秘密の契約と心の闇 第21話

 

「…ッ!!…ぐ…ぅぅ…ッ!!

 地面に垂直に大の字に立っているカブトライジャー・霞一甲。臙脂色のシノビスーツが太陽に照らされてキラキラと輝いている。

「…ん…ッ!!…ぐお…ッ!!

 一甲がどんなに体に力を入れても、その体は微動たりともしなかった。

 目の前にいる中忍サクヤ。確か、「金縛りをかけた」と言っていた。そして、そう言ったサクヤの口元が、恐ろしいほど不気味に歪んでいた。

「(…ま、まずい…ッ!!)…ぬおおおおおおッッッッッッ!!!!!!

 一甲が雄叫びを上げ、何とかしてその呪縛を振り解こうとするが、体中が痺れているかのように言うことを聞かない。その時、

「ああ、無理無理!」

 とサクヤが一甲を蔑むような眼差しで言った。

「俺の金縛りは神経細胞に直接語りかけるんだ。つまり、本物の金縛りさ。だから、どんなに屈強な相手でも指一本動かすことは出来ないんだよ!」

 そう言うと、サクヤはゆっくりと一甲に近付いて行く。

「…本…物…?」

 一甲の頭の中で、サクヤの言葉が少しずつ理解されて行く。

「ああ、そうだよ」

 するとサクヤは、一甲に近付く足を一旦止め、クルリと背後を振り返った。そこには、ハリケンイエローにシノビチェンジし、呆然と佇む尾藤吼太の姿があった。光沢のある鮮やかな黄色のシノビスーツが、太陽の光を受けてキラキラと輝いている。

「お前には本当の金縛りをかけた。神経細胞に直接語りかける強力な金縛りをね!でも、あいつは違う。快楽に溺れるあまり、金縛りにかかった錯覚に陥ったのさ。つまり、あいつには俺は何もしていないのさ!」

 そこまで言うと、サクヤは再び足を進めた。

「…や、止めろ…ッ!!…来るな…ッ!!

 一甲の声が震えている。それが金縛りによるものなのか、恐怖によるものなのか、一甲本人ですら分からないでいた。

「フフッ!震えているのか?」

 サクヤはニヤリとすると、一甲の目の前に立った。そして右手を上げると、そのしなやかな指でカブトライジャーのマスクの頬の辺りをそっと撫でる。

「…お前にもいい夢を見させてやるよ…!!

 そう言うサクヤの指が、ゆっくりと一甲の体を下りて行く。頬、顎、首、肩。そして、サクヤの指が一甲の胸の辺りでクルクルと円を描くように動いたその瞬間、

「…ッ!!

 と突然、一甲がピクリと体を跳ねらせた。

「…貴…様…ぁ…ッ!!

 カブトライジャーのマスクの中で、一甲の顔が真っ赤になっているのがバイザー越しに窺えた。そんな一甲を更にバカにするかのように、サクヤは、

「フフッ!所詮はただのサル…か…!!

 と言いながら、一甲の左胸で指をクルクルと動かし続ける。そのしなやかな指先が一甲の胸の、まだ静かにしている突起に触れるたびに、

「…ッ!!…んク…ッ!!…んん…ッ!!

 と一甲の口から吐息が漏れ、体がビクビクと跳ねるのが分かった。

「あはッ!!おい、カブトライジャー。やはりお前も感じてるじゃないか!」

 そう言うとサクヤは一甲の背後に回り、羽交い絞めするかのように両腕を一甲の前へと回した。

「…なッ、…何をする…ッ!?

 頭だけは動かせるようで、一甲の頭がしきりに左右に動く。カブトムシをあしらったカブトライジャーのマスクの、神々しく光る角の部分が大きく揺れる。サクヤは一甲の首筋に顔を近付け、

「今からお前を処刑するんだよ!変態さん!」

 と囁くように言った。そして、両手を一甲の両胸の突起へ忍ばせ、ゆっくりと動かし始めたのである。

「んんんッッッ!!!!…やッ、…止めろおおおッッッ!!!!

 サクヤのしなやかな指が、一甲の筋肉質な胸の上で妖しい動きを繰り返す。

「ほぉら、感じるだろう?」

 サクヤの指が、一甲の胸の突起を引っ掻いたりくすぐったり、その周りで円を書くように動いたりする。そのたびに一甲は、

「…んッ!!…んあ…ッ!!…は…ッ…!!

 と艶めかしい声を上げ続ける。

「…んま…ッ、…ま…さ…か…ッ!?

 考えまいとしていたことが現実となっていることを信じられず、一甲が声を上げる。

「フフッ!その通りさ!」

 全てを見透かしているかのように、サクヤが言う。

「俺の金縛りはお前の神経細胞に直接語りかけると言ったよな?つまり、お前がこんなことに敏感になってしまっているのは、お前を金縛りにかけていると同時に、お前の体中を性感帯にするようにとも働きかけているんだよ!」

「うおおおおおおッッッッッッ!!!!!!

 一甲の体が少しずつ仰け反って行く。そして、ピンと張られていた筋肉質な太い足がガクガクと震え始めた。

 そして。

 一甲の2本の足の付け根。そこに静かに息づく一甲の男としての象徴・ペニス。それが少しずつ膨らみを増し始めていた。

「おやおや、お前の大切な部分が大きくなり始めているじゃないか?」

 するとサクヤは、

「吼太さぁん!」

 と、未だに呆然と座り込んでいる吼太を呼んだのだ。

「…あ…あぁ…!!

 その吼太は、間抜けな声を上げるだけで動こうともしない。

「…こ…ッ、…吼太ぁッ!!

 一甲が叫ぶ。

「…はッ、…早く…ッ、…サクヤを…ッ、…倒すんだぁッ!!

 だが吼太は、

「…サクヤ…様…?」

 と相変わらず呆然としている。

「ねぇッ、吼太さぁんッ!!

 サクヤが再び吼太を呼んだ。

「一甲さんも気持ち良くなりたいんだって!一緒に気持ち良くしてあげようよ!」

 その時、サクヤの目がギラリと光った。と同時に、それに呼応するかのように、吼太のハリケンイエローのマスクのバイザーが妖しく光った。その瞬間、

「…うぅ…ッ、…ぁぁぁぁああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と吼太が声を上げて立ち上がったかと思うと、ゆらゆらと一甲に近付いて来たのだ。

「やッ、止めろオオオオッッッッ!!!!吼太ああああッッッッ!!!!

 一甲が野太い声で叫ぶが、吼太は歩みを止めようとしない。

「さぁ、吼太さん!一甲さんのおチンチンを気持ち良くしてあげてよ!」

 一甲の背後でサクヤがニヤニヤしながらそう言った。その瞬間、吼太のハリケンイエローのマスクの前部が開いたかと思うと、

「…ぁぁぁぁああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 と奇声を上げ、吼太が一甲の足元へ跪いた。そして、一甲の股間へ顔を一気に埋めたのである。

「ぬおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!

 その瞬間、一甲の体に形容しがたい電流が流れたかと思うと、一甲が雄叫びを上げたのだった。

 

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