ちぎれた翼U 第8話

 

 冷たい風が吹き抜ける荒野の中に立った真っ白な十字架。まるで拘束されたものにより、様々な色に染められるのを待っているかのように。

「…止…めろ…!…止めてくれ…!」

 その十字架に、光沢のある赤と白を基調としたスーツを身に纏った男性が両手両足を拘束され、まさに磔状態になっていた。レッドホーク・天堂竜。彼の体全体を覆っているはずのバードニックスーツは上半身を大きく引きちぎられ、彼の隆々とした筋肉美を晒していた。

「…はぁ…ッ!!…はぁ…ッ!!

 そんな竜の目の前には、白と黒を基調とした目つきの鋭い男性が荒い呼吸をして立っている。次元戦団バイラムの一幹部・トランザ。銀色に逆立った髪はゆらゆらと揺れ、同じようにゆらゆらとするオーラが垣間見える。目は野獣のようにギラギラと輝き、口元は不気味に歪んでいる。心なしか顔が紅潮しても見えた。そして、彼の下半身、2本の足の付け根が心なしか盛り上がっているようにも見えた。

「…ククク…!!

 トランザが低く笑う。

「…美味そうな体をしているな、レッドホーク…!」

 そう言ったトランザはゆっくりと竜に近付いて行く。

「…くッ、来るなッ!!…来るなああああッッッッ!!!!

 上半身が裸同然の竜が、取れるはずのない両腕の拘束を無理に振り解こうとする。そのたびに、彼の手首を拘束している留め金がガチャガチャと音を立てた。そして、うっすらと灼けている逞しく発達した胸の筋肉が、太陽の光を浴びて淫猥にきらきらと輝く。

「…素晴らしいぞ、レッドホーク…!」

 その時、トランザは右手をすぅっと上げたかと思うと、人差し指を竜の胸骨の一番上に当てがった。そして、その指をゆっくりと竜の筋肉に沿うように下ろし始めたのだ。

「…何と神々しいのだ、貴様の体は…!…他の奴等とは違い、最初からジェットマンになることを運命付けられた者だな…!」

 そして、トランザの右手の人差し指はクッキリといくつにも割れている竜の腹筋へと辿り着く。

「…これを置物として保存するのもありだな…!」

「…な、…んだと…!?

 竜は思わず目を見開き、トランザを睨み付ける。するとトランザはフンと笑い、顔を竜の顔の目の前へ寄せる。

「俺のコレクションになれ!そうすれば、永遠に良い夢を見させてやるが?」

「断るッ!!

 トランザの言葉を遮るかのように、竜が大声を上げる。

「さっさとこの拘束を外せッ!!正々堂々と勝負しろッ、トランザぁッ!!

 その時だった。

 ドスッ!!

 鈍い音が聞こえたと思った次の瞬間、

「…ぐふ…ッ!!

 と言う竜の呻き声が聞こえた。

 竜の神々しいほどの腹筋に黒いグローブで覆われた拳が減り込んでいる。

「口の利き方に気を付けろッ、レッドホークッ!!

 不機嫌顔のトランザが竜を睨み付けている。

「貴様など、俺の指一本で簡単に仲間の元へ送ることだって出来るのだ!」

「…ク…ッ!!

 仲間とは、トランザの成長前、トランの姿の時に執拗に陵辱を受け、再起不能にさせられたブラックコンドル・結城凱のことである。するとトランザはフッと笑うと、

「まぁ、オレがヤツを呼ぶのも容易いことだがな!」

 と独り言のように言った。

「だが今は!」

 そう言ったトランザがウットリとした表情を見せ始めた。

「…ひ…ッ…!!

 全身に鳥肌が立ち、竜は思わず顔を仰け反らせる。

「…その前に、…お前に良い夢をみせてやるのだったな…!」

 すると、トランザは顔を竜に近付け、適度に日灼けた竜の右側の胸の、ココナッツ色の突起に近付き、ペロリと舐め上げた。その時だった。

「んあッ!?

 と竜が目を見開いて叫んだかと思うと、体がビクリと跳ねた。

「…フフッ…!」

 トランザが悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「…んな…ッ、…何…だ…ッ、…今の…は…ッ!?

 その竜の言葉に、トランザが不意に吹き出す。

「…貴様ッ、経験なしか…!?…こいつはいいッ!!

 トランザは顔を紅潮させ、ゆっくりと舌なめずりをする。

「…レッドホークの体、…じっくりと開発してやろう…!」

 するとトランザは、竜の右胸の突起に口付けをした。

「んああああッッッッ!!!!

 竜が体を弓なりにして悲鳴を上げる。

 …チュクッ!!…クチュクチュ…ッ!!…チュクチュクッ!!

 暫くすると、竜の右胸の突起から淫猥な音が聞こえ始めた。同時に、

「…んッ!!…んん…ッ!!…ク…ッ!!…あッ、…はぁ…ッ!!

 と言う竜の艶めかしい声も。

「…はぁ…ッ、…はぁ…ッ!!

 そのうち、竜の顔が真っ赤になり、目が虚ろになった。そんな竜の表情を上目遣いで見たトランザは、

「…フッ!!

 と笑みを零すと、

「…どうだ、レッドホーク…!!…感じるだろう?…気持ちいいだろう?」

 と顔を竜の顔へ近付けて尋ねる。

「…ッ!!

 勝ち誇った顔のトランザを見た竜は思わず歯を食い縛り、ぷいっと横を向く。

「フフッ!答えぬか。…まぁ、いいだろう…!」

 余裕の笑みを浮かべるトランザ。竜の顔から自身の顔をゆっくりと離し、再び竜の右胸のココナッツ色の突起へ近付ける。

「…あ…あ…あ…あ…!!

 トランザの顔を目で追っていた竜が思わず声を上げる。

「忘れるな!胸が感じるのは女だけではない!男とて同じなのだ!所詮は人間なのだからな!」

 トランザはそう言うと、今度は竜の左胸のココナッツ色の突起をペロリと舐め上げた。

「んんッ!!

 竜は声を上げ、体をビクリと跳ねらせるものの、右胸のそれほどではなかった。するとトランザはちょっと驚いた表情を見せ、

「ほう!貴様は右の方が特に感じやすいのだな!」

 と言い、物凄い勢いで竜の右胸に再びむしゃぶり付いたのである。その途端、

「んああああああッッッッッッ!!!!!!

 と竜が再び体を弓なりにし、物凄い声を上げた。

 …ジュクッ!!…ジュクジュクッッッッ!!!!

 トランザの舌が、竜の右胸の突起を転がす。

「ああッ!!ああッ!!…くあッ!!…ああああッッッッ!!!!

 竜が頭をぶんぶんと左右に振り、懸命にその刺激に耐えようとする。拘束されている四肢はブルブルと震え、両の拳は握ったり開いたりを繰り返す。

「…止めろおおおおッッッッ!!!!…止めてくれええええッッッッ!!!!

 体がじわじわと熱くなって来る。その感覚への戸惑いと、じんじんと込み上げて来る下半身の違和感に、竜は戸惑っていた。

 

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