ちぎれた翼 第1話
異次元――。
そこは、人間の科学では証明することも出来ない世界。かつて、人間は異次元の世界を探求しようと何度も試みた。タイムマシーンに乗って、過去や未来へタイムスリップすることも、異次元世界へ行くことと同じことと考えられていた。どこかに必ず、時空の歪みが存在し、そこから他の次元の世界へ行けると考えられていた。しかし、それは結局は夢物語でしか過ぎなかったのである。
だが。
人間の想像力の限界を遥かに超えたところに、その次元は存在したのである。
キーンと言う音が聞こえそうなほど、静まり返った空間。そこに、巨大な亀の甲羅のような浮遊物があった。時折、それはゴウウウン、ゴウウウン、と言う低い振動音を響かせ、その空間に静かに漂っていたのである。
巨大魔城バイロック。裏次元から突如として現れた次元戦団バイラム。裏次元と言う想像を絶する場所から現れたその集団が、表次元、言わば現世を侵略しようとその機を窺っていたのであった。
ゴウウウン、ゴウウウン…。
コツコツ、コツコツ…。
低い振動音が響くその城内で、1人の少年がトコトコと足音を響かせながらテーブルに腰掛ける。
「あ〜あ、お腹空いたぁ…!」
座高の高めの椅子に座り、両足をブラブラとさせる。体のわりには大きなローブを身に纏い、それは白と黒でコーディネートされ、目元には真っ黒なバイザーが。そして、その口元は紫色をしていた。小学生か中学生に見える、その少年の名はトラン。
「おーい、ボクの奴隷さぁん!」
トランが呼び鈴を鳴らす。すると部屋の奥の方から、1人の男がトレイを持って現れた。そのトレイの上には、数々の料理が乗せられている。
「…」
精悍な顔付きの男が、トランを睨み付けるように歩いて来る。あるはずのマスクが取られていて、その表情が窺えた。
首元は白、そして胸へかけて鳥を模った装飾が施され、腕は黒、その手先は真っ白なグローブをしている。体は鳥を模った部分が黒く、それ以外は白。
そして下半身。股の部分はまるで競泳水着であるかのごとく、黒をベースとし、黄色のラインが入っている。太腿から脛にかけてはこれまた白色で、足元は真っ黒なブーツで覆われていた。
結城凱。ジェットマンの一員、ブラックコンドルとして、この次元戦団バイラムと戦っていた男。そんな彼が何故、このようなところに、しかも「奴隷」と呼ばれているのかは、後の話。
「遅いよぉ、ブラックコンドルぅ!」
トランがぷっと顔を膨らませる。
「…ク…ッ…!!」
凱はキュッと唇を噛んだ。そして、ニッコリと微笑むと、
「申し訳ございません、トラン様。お食事の準備に少々、時間がかかりまして…」
と言い、静かにトレイを置いた。ニッコリ微笑むとは建前で、その目はトランを憎々しげに睨み付けているようであった。
「…あのさぁ〜…」
トランはそう言うと、下がろうとする凱の腕をぎゅっと掴んだ。
「ッ!?」
凱がぎょっとした表情でトランを見る。
「…フフッ!」
不意にトランが笑った。
「…な、何でしょうか、…トラン…様…?」
体をブルブルと震わせながら、凱がニッコリとして恭しく、トランに問い掛けた。
「まだまだだね、キミは!」
トランはそう言うとぴょんと椅子から飛び下りた。そして、
「分かってるんだろうねぇ、キミの立場は?」
と、凱の背後に回りながら言い始めたのである。
「…ッ!!」
凱がトランの動きを目で追う。
「キミはさぁ、ボクに負けたんだよ?このボクにね!そして、キミはボクの奴隷になることを選んだ。つまりさ!」
そう言った途端、トランは凱の背後から腕を絡み付けた。
「な…ッ!?」
凱が驚いた瞬間、
「んッ!!」
と凱が呻いたのである。
「ほらぁ、もっとリラックスしなきゃあ!」
トランが凱の腰に纏わり付き、静かに言う。その両手は、凱の正面へ回されていた。そして、凱の2本の足の付け根、凱のペニスを妖しく撫で上げていたのである。
「…キミはボクの言うことを聞かなきゃ、ダメなんだよ。…ボクにされるがままなのさ!」
「…んッ!!…くぅ…ッ!!…や…ッ、…止め…ろ…ぉ…ッ!!」
トランの手が動くたびに、凱はビクビクと体を反応させる。
「ほぉら、大きくなって来たよ?」
トランが執拗に凱のペニスを撫で上げる。
「…や、…止めねぇか…ッ!!」
凱が何とかしてトランを振り払おうとする。だが、体が言うことを聞かないかのように、体に力が入らない。
「ほぉら、大きくなったぁ!」
トランが面白そうに言い、凱の正面に回り込んだ。
「…みッ、…見るなぁッ!!」
凱が慌てて股間を押さえる。
「フフッ!今更、隠したって無駄だよ!ボクは今まで何度もキミのを見て来ているじゃないか!」
トランが勝ち誇った笑みを浮かべる。
「…こんのぉッ!!」
凱はそう言うとトランの両肩を掴んだ。
「いいかッ!これだけは言っておく!オレはなぁ、男が大嫌いなんだッ!!ましてやッ、男に男の大切なものを触られるなんざぁ、一番我慢がならねぇんだッ!!」
「じゃあ、ホワイトスワンだったらいいわけ?」
「んなッ!?」
突拍子もないことをトランが口にした。凱は思わず目をパチクリさせる。
ホワイトスワン。ジェットマンとして一緒に戦い、一度は恋仲になった、鹿鳴館香のことである。
「フフッ!ボクが知らないとでも思ったぁ?」
するとトランは胸の前で両手を組み、神に祈るような仕草を見せた。
「あぁ!!愛しの、オレのホワイトスワンちゃんッ!!」
「てんめぇッ!!」
カッとなった凱がトランに殴り掛かった。次の瞬間、凱の拳は宙を切っただけであった。
「アハハハッ!!」
背後から笑い声がし、凱が振り返る。
「こんのォッ!!」
凱は再び拳を繰り出す。しかし、またもや、それは宙を切っただけであった。
「アハハハッ!!無駄だよッ!!」
トランの声が聞こえたその時だった。
「うわああああッッッッ!!!!」
凱は体が引っ張られるような感覚を覚え、次の瞬間、背後の地面へ体をしたたかに打ち付けていたのである。
「くわあああッッッ!!!!」
背中を打ち付け、思わず腰を高く上げる凱。
「まだボクに逆らう気?」
声がした瞬間、凱はぎょっとなった。トランが自分の真横に立っていたのである。
「…て、…てめ…え…ッ!!」
凱が立ち上がろうとしたその時だった。横からグリナム兵が2人やって来たかと思うと、凱の両腕を抱え、立ち上がらせたのである。
「んなッ!!…は、…離せ…ッ!!…離しやがれぇッ!!」
凱がどんなに暴れても、グリナム兵の腕が振り解けない。
「くっそぉッ!!どうなってんだぁッ!?」
凱の声がひっくり返る。相当、頭がパニックになっているようだ。
「やれやれ。キミはさぁ、もう少し、物事が冷静に判断出来ないのかなぁ?」
そう言うとトランは、腕に付けているキーパッドメタルトランサーに指をかけた。
「…や、…止め…ろ…!!」
それを見た瞬間、凱が俄かに震え始めた。トランはニヤリとすると、
「…お仕置きだよ、…ブラックコンドル…!!」
と言った。
「…止めろっ!!止めろォォォッッッ!!!!」
凱が叫ぶ。だが、トランは静かにキーパッドのボタンを押した。
ピッ!
高い音が一瞬響いたその時だった。
「んあッ!?ああッ!!ああッ!!くああああああッッッッッッ!!!!!!」
突然、凱が体をビクリと跳ねらせ、叫び始めた。と同時に、凱の股間がざわざわと音を立て始めたのである。
「くああああッッッッ!!!!やッ、止めろオオオオッッッッ!!!!うぅああああッッッッ!!!!」
凱の股間。凱のペニスが、誰にも触られていないのにざわざわと上下するように黒い競泳水着のような部分を持ち上げていたのである。
「あああああッッッッッ!!!!」
凱は顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じている。
「アハハハハッ!!!!」
トランがケラケラと笑う。
「やっぱりキミにはこのお仕置きが効くようだね!キミの大切なところに打ち込んでおいて正解だったよ!」
トランはそう言うと、再びキーパッドを操作した。
ピッ!
再び、高い音が響いた。
「んあッ!?ああッ!!ああああッッッッ!!!!ああああああッッッッッッ!!!!」
凱の体が、まるで何かに拘束されているかのように、何もないところで大の字に立っていたのである。グリナム兵も、いつしか消えていた。
「ほぉら!じゃあ、マスクも付けてあげようね!」
トランが再びキーパッドを操作すると、凱の精悍な顔付きが消え、そこへ黒いコンドルを模ったマスクが現れた。
「…たッ、…頼む…ッ!!…もう…ッ!!…止めてくれえええええッッッッッ!!!!!!」
凱の叫び声がますます大きくなる。とその時だった。
グチュッ!!グチュグチュ…ッ!!グチュグチュグチュ…ッ!!!!
凱のペニスが黒い競泳水着の中で臍へ向かって真っ直ぐに立ち、その先端からは粘着質な液体が溢れ始めていたのだ。
「アハハハハッ!!!!もう少しだねッ!!」
トランがそう言った時だった。
「うわああああッッッッ!!!!」
凱の体がふわりと浮き、地面に仰向けに倒れ込んだ。そして、腰をグンと突き上げたのである。
「さぁッ!!キミのお仕置きの時間だよッ!!」
トランはそう言うと、キーパッドのボタンを押した。
ピッ!!
「ぐぅわあああああああッッッッッッッ!!!!!!!!」
トランのボタン操作と、凱の絶叫が同時だった。
ドビュッ!!ドビュドビュッ!!ドビュドビュドビュッ!!!!
凱のペニスの先端が弾け、そこから大量の精液がスーツを突き破るかのようにして飛び出して来た。
ビチャッ!!ビチャッ!!
凱は今、腰を突き上げているため、飛び出した精液が弧を描き、ブラックコンドルのマスクへまともに降り注いだ。
「…く…ッ!!…はぁ…ッ!!…はぁ…ッ!!」
何度か腰をビクビクと跳ねらせた後、体から力が抜け、凱は床に大の字に伸びた。荒い呼吸をする胸だけが、大きく上下運動を繰り返していた。