ちぎれた翼 第12話

 

 …ジャラ…ッ!!…ジャララ…ッ!!

 薄暗く、真っ白なガスが足元を漂う、だだっ広い空間。その中に、乾いた金属音が響く。

 そのだだっ広い空間、前を見ても後ろを見ても突き当たりが見えないその空間に、キラキラと輝く光沢のあるスーツを身に纏った男性が大の字に吊り下げられていた。その腕と足には真っ黒な鎖が巻かれている。

 ブラックコンドル・結城凱。光沢のある黒と白を基調としたバードニックスーツで包まれた彼の体は、その腕、胸や腹、そして足の筋肉を隆々と浮かび上がらせていた。それが、どこからか射し込まれる光に反射し、妙なエロチシズムを浮き立たせていたのである。

 そして。

 彼の2本の足の付け根。男子としての象徴であるペニス。何もされていなければ、競泳水着のような形をあしらった黒い部分の中に、ふっくらとその膨らみを形成しているだけだった。

 そう。何もされていなければ…。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ…!!

 ブラックコンドルの、コンドルをあしらったマスクの中から荒い息遣いが聞こえる。その息遣いは相当荒いのか、マスクのバイザーが時折、白く曇った。

 大の字に吊り下げられた状態の凱は、時折、体を動かす。その目は、目の前のある一点だけをじっと見据えていた。

「…フフ…ッ!!

 目の前には、凱と同じように黒と白を基調とした衣服を身に付けている1人の少年がいた。バイラムの幹部の1人、トランだ。

「さぁ、どうやってお前をもっと甚振ろうか…!!

 その少年とは思えないほどの、ギラギラと野獣のように光る目、不気味な笑みに歪む口は、凱を慄かせていた。

「…や、…止め…ろ…!!

 凱は思わず恐怖に後ずさる。

 …ジャラララッ!!

 だが、その動きは、凱の腕と足に絡み付いた鎖によって封じ込まれた。

「…は、…離せ…ッ!!

 意識が朦朧とする。

 その時だった。

 トランが動いたかと思うと、凱の体にしっかりと抱き付いたのである。次の瞬間、

「んあああッッッ!!!!

 と凱が叫び声を上げ、頭を天井の方へ上げたのである。

「…熱い…!」

 トランが一言呟く。

「…キミの体、物凄く熱いよ…。…余程、僕の薬が効いたんだね…!!

 そう言いながら、トランはゆっくりと両手を下ろしたかと思うと、凱の筋肉質な尻を両手でグッと握ったのである。

「んああああッッッッ!!!!

 その途端、凱が物凄い声を上げながら、体を仰け反らせた。

「フフフッ!!どうだい、僕の薬の威力は?」

 そう言いながら、ゆっくりと凱の尻を撫でるトラン。その指が凱の尻の外側へ動き、ゆっくりと円を描き始めた途端、

「ああッ!!ああッ!!ああッ!!

 と凱が悲鳴にも似つかない喘ぎ声を上げ、体をビクビクと跳ねらせ始めたのである。

「ンフフフ…ッ!!

 トランは低く笑うと、その手をゆっくりと凱の脇腹へ向かって上げ始めた。

「んああああッッッッ!!!!ひああああッッッッ!!!!

 トランが凱の脇腹に触れた途端、凱が体をブルブルと震わせて更に声を大きくさせた。

「相当、効いているようだねぇ。ブラックコンドルが凄く喘いでるよぉ?」

 トランは嬉しそうに、何度も何度も凱の脇の下から脇腹、尻へと指を這わせる。そのたびに凱は、

「はああああッッッッ!!!!んああああッッッッ!!!!

 と声を上げることしか出来ない。その時、トランの目がギラリと光った。そして、腰をくの字に折り曲げている凱の耳元へ顔を近付けると、

「変態ヒーローさん!」

 と言い、今度は凱の股間をキュッと握ったのである。

「はうあああああッッッッッ!!!!!!

 凱の体が何度もビクビクと跳ね、思い切り体を仰け反らせた。

「フフッ!ブラックコンドルったら、そんなに感じちゃってるの?」

 そう言いながら、トランは凱の大きく勃起したペニスを何度も何度も静かに擦る。

「…か、…感じて、…んくッ!!…な、…なんか、…ああッ!!…いねえ…ッ!!

 ブンブンと首を左右に振り、必死に抵抗する凱。だが、頭だけが動くだけで、体は全く抵抗を見せない。

「そのわりには、お前のここ、こんなに大きくなってるけどぉ?」

 トランはそう言うと、凱のペニスから手を離し、凱の目の前にしゃがみ込んだ。

「すっごいよね、ブラックコンドルのここってさ!」

 ちょこんと凱の目の前にしゃがみ込み、スーツの中で大きく勃起している凱のペニスを視姦するトラン。

「…や、…止めろ…!!

 凱の声が、凱らしくもなくブルブルと震えている。

「スーツの中にあるって言うのに、凄くクッキリしてるよね!先端なんかさぁ、さすがに大人って感じだよね!きれいな形をしてるよ!」

「…う、…あぁ…!!

 トランの揶揄に思わず顔を赤らめる凱。体中の熱気が頭に全て移動したかのように、マスクの中が更に熱くなった。

「それにさぁ、ずっと思ってたんだけどさぁ、ブラックコンドルのここってさぁ、凄くデッカイんだね!太いし、凄く硬いし。タマも物凄くコリコリしてるしね!」

「…い、…言うなああああッッッッ!!!!

 その時、凱が大声を上げた。

「…はぁ…ッ!!…はぁ…ッ!!

 荒い息をする凱。体全体が大きく揺れているように見える。

「…い、…いいかッ!!…これだけは、…言っておく…ッ!!

 トランはきょとんとして凱を見上げている。

「…オ、…オレ…は…ッ!!…んなことを、…男であるお前に言われても、…嬉しくも、…何ともねえッ!!…それよりも、…男のお前に、…そうやって言われるのが、…一番、…ガマンならねぇんだッ!!

「…ふぅん…」

 その時だった。トランがやや悲しげな表情を見せた。

「…お、…おい、…ト、…トラン…?」

 さすがの凱もこの豹変ぶりには戸惑いを隠せなかった。

「…じゃあ…」

 トランがスクッと立ち上がった。

「…じゃあ、…君には…」

 トランの目がギラリと光った。

「…君には、サンドバッグになってもらうしかないよねぇッ!!

 そう言った時だった。トランの右腕が物凄い勢いで動いたと思った次の瞬間、

 ドゴォォォッッッ!!!!

 と言う音がした。

「…あ…あ…あ…!!

 凱の体がくの字に折れ曲がり、硬直している。

「…ぁぁぁ…!!

 凱の大きく勃起したペニス。その下の、トラン曰く、コリコリした睾丸。そこに、トランの右拳が減り込んでいた。

「…ぁぁぁぁああああッッッッ!!!!うぅわああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!

 次の瞬間、凱の絶叫が辺り一面に響き渡った。

 

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