ちぎれた翼V 第5話
ホークコンドルに羽交い絞めにされて、無様な醜態を晒しているイエローオウル・大石雷太。
「…や、…止めて…!」
マスクが取れたその顔には、先程のホークコンドルの業火による煤が付き、真っ黒になっていた。メガネの奥の瞳は潤み、ぽろぽろと涙が頬を伝った。
「…やれやれ…」
そんな雷太の目の前にはバイラムの幹部・トランザがちょっと不機嫌そうな表情で立っていた。
「…イエローオウル。…お前は戦士としての、ジェットマンとしてのプライドはないのか?…レッドホークやブラックコンドルとは大違いだな…!」
「…そッ、…それは…ッ!!」
言いかけて口を閉じた。
もともと戦いを好まない性格だった雷太。来たるバイラムとの戦いに備えてプロフェッショナルに訓練を受けていた竜と、小さい頃からやんちゃを繰り返し、喧嘩が絶えず、それゆえ、自然に鍛えられていた凱とは大違いだった。そんな、2トップとも言えるべき2人をトランザに奪われた雷太。
とは言え、雷太だってプライドくらいはあった。ジェットマンの中で残された男子メンバーは自分だけ。ホワイトスワンの鹿鳴館香、そして、ブルースワローの早坂アコを守らなければならないと言う思いがあった。
「…くっそおおおお…ッッッッ!!!!」
懸命に体をもがく。
「…お、…おいッ、ホークコンドル!…放せよッ!!…放せったらッ!!」
だが、相当のダメージを負っているせいか、いくら巨漢の雷太でもホークコンドルは微動だにしないまま、ただ、羽交い絞めにされている腕の中でもがいているようにしか見えなかった。
「フハハハハ…!!!!」
とその時、トランザがツカツカと歩いて来た。そして、雷太のふっくらした両胸を両手で鷲掴みにしたのだ。
「んなッ!?」
雷太の目がきょときょとと忙しなく動いている。するとトランザは目を細めて、
「…ほう…」
と言った。
「レッドホークやブラックコンドルのここは硬いだけだった。筋肉質と言うかな。だが、お前のは違う」
そう言うとトランザの両腕がゆっくりと雷太のそこを揉み込み始めた。
「んなッ!?」
その瞬間、雷太の顔が真っ赤になった。
「…ちょッ、…ちょっと…ッ!!」
「…フン…!!」
トランザの、雷太の胸を揉む手付きが異常に淫猥で、雷太は思わず体を仰け反らせる。そして、
「女のここを揉むのとはまた違った味わいがある。これはこれでいいかもしれんな…!!」
と言ったのだ。
「…な、…何を、…言って…!!」
言いかけた途端、
「んあッ!!」
と素っ頓狂な声を上げた。
「…あ…あ…あ…!!」
雷太の視線がゆっくりと下りて行き、そこを見た途端、更に顔を赤らめた。
「…ククク…!!」
雷太の両胸を揉みしだいていたトランザ。その中心に浮かび上がった2つの突起を、トランザの両手の親指、人差指、中指がキュッと摘まんでいたのである。
「…さあ…!」
トランザがニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながらそう言った時、その指がクリクリと、まるでネジを摘まむかのように左右に動き始めたのだ。
「んあッ!?ああッ!!ああッ!!」
その刺激を甘受してしまい、雷太は喘ぐ。
「…んど…ッ、…どう…して…ッ!?」
「どうしてこんなことをされて感じてしまうのか、か?」
するとトランザは、今度は雷太の胸の突起をくすぐるように、両人差指で刺激し始めたのである。その途端、雷太の体にはそれまでとは違った電流が流れ、
「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!」
と思わず喘ぎ声を上げた。
「…フフッ…!!…別に男も女も関係ないのだ。男とて女と同じ人間。胸だろうと、他の場所だろうと、感じるところは同じなのだ!」
「ああッ!!ああッ!!ああッ!!ああッ!!」
「結局、人間とは卑しい種族よ。欲望の塊に過ぎん。腹が減れば、飯を食い、眠くなれば、所構わず眠る。そして、欲情すれば、常に快楽を求める。それだけのことだ。レッドホークも、ブラックコンドルも、結局はただの人間だった」
トランザの目がギラリと光り、
「所詮は卑しい人間に過ぎなかったと言うことだ!」
と言った。と、その時だった。
「止めろオオオオッッッッ!!!!」
突然、雷太が叫んだ。そして、目の前のトランザを睨み付けたのだ。
「…りゅ、…竜も、…凱も…!!…僕なんかと全く違うッ!!…卑しい人間なんかじゃないッ!!…竜も凱もッ、凄いヤツなんだからッ!!」
自分を奮い立たせるように、懸命に言う雷太。最初は呆気に取られていたトランザだったが、すぐにニヤリとし、
「…貴様、…レッドホークとブラックコンドルに相当な負い目があるようだな…!」
と言うと、雷太に顔を近付けた。
「…な、…何…だよ…?」
相変わらずニヤニヤとするトランザに、雷太は思わず尋ねる。
「…だったら、…あの2人に勝ちたくはないか?」
「え?」
雷太がそう言った時だった。トランザの左腕が荒々しく雷太の頭を背後から包んだかと思うと、雷太の唇に自身の唇を押し当てていたのだ。
「んぐッ!?」
突然のことに雷太は言葉を失う。だがすぐに、
…チュッ!!…クチュクチュ…ッ!!
と言う音が聞こえ始めた。
「…んッ!!…んん…ッ!!」
雷太の顔が真っ赤になる。そんな雷太の口の中に、トランザの舌が入り込み、ヌメヌメと蠢いているのが分かった。
「…んん…ッ!!…んんんん…ッッッッ!!!!」
ホークコンドルに羽交い絞めにされている雷太の両腕が動き、トランザを何とかして引き離そうとする。だが、その両腕はすぐにだらんと体の横に垂れてしまった。
「…ん?」
その時、トランザは自身の腰の部分に、ゴツゴツしたものが当たることに気付いた。そして、それを見た瞬間、
「…クッ!!…アハハハハハハッッッッッッ!!!!!!」
と大声を上げて笑い始めたのだ。
「…あ…、…あぁぁ…!!」
雷太も、自分の体の異変に気付いていた。
「…こッ、…これはいい…ッ!!…キスだけで感じてしまうとは…!!」
大笑いするトランザの目に涙が滲んでいる。
イエローオウルの白と黄色を基調としたバードニックスーツ。白を基調とし、競泳水着のような形をした黄色のパンツに黒のラインが縁取られている下半身。雷太のがっしりとした太腿を包み込んでいるその付け根。雷太の男としての象徴であるペニス。それが今、黄色のパンツの中で臍へ向かって真っ直ぐに伸び、ビクンビクンと脈打っていたのだった。
「…う…、…あぁぁ…!!」
雷太の目にも涙が滲んでいる。トランザは、そんな雷太のペニスをしげしげと眺めていたが、
「…やはり、貴様はレッドホークやブラックコンドルとは違った楽しみ方が出来そうだ…!!」
と言い、目をギラリと不気味に輝かせたのだった。