ちぎれた翼 第11話
「…んッ!!…んんッ!!…ああッ!!…は…ッ!!」
ゴウウウン、ゴウウウンと言う何かが蠢く音が聞こえる暗い空間で、ブラックコンドルにクロスチェンジした結城凱が身悶えていた。
「…やッ、…止めろ…ぉ…ッ!!」
バイラムの拠点に無理矢理連れて来られ、両手を大きく広げて拘束されている。そして凱が身悶えするたびに、凱の両手を拘束している鎖がギシギシと音を立てた。
「…くっそ…ぉ…ッ!!…離せ…よ…ぉ…ッ!!」
ぱっと見上げるだけでは見えないほど、高い天井。そのどこからこの鎖が垂れ下っているのか聞きたくなる。だが、今の凱にはそんなことを考える余裕はなかった。
「…だッ、…だからッ、…止めろって…!!」
凱がブラックコンドルにクロスチェンジして、身悶える理由がもう1つあった。
長身の凱の足元で、もぞもぞと動く1人の少年。バイラムの幹部の1人・トランだ。
「ウフフ…!!」
バイザーで隠れているので分からないが、目をキラキラと輝かせているに違いない。頬を赤らめ、ニコニコとしている。
「本当に大きいなぁ…!…ブラックコンドルの大事なところ…!!」
そう言いながらトランは、凱の男の象徴であるペニスと睾丸をゆっくりと撫で回していたのである。
「…だッ、…だからッ!!…へッ、…変なとこ、…触んじゃねぇ…っつってん…だろうが…ッ!!」
人間の年齢にしたら小学生くらいだろうか。そんなトランに、自分のプライドとも言えるべき場所を何度も触られる。いや、触ると言う生易しい表現ではない。手のひらを大きく広げ、凱のペニスと睾丸を包み込むように、揉み込むようにして刺激する。その手は徐々に凱の股の間奥深くへ侵入し、股下とも言えるべき場所をも刺激するようになったのである。
トランの手が股下の方へ動く時、上を向いて静かに収まっている凱のペニスは裏筋を引っ張られ、軽い痛みを覚える。そして、その手が睾丸を包み込むと、グニグニと言う感触が伝わり、トランの指先は股下を優しく撫でる。
逆に、トランの手が臍の方へ上がって来る時、股下を妖しい手付きで撫で上げ、2つの睾丸を持ち上げるようにする。そして、ペニスの裏筋をゆっくりと撫でる。その手がペニスの先端に触れるたびに、
「んあッ!!」
と言う喘ぎ声を、凱は上げてしまうのだった。
「ん〜、手触りもいいし、その喘ぎ声も最高だねッ!」
トランが嬉しそうに言う。
「…こんの、…くそ…!!」
クソガキと言いかけて口をグッと閉じた。これ以上、あの地獄の痛みを味わいたくない。
「あれれ?今、何か言いかけなかった?」
ニヤニヤと笑うトランが憎らしい。だが、凱はグッと言葉を堪えると、
「…べッ、…別にッ!!…んなッ、…何でもねぇよ…ッ!!」
と言い、ぷいっとそっぽを向いた。
「フフッ!」
トランは笑うと、
「じゃあ、君にはご褒美をあげなきゃねぇ!!」
と言い、それまで凱の股間を包み込んでいた手のひらを一旦離すと、5本の指を立てた。そして、小刻みに指をくるくると動かし始めたのである。
「んなッ!?あッ!!あッ!!ああッ!!ああッ!!」
ペニスや睾丸、股下をくすぐられるような感覚に、凱は思わず声を上げる。特に、トランの指が自身のペニスの先端へ来た時、そして睾丸をやわやわとくすぐった時、言いようのない電流が凱の体に流れたかのように、
「あああッッッ!!!!っく…ッ!!…んあああああッッッッッ!!!!!!」
と、凱が体をビクビクと跳ねらせながら、思わず体を仰け反らせた。
「どう?気持ちいいでしょ?」
トランが満足気に声を上げる。
「…んだッ、…誰が…ッ!!…くああああッッッッ!!!!」
何かを言いかけると、トランの指が凱の敏感な場所をくすぐる。
「あああッッッ!!!!あああッッッ!!!!ああああああッッッッッッ!!!!!!」
頭が真っ白になるほど、物凄い感覚が凱を襲う。
「気持ちいいなら、気持ちいいって言えばいいのにさぁ…!!」
凱の腰の周りで、トランがぷっと顔を膨らませて言った。
「…いッ、…いい加減にッ、…しやがれええええッッッッ!!!!」
思わず叫んだその時だった。
ドクンッ!
突然、凱の心臓が大きく高鳴った。
「…え…?」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。だがその時、凱は体がじわじわと火照り始めるのに気付いていた。
「…なッ、…何だ…ッ、…この、…感覚…は…!?」
トランはさっきと同じように、凱のペニスと睾丸の上で、指をくりくりと単調に動かしているだけだ。だが、凱の体は更に熱を帯び始めていた。
ドクンッ!
再び、凱の心臓が大きく高鳴った。
「…う…ぁぁ…!!」
その頃には、凱の体は抵抗を諦めたかのように、身動ぎ一つしなくなっていた。その代わりに、下半身からドクンドクンと、何か熱いものが体を覆い始めているのが分かった。
「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!」
いつの間にか、凱の呼吸も荒くなっていた。そして、火照った顔からは熱が放出され、ブラックコンドルのバイザーが白く曇り始めた。
「…い、…いったい、…ど、…どうしちまった…って言うんだ…!!」
首をガクンと垂れ、トランに股間を相変わらず触られ続ける凱。
「…か、…体が、…熱い…!!」
その時だった。
ドクンッ!!
今までになかったほどの大きな動悸が、凱の胸を物凄い勢いで打ち付けた。
「くああああッッッッ!!!!」
その勢いに、凱が体を大きく仰け反らせる。
そして。
じんじんと言う痺れに似た感覚と、締め付けられるような痛みが、凱の下半身を熱くした。
「…あ…、…あぁ…!!」
自身のペニスを見た凱が声を震わせる。
凱のペニス。
黒い生地に黄色の縁取りをあしらった競泳用水着のようなデザインの中で、凱のペニスが大きく勃起し、その形をはっきりと現していたのである。
「…て…め…え…ッ!!」
意識がぼんやりとする。凱は目を凝らし、目の前でニヤニヤと笑っているトランをマスク越しに睨み付けた。
「…何か、…しやがったな…!?」
「正解〜♪」
トランが不気味なほどニヤリと口元を歪めた。
「ただ、君の大切なところを触っているだけだと思ってた?」
そう言うとトランは、右手人差し指を立ててチッチと舌で音を立てて左右へ振る。
「僕はサイキックだよ?僕の手から特殊な気を送り込んで、君の大切なところを感じやすくしたのさ!まぁ、一種の媚薬ってやつだね!!」
その時だった。トランがバイザーをクイッと上げたのである。
「!!」
その顔を見るや否や、凱は恐怖に慄いた。
トランの表情。子供とは思えないほど、目はギラギラと輝き、口は不気味に笑みを浮かべ、歪んでいた。魔物そのものの顔だった。
「さぁ、どうやってお前をもっと甚振ろうか…!!」