ヒーロー陵辱 第11話

 

 ヒーローだったらいいのにと思う相手にイエローライオンの全身タイツを着せ、身動きが取れない状態にし、その性感帯を徹底的に責め、大きく勃起した男としての象徴からエネルギーをたっぷりと搾り取ってやった。

 まさか、自分が夢に思ったことが本当に実現するとは思いもしなかった。明るくてひょうきんで、みんなの弄られキャラになっている会社の後輩・淳市。鍛えているせいか、体もうっすらと筋肉が付き、まさにヒーロー体型と言った様相だった。そんな淳市がまさか、ヒーローとしてやられたいと僕が投稿した記事に返信して来るとは思わず、淳市を妄想の中で犯すことしか考えていなかった僕にとっては、それはそれは夢のような時間を過ごさせてもらった。

 

 それから1週間が過ぎた。

 会社の中ではみんなに弄られ、笑顔を振り撒いている淳市。そんな淳市に、僕は敢えて接触しないようにしていた。ここで変に接触すれば、それこそ、今度は逆襲される恐れがある。ちょっとでも体に触れれば、それをセクハラだと言って来るかも知れない。

(そうはさせるか!!

 僕はわざとらしいほどに淳市と距離を置き、淳市がいる辺りを通らないようにしてみたり、通らざるを得ない時は、淳市がいない時を見計らって動いたりを繰り返した。

 別にストレスとも思わなかった。淳市をただただ、自分の奴隷にしたい、その思いだけが、僕を突き動かしていた。

 

「…よ…ッ!!…んしょ…ッ!!

 今日も今日とて倉庫整理をしていた僕。今はその仕事は新入りだから、ではなく、自分から進んでやるようになっていた。

「僕が行って来ますよ!!

 淳市にも聞こえるくらいわざとらしいほどに大きな声でそう言うと、僕はスタスタと倉庫へ向かって歩いて行く。

「…」

 そんな僕を、淳市はちらりと横目で見ているようだった。だが、僕は敢えて何も言わず、その横を通り過ぎて行った。

「…さて…、…と…」

 大方、倉庫の整理を終えた僕。肩に手を置き、大きく腕を回して筋肉を解す。そして、最後の1箱を持ち上げようとした時だった。

 突然、横からすっと手が伸びて来たかと思うと、その箱をひょいと持ち上げたヤツがいた。

「…淳市…?」

「…」

 ちらりと僕を見るも、淳市は無言のまま、そのダンボールを持ち上げ、所定の位置へ置いてくれた。

「ありがとう」

 何の意味もない。普通にお礼を言った僕に対し、淳市は、

「…いえ…」

 と言うと、クルリと僕に背を向けた。

「…たまたまトイレに行ってここの前を通った時に、正樹さんが箱を持ち上げようとしていたから、手伝ったまでです」

「…そっか…」

 そう言うと、僕は淳市の横を通り過ぎる。そして、倉庫の入口に立ち、

「ほら、戻るよ」

 と言って倉庫の電気を消す。すると、淳市も無言のまま、僕に従った。

 

 当たり前だ。

 いくら人気のない倉庫だと言っても、こんなところで疚しいことは出来ない。そもそも、淳市の合意も取れていないのにちょっかいを出したら、何をされるか分かったものじゃない。

(…待てよ?)

 その時、僕ははたと考えた。

 倉庫からトイレはちょっと距離が離れている。しかも、事務所とはトイレを挟んで正反対の方向だ。たかがトイレに来ただけなのに、わざわざ倉庫に立ち寄るだろうか。

(…まさか…)

 もともと、ヒーローとしてやられたいと言う願望を持ち合わせている淳市。そして、その初めての相手がたまたま僕だったと言うだけだ。それはつまり、ヒーローになった自分自身を甚振ってくれる相手が物凄く身近にいたと言うことを意味していた。

(…だとしたら…)

 淳市は、言葉にすることが出来ないようなおぞましい感情を抱いているのだろうか。それで、わざと僕の傍にやって来たのだろうか。だが、そんな思いを見透かされたくなくて、わざとつっけんどんな対応をしたのだろうか。

「…ククク…!!

 僕の中におぞましい感情がぐるぐると渦巻き始める。

「…そろそろ…、…か…」

 明日は休日だ。だったら、1週間ぶりにヒーローを甚振ってやろうか。そう思い、スマホを取り出した。だが、その手を止めた。

「メッセージを送るのは今夜にしよう」

 仕事中に私用でメッセージを送るのも危うい。念には念を入れて行動をしなければ。

「お前が悪いんだからな、淳市」

 独り言を言うと、僕は大きく前へ張り出した自身の2本の足の付け根部分の膨らみを揉みしだいたのだった。

 

 その夜――。

 薄暗く灯したライトがほんのりと周りを照らし出す。自室に籠もり、僕はぽちぽちとスマホを弄っていた。

『ヒーローじゅんさんへ。明日の昼間、時間がありますか?』

 わざとらしいほどにへりくだり、僕は淳市へメッセージを送る。

 ピロン♪

 すると、待ち構えていたかのようにすぐに返信のメッセージが届いた。もちろん、淳市からだ。

『空いています』

 一言だけのメッセージ。けれど、その一言に、僕はゾワゾワとした感覚が体を走ったのが分かった。

『そしたら、この間と同じホテルに来て下さい。ヒーローのじゅんさんをまたいじめたいです』

 一瞬、間が空いた。けれど、すぐに着信を告げる音が聞こえた。

『分かりました…』

 最後の三点リーダーは、淳市のどんな感情を意味しているのだろう。僕に反抗することも出来ない諦めの境地なのか、それとも、悔しくて悔しくて堪らないのか。それとも…。

(…まぁ、いい…)

 僕の2本の足の付け根部分は再び熱を持ち始め、大きな膨らみを作り始めていた。

(…明日も、徹底的に甚振ってやろう…!!

 

 翌日、僕は指定した時間より少し早めに、街外れのあのホテルへと入った。

 コンコン…。

 程なくして、僕が入った部屋のドアをノックする音が聞こえた。部屋の覗き窓から外を確認すると、そこには淳市がどこか落ち着きない様子で立っていた。

 …ガチャ…。

 ゆっくりと扉を開けると、淳市と目が合った。

「こんにちは」

「…ど、…ども…」

 おどおどとしている淳市。今日は赤のチェックのシャツとその下に黒いシャツ、下はベージュ色のチノパンだ。

「中に入れよ」

 少しだけ命令口調で言うと、淳市は唇を噛み締め、無言のまま、部屋に入って来た。

「…じゃあ、始めようか…」

 僕がそう言った時、淳市は部屋の入口で突っ立ったまま、どこか落ち着きなくしている。

「どうしたんだよ、淳市ぃ?」

 そう言って僕が淳市の大きな体に抱き付くと、淳市はビクリと体を跳ねらせた。

「今日もヒーローとしてやられに来たんだろう?」

「…ッ!!

 僕の言葉に、顔を真っ赤にして何も言えないでいる淳市。

「ほら、さっさと着替えろよ」

 そう言った時、僕は淳市にとあるヒーローの全身タイツを渡した。そして、

「分かっていると思うが、僕に逆らえば、この間の動画がどうなるか、分かっているよな?」

 と言った。すると淳市は、

「…ク…ッ!!

 と一瞬、呻いたが、すぐに目を閉じると諦めたかのように溜め息を吐き、

「…分かり…、…ました…」

 と言って、着ていた服をゆっくりと脱ぎ始めた。

「こっち向けよ」

「え?」

 その時、淳市は僕に背を向けて服を脱ごうとしていた。

「お前の体、じっくりと見せてくれよ」

 僕がそう言うと、淳市は顔を真っ赤にし、体を震わせた。

「ヒーローのお前の鍛えた体を見せてくれよ」

「…分かり…、…ました…」

 すると淳市は、観念したかのように僕の方を向き、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。赤いチェックのシャツを脱ぎ、その下に着ていた黒いシャツの裾を捲る。それはつまり、はっきりと6つに割れた淳市の腹筋を目の当たりにすることを意味していた。その腹筋の下方にある臍。その臍がまた何ともエロティックで、そこからうっすらと淳市の男としての象徴を包み込む黒い茂みの先端部分が見えていた。

「…よ…ッ!!

 そう言った時、淳市の上半身が露わになった。

 

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