ちぎれた翼 第8話
光沢のある鮮やかな白と黒の生地であしらわれたブラックコンドルのバードニックスーツ。クロスチェンジする結城凱の体に密着するように纏わり付くそれは、凱の体の肉付きをくっきりと浮かび上がらせていた。
その中でも今、一際、その肉付きを目立たせる部分が1箇所だけあった。
「…あ…、…ぐぅ…ッ!!」
地面に倒れ、大の字になって身動きが取れない凱。そんな凱の2本の足の付け根。凱の体の中で静かに息づいていた部分が異様に盛り上がっていたのだ。
「君のオチンチン、大きくなっちゃったね!!」
足元にはトランがニコニコ、いや、ニヤニヤしながら立っていた。
「…て、…て…め…え…ッ!!」
体中がズキズキと痛む。特に異様に盛り上がっている凱の男としての象徴は。
あまりに調子に乗って悪戯ばかり仕掛けて来るトランに爆発した凱。怒りのあまり、トランにとって最も侮辱的な言葉である「クソガキ」と言う言葉を放った途端、トランが豹変した。そして、身動きが取れない凱の股間を何度も何度も蹴り上げたのである。
男にしか分からない痛みを何度も与えられ、意識が遠のこうとするたびにまた激痛が襲い、現実に戻された。
今、凱のバードニックスーツの下腹部、競泳水着のような形にあしらわれている黒い部分の中心で、凱のペニスが真っ直ぐに臍へ向かって伸び、その形をクッキリと表わしていたのだ。
「…う〜ん、…凄くエッチだねぇ…!!」
トランがやって来ると、凱の横にしゃがみ込んだ。
「…君のオチンチンってさぁ、凄く太いんだね!しかも大きいし!」
「…や、…止めろ…ッ!!」
ブルブルと体が震える。ブラックコンドルのマスクの中が物凄く暑い。それだけ顔が火照っていると言うことだろうか。
「それに、先端なんかさぁ、クッキリと剥けていて大人って感じだね!!それにタマもデカイし!!おっと、それはボクが思い切り蹴っ飛ばしたからかなぁ!!」
「止めろォォォッッッ!!見るなぁぁぁッッッ!!!!」
凱が怒鳴る。
「…く…っそぉ…ッ!!」
凱が何とかして体を動かそうとする。だが、あまりの激痛に、思うように体が動かない。
「…フフッ!!」
するとトランは小さく笑い、立ち上がると再び凱の股の間に立った。そして、右足を振り上げたかと思うと、凱の勃起したペニスへ乗せ、にじり始めたのである。
「…ぐッ!?…ああッ!!…ああッ!!ああッ!!あああッッッ!!!!あああッッッ!!!!」
突然の刺激に体をビクリと跳ねらせ、凱が苦悶の声を上げる。
「フフフッ!!!!」
トランの足に徐々に力が加わって行く。そして、凱のペニスを踏みにじる足が、徐々に睾丸へ向かって移動し始めたのである。
「…やッ、…止めろッ!!止めろ止めろ止めろッ!!止めろオオオオッッッッ!!!!」
あの独特の痛みが凱を襲い始める。
「うぐおわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!」
体を弓なりにして絶叫する凱。
「止めろオオオオオオッッッッッッ!!!!!!止めてくれええええええッッッッッッ!!!!!!」
本当に潰される、凱には恐怖心しかなかった。
「…止めて欲しいの?」
トランがニヤニヤしながら、凱を見下ろしている。凱はガクガクと頭を上下に振ると、
「たッ、頼むからッ!!止めてくれえええッッッ!!」
と叫んだ。
今の凱にはプライドも何もなかった。ただ、命の次に大事な場所をこれ以上、傷付けられたくない、そう思っていたのだ。
「…しょうがないなぁ…」
トランはそう言うと、凱の股間を踏み付けている足をゆっくりと上げた。
「…ッ!!…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!」
凱のブラックコンドルの胸が大きく上下する。
「そうだよねぇ。君のとっては、君のオチンチンは、女を堕とすための武器だもんねぇ!!」
ヒャッヒャと笑うトラン。
「…んなッ!?」
カッと頭に血が上る。だが、凱はそれをぐっと堪え、ブルブルと震える拳を握り締めるだけに止まった。
「…あれ?あれあれ?」
トランが驚いた表情を見せる。
「怒鳴ったりしないの?」
「…フッ!」
凱はそう笑うと、
「ああ!オレは大人だからな!」
と言った。その言葉に、トランがムッとした表情を見せる。
「…じゃあさ!」
トランはそう言うと、さっと手を伸ばし、勃起し続けている凱のペニスをキュッと握った。
「んあッ!?」
突然のことに素っ頓狂な声を上げる凱。そして、次の瞬間、
「どッ、どこを触ってやがるッ!!止めろオオオオッッッッ!!!!」
とトランを怒鳴り付けた。
「うわあッ!!思った以上に、君のオチンチンは硬くて熱いんだねぇ!!」
トランは凱の怒鳴り声を無視するかのように、その大きく勃起した凱のペニスを何度か握り続けた。
「あッ!!あッ!!」
そのたびに凱が声を上げる。
「アハッ!!ボクに触られて感じちゃってるのぉ!?」
トランがヒャッヒャと笑う。
「んなッ!!…あッ!!…バ、…バカ…、…あッ!!…言ってんじゃ、…ねぇ…ッ!!」
ビクビクと体を跳ねらせながら、凱が呻くように言う。
「…たッ、…頼むからッ、…もうッ、…止めて、…くれ…ッ!!」
するとトランは、凱のペニスを握る手を離した。そして、
「じゃあ、ボクのお願いを聞いてくれる?」
と言って来たのだ。
「…お願い?」
嫌な予感が凱の脳裏を掠める。
「…ねぇ、ブラックコンドルぅ…」
と突然、トランが凱の体の上に、折り重なるように伸し掛かって来た。
「うぅわああああッッッッ!!!!」
ゾクゾクとした悪寒が凱の背筋を駆け抜ける。
「ななな、何だよッ、いきなりぃッ!!」
「…あのね…」
次の瞬間だった。トランの口元がニヤリと不気味な笑みを浮かべたかと思うと、
「…ボクの奴隷になってよ!!」
と言い、キーパッドメタルトランサーを操作した。
ピッ、と言う甲高い音がしたと思った瞬間、凱の体が宙に浮き始めた。そして、
「うわあああああッッッッッ!!!!!!」
と叫び声を上げた瞬間、凱の体が光に包まれ、トラン諸共、そこから姿を消したのだった。