ。全裸ではないと意味がないのだ。その体をじっくりと味わうために…。

「ほら、早く早く!!

「は、はい…」

 淳市は恥ずかしそうに全ての服を脱いで行く。そのこんがりと焼けた筋肉質な体。筋肉質なことが窺える両胸にある茶褐色の小粒。

「…んしょ…」

 そして、ぱっつんぱっつんに張ったジーパンを下ろした時、薄い生地のボクサーパンツ越しに淳市の筋肉質な大きな双丘と共に、その反対側にあるふくよかな膨らみを確認することが出来た。

 さすがに恥ずかしいのか、淳市は僕に背を向け、そのボクサーパンツを脱ぐ。そして、真っ白な大きな双丘を僕の方へ向け、淳市の美しい体が露わになった。

「じゃあ、足から入れて行って」

「は、はい…」

 言われるがままにそのヒーローの全身タイツを着て行く。すると、その全身タイツの薄い生地が淳市の体付きを更にクッキリと浮かび上がらせて行く。太く、ガッシリとした逞しい両脚。そして、大きな双丘。その上にある逞しい背中が少しずつその生地に消えて行く。

「足の部分の裾を最大限にまで上に上げておかないと、上半身が着られないからね」

「あ、はい…」

 僕は淳市の背後でしゃがみ込むと、淳市の足首のところで遊んでいる生地を淳市の体の方へ向かってたくし上げる。その手が淳市のガッシリとした脚を撫で上げて行く。

「…それにしても凄い太腿だね。凄くガッシリしてる…」

「…そ、…そうっすか?」

 戸惑いはするものの、まんざらでもない淳市。

 ドクンッ!!ドクンッ!!

 淳市の美しい体がヒーローの全身タイツを纏って行くごとに、僕の心臓は大きく高鳴り続けたのだった。

 

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